骨折のシーズン!?
乳腺腫瘍は当院で最も多く行われている腫瘍の手術です。
犬も猫も2回目の発情までに避妊手術をしておけば(約1歳まで)、ほぼこの腫瘍にはならないといわれていますが、逆に避妊手術をしていない場合かなり高確率で発症するといわれています。
基本的には手術が第一選択の治療法ということになります。
犬の乳腺腫瘍の場合は約50%が良性で、50%が悪性といわれています。
この悪性腫瘍のうちさらに半分(25%)は早期発見早期手術であれば転移の可能性は低いといわれており、残りの半分(25%)は非常に悪性度が高いといわれています(手術をしても転移する可能性が高い)。
猫の場合は約90%が悪性といわれており、しかもかなり悪性度が高いものがほとんどです(転移しやすい)。
腫瘍の大きさが直径2cmを超えると転移する可能性が高くなるといわれており、とにかく早期発見早期手術が重要となります。
ただ日ごろよくなでる背中ではなくお腹のほうに腫瘍ができ、これを2cm以下の大きさで気づく飼い主さんは少なく、また手術には大きな苦痛が伴います。
高齢の動物の場合、1歳未満での避妊手術よりもはるかに手術のリスクも高く、本来は1歳未満で避妊手術をして、まず予防してあげることが重要だと思われます。
もちろんおうちで赤ちゃんを産ませてあげたいという場合は避妊手術はできないですが、子供を作らないと早いうちに決断された場合は、できれば避妊手術を受けさせてあげてください。
健康な体にメスを入れることに抵抗を感じられる飼い主さんもいらっしゃると思いますが、高齢になってから大きな苦痛を伴う手術をしなければいけないリスクも含めて検討いただければと思います。
写真は犬の乳腺腫瘍の患者さんで、手術前の写真です。線で囲んだ部分が腫瘍の範囲であり、切除はこの線からさらに半径3cm大きく切開することになり、かなり大きな傷となってしまいます。