とても怖い乳腺腫瘍は動物病院で最も多い腫瘍の手術
シーズンによって増えてくる病気は色々ありますが、秋なるとなぜか増えてくるのが、骨折です。
骨折に季節も何もないだろうと思われるかもしれませんが、何故か毎年今時分になると骨折の猫が沢山来院されます。
ちなみに春も結構たくさん骨折の猫がやってきます。
はじめは単なる偶然かと思ったのですが、春、秋になると猫たちにとっての発情のシーズンがやってきて、外を出歩く機会が増えてくるのかもしれません。
ちなみに犬の骨折は、あまりシーズンにかかわらず年中無休でやって来ます。
犬での骨折はフローリングで転んだ、ソファーから落ちた、抱っこから落ちたと、外よりも室内が多いのが、最近の傾向です。
さすがに外の散歩でリードを離すような飼い主様が減ってきたのかもしれません。
犬の骨折はそういう意味ではある程度予防のしようもあるのですが、猫の外での骨折は予防するのは難しいかもしれません。
東京などではもう外に猫を出して飼っている飼い主様がほとんどおらず、伝染病なども激減しているようですが、富山県ではまだまだ外出している猫は多いようです。
獣医師的には、もう猫が安穏と外をうろつける、交通事情ではないと思うのですが、このへんは価値観なので、しょうがないとして(やはりうちの中だけではかわいそう、とおっしゃる飼い主様はまだまだ多いですし)、せめてもの注意点が3つあります。
1.外出する猫はワクチンなどの予防接種を怠らない。
2.必ず首輪に飼い主様の電話番号を書いておく。
3.もし歩き方の異常などがあったら様子を見ずにすぐ病院に連絡する。
1は事故で入院という段になった際に、予防接種をおこなっていないと安全に入院、手術ができということです。
動物病院を運営しているものの発言としては良くないのかもしれませんが、病院には毎日たくさんの伝染病の患者さんがやってきます。
クシャミ一つでウイルスは10メートル以上飛散するので、動物病院は病気を治すところであると同時に、病気をもらってしまう可能性もあるところなのです。
ましてや交通事故で体力を落とし、あるいは手術で大きなストレスを受けた動物は容易に伝染病にかかってしまいます。
ワクチンは病気にならないよう予防するだけでなく、いざというとき安全に入院、手術を受けるための準備でもあるのです。
2はとても重要で、よく夜間救急で交通事故の猫が搬送されてくるのですが、この時来院されるのは飼い主様ではなく、道路で保護した第三者であることが多いのです。
道端で猫が倒れているのを発見して、病院に連れてきた善意の第三者なわけで、骨折など治療に大きなコストがかかる治療費を受け入れてくれる神様のような人はめったにいません。
せめて首輪に連絡先が書いてあれば良いのですが、それがないと飼い主様との連絡の取りようがないのです。
今までもこのケースで治療が断念された猫が沢山います。
そして最後に3ですが、骨折は治療を成功させるためには早期手術、あるいは早期ギプスが必要です。
1週間以上骨折から時間がたってしまうと、筋肉の萎縮で骨折部は大きくずれ、ギプスでは治せなくなってしまったり、手術をするにしても命がけの長時間手術になってしまったりするのです。
また手術の場合は、その子の骨に合わせた器具を取り寄せる必要が出てくるケースも多く、連れて行ったその日に手術を、という訳にはいかないことも多々あります。
交通事故だからといって必ずしも大きな外傷があるとは限らず、一見なんの怪我もなくとも、骨折しているケースも珍しくありません。
外から猫が帰ってきた時に、歩き方がおかしいと思ったら、迷わず動物病院に相談してください。