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沖田将人(おきだまさと) / 獣医師

アレス動物医療センター

コラム

避妊をしていない女の子で要注意!子宮蓄膿症

2020年2月12日

テーマ:犬の病気

コラムカテゴリ:医療・病院

動物病院で一番よく行う緊急手術が子宮蓄膿症ではないかと思います。
それくらいよくある病気であり、かつ緊急性を要する病気ということです。

5~6歳以上の女の子の犬でよくある病気で、子宮に膿が貯まってしまう病気です。
症状としては多飲多尿(たくさんお水を飲んで、たくさん尿をする)、軟便、下痢、嘔吐、食欲不振、元気消失、陰部からの排膿(血のように見えるので一見すると膿ではなく、血に見えるかもしれません)。
これらの症状がいくつか合わさって出てくることもあれば(例えば下痢+嘔吐+食欲不振だったり)、下痢だけとか、嘔吐だけ、という風に何か一個の症状だけが単品で出てくることもあります。
また陰部からの排膿(出血)を生理と勘違いする飼い主さんも多く、
「いつもと違う時期に生理が来た」とか
「2か月前に生理が終わったばかりなのに、また生理が来た」とか
「いつもは1週間で終わる生理が、今回は2週間続いている」という表現で来院されるケースも多いです。

 万一見逃してしまうと命にかかわりかねない病気ですので、獣医師は『5歳以上の避妊をしていない女の子が何かしら調子が悪い』という患者さんが来ると、ひょっとして子宮蓄膿症かも、と心配するくらいこの病気を恐れています。
 
 治療としては手術で卵巣子宮全摘出術を実施するということになりますが、来院時の状態が悪ければまず点滴などの内科療法で手術できる状態まで改善させてからでないと執刀できないことも多いです。
 かといって手術までに時間がかかりすぎてしまい、万一お腹の中で子宮が破裂し膿が漏れ出てしまっては手遅れとなりかねませんので、のんびりしてもいられません。

 本当は若いうちに避妊手術を受けていればならない病気ですので、出産の予定がない場合は1歳未満で避妊手術を受けられたほうが良いのですが、もし避妊手術を行ってないこの場合は、常にこの病気のことを飼い主さんも念頭に置いておく必要があると思います。

 写真の矢印が膿が貯まった子宮です。本来正常な子宮はレントゲンではわからないくらい細いのですが、この患者さんではかなり大きくはれ上がっており、この中には大量の膿が貯まっています。
子宮蓄膿症

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