身近な毒物 灯油中毒
お家の犬、猫に人間のお薬を使ったことのある飼い主さんはいらっしゃるでしょうか?
もしそんなことをしたことがあったら、あるいはもしそんなことをしようと思う機会があったら、けして人間の薬をあたえないでください。
以前飼い主さんの中で、お家の犬がくしゃみを繰り返していたので、人間の風邪薬を10分の1に砕き、その犬に飲ませてしまった方がいらっしゃいました。
この飼い主さんは人間のお医者さんで、体重の割合で割って与えれば、大丈夫と思われたようです。
ところがその犬は治るどころか翌日には大量の血を吐き、お亡くなりになってしまいました。
これは薬物による中毒です。
これは非常にかわいそうだったケースですが、ここまで悲惨な内容にかぎらず、ちょっと犬が下痢をしていたので、人間の下痢止めを与えてしまった、という飼い主さんは結構いらっしゃいます。
人間の風邪薬や痛み止め(頭痛、生理痛薬など)に含まれている成分は犬や猫には猛毒で、少量でも命にかかわるものがたくさんあるのです。
私達獣医師が診療で使っている薬には人間の薬がたくさん含まれています。
逆に犬専用、猫専用の薬は現時点では少ないくらいで、8割以上が人間の薬を犬や猫に使っている状態です。
ただ、獣医学の知識がない飼い主さんはけしてそのようなことを真似してはいけません。
人間には安全でも、犬、猫には非常に危険な薬。
犬には使っても大丈夫だけど、猫に使うと危険な薬。
犬や、猫にも使うけれども、人間の体重あたりの量とは全く使用料が違う薬。
生後6ヶ月未満では使ってはいけない薬。
犬の種類によっては使ってはいけない薬。
薬の犬、猫への使用は様々な制限、決まり事、危険事項があり、それは生半可な知識でおこなって良いものではないのです。
お家の大切な犬、猫は家族も同然。
下痢をしたり、吐いたりしていたら、心配になる気持ちもよくわかります。
そんな時は、まず主治医の先生に相談です。
大切な家族をご自身の手で殺めてしまわないよう。
ご自身のお子さん、お孫さんが下痢をしているからといって、犬の下痢止めを飲ませることはないでしょう。
犬、猫だって同じです。