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犬の熱中症にご用心

沖田将人

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テーマ:犬の病気

 夏本番ということで、やはり大きな問題になるのが熱中症。

 先日北日本新聞ニュースでも取り上げていただきましたが(http://webun.jp/movie/life/3009)、今回はもう少し掘り下げて行きましょう。

 汗をかかず、体温調節が苦手な犬は皆熱中症にかかりやすいのですが、中でも非常に発症のリスクが上がる条件があります。

1.熱中症にかかりやすい犬種である
2.高齢である
3.太っている
4.湿度が高い
5.興奮するシチュエーションである

1の熱中症にかかりやすい犬種というと大別して、短頭種と北方系犬種です。

 短頭種というのはパグ、シーズー、ペキニーズ、フレンチブル、ボストンテリア、ブルドッグなど鼻がぺちゃっと潰れている犬種で、呼吸器の構造上非常に熱の代謝が苦手な犬種です。
 
 北方系犬種とはコリーやシェルティー、ハスキー犬など寒冷地原産の犬種で、寒さにはめっぽう強いですが、暑さにはとにかく弱い犬種ということになります。

 2の高齢は意外と盲点で、よく熱中症になった犬を連れてくる飼い主さんは「去年の夏は大丈夫だったのに・・・」とおっしゃるのですが、人間同様、高齢になると熱をうまく代謝できなくなり、熱中症にかかりやすくなります。
 当たり前ですが、毎年犬も年を取るわけで、「去年大丈夫だった・・・」という理由はなんの宛にもなりません。

 3の肥満は言うまでもなくですね。
 汗をかけない犬が、体の周りに厚い肉襦袢を着込んでいれば、熱中症になりやすいのは当然です。

 4の湿度は意外とクセモノで、6月中旬など、温度的には全然問題がなくとも、湿度が60%を超えてくると、犬的にはもうピンチです。
 特に危ないのが「夜窓を開けると、うち結構涼しいんです」とか「うち、山の手に家があるんで、クーラーかけなくても涼しいんです」というパターンで、室温が27度程度で人間的には調度よかったり、肌寒かったりしても、湿度が高いとそれだけで熱中症にかかってしまうケースもあるのです。

 最後に5の興奮で、犬は長時間吠えたり、興奮していたりすると、それだけで体温が急上昇し、そのまま熱中症にかかってしまう場合があります。
 例えば花火や雷に興奮したり、シャンプーを嫌がって興奮したり、車の中で飼い主さんを待ってワンワン吠えたりなんかしていると、クーラーがついていても、勝手に熱中症に突入してしまう場合があるのです。

 人間ではちょっと考えられないことですが、そこはやはり体の構造の違いということで、これをきちんと把握して夏を安全に乗りきりましょう。

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沖田将人
専門家

沖田将人(獣医師)

アレス動物医療センター

犬、猫の診療のほか、ウサギ、フェレット、ハムスターなどエキゾチックアニマルの診療にも力を入れております。

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