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沖田将人

動物診療のプロ

沖田将人(おきだまさと) / 獣医師

アレス動物医療センター

コラム

犬にも人にも怖~いマダニ

2013年7月1日

テーマ:犬の病気

コラムカテゴリ:医療・病院

 「ダニ」と一言で言っても、犬や猫の診療上重要になってくるものはチリダニ、カイセン、ニキビダニ、マダニの4つです(厳密にはもっとややこしい区分があるのですが、ざっくりと)。

 チリダニは人間などでもそうですが、布団やホコリの中などに住んでいて、アレルギーの原因になるものです。
 カイセンは皮膚に寄生して、皮膚炎を起こすもので、人にうつることもあります。
 ニキビダニは、人間も犬も、もともと体の中に持っている(飼っている?)ダニで、何らかの原因で皮膚の免疫力が落ちると数が増え、皮膚症状を起こすものです。
 最後にマダニ。
 これが最近新聞などで問題になっている重症熱性血小板減少症候群を媒介する(人に感染させる)ダニのことです。
 
 もちろんすべてのマダニではありませんが、命にかかわる病気を運んでくるマダニ、決して軽く見て良いお話ではありません。

 マダニの場合、犬の散歩では草むらに犬が入っていって寄生されたり、山にキャンプに行って寄生されたり、あるいは河川敷をお散歩していて寄生されたりと、外での寄生が一般的です。

 キャンプ場や、河川敷に犬を連れて行ってはいけません、というわけではないのですが、やはり連れて行くのであれば、予防をしっかりしてから連れて行ってあげなくてはいけません。

 今の時期、どこの動物病院でもノミ・ダニ用の予防薬を取り扱っているでしょうから、最寄りの動物病院さんに行って、処方してもらうと良いでしょう。

 スポットタイプ(背中に垂らすタイプ)や飲み薬がありますが、効果は1月くらい持続するものが多いです。
 
 日常のお散歩でもよく草むらの中に犬が突っ込んでいく、という場合は町なかでも予防しておいたほうが良いと思います。
 近所のお散歩しか行かない犬でも、よくダニに寄生されて病院に連れて来られることがあります。
 マダニがよく出る春から秋にかけ、毎月定期的に予防してあげるのが一番安心です。

 万一マダニが犬の体に寄生されても、けしてその場で引っ張って、取ってはいけません。
 マダニは一旦皮膚に食らいつき、吸血を始めると、くちばしを皮膚に差し込んで、接着剤のような成分で固まってしまいます。
 無理に引っ張れば、くちばしが皮膚に残り、その後何ヶ月も皮膚炎を起こすことが多いのです。

 もしマダニの寄生を見つけたら、とりあえず最寄りの動物病院へ。
 ただ、治療よりも、やはり予防が大事だとは思います。

 もちろん飼い主さんも、山や草むらに入る機会があったら、長袖長ズボン、手袋、帽子、首タオル等、肌の露出は抑えて、ご自身の安全も十分気をつけましょう。

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沖田将人

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沖田将人(アレス動物医療センター)

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