物流効率化の成果は誰のものか?――運賃・適正原価・ドライバー賃金の関係
運送業・企業型DC・助成金専門社会保険労務士の吉元です。
企業型確定拠出年金(企業型DC)は、従業員の老後の資産形成を支援する福利厚生制度です。
導入を検討する経営者からは、次のような質問をいただきます。
「従業員には、どのくらいメリットがあるのか?」
「会社は、毎月いくら負担するのか?」
「従業員が少ない会社でも導入できるのか?」
制度の仕組みだけでは、なかなかイメージしにくいものです。
今回は、具体的な数字を使って、従業員のメリットと会社の費用負担を考えてみましょう。
1.会社が月5,000円を拠出すると、従業員の将来資産はどうなる?
例えば、次の条件で試算します。
・従業員の年齢:35歳
・月額給与:30万円
・会社掛金:月5,000円
・本人掛金:月1万円または1万5,000円
・加入期間:25年間(60歳まで)
・想定運用利率:年5%
会社が毎月5,000円を拠出し、従業員が希望に応じて掛金を上乗せする場合、60歳時点の資産形成額は次のようになります。
① 会社5,000円+本人1万円
毎月の積立額:15,000円
25年間の積立元金:450万円
60歳時点の想定資産額:約893万円
② 会社5,000円+本人1万5,000円
毎月の積立額:20,000円
25年間の積立元金:600万円
60歳時点の想定資産額:約1,191万円
これは年5%で運用できた場合のシミュレーションです。運用成果は保証されず、運用商品や市場環境によって資産額は変動します。
また、企業型DCでは運用益が非課税となるため、長期の資産形成に活用できる特徴があります。
2.税金・社会保険料の負担軽減もメリット
企業型DCには、将来の資産形成に加え、現役時代の税金や社会保険料の負担軽減につながる仕組みがあります。
ただし、その効果は制度設計によって異なります。
例えば、会社掛金に従業員が希望に応じて給与の一部を振り替える掛金を組み合わせる「A+B方式」では、給与から振り替えた部分について所得税・住民税の負担が軽減されます。
さらに、給与の減額によって標準報酬月額の等級が変わる場合には、社会保険料の負担も軽減されることがあります。
一方、「マッチング拠出」は、従業員が給与から本人掛金を拠出する仕組みです。
本人掛金は全額が所得控除の対象となりますが、原則として社会保険料の負担軽減は生じません。
つまり、
【同じ金額を積み立てても、制度設計によって現役時代の負担軽減効果は異なります。】
また、給与から掛金に振り替える方式では、将来の老齢厚生年金などに影響する場合もあるため、税金や社会保険料の軽減額だけで判断しないことが重要です。
3.会社はいくら負担するのか?
企業型DCの導入には、会社が拠出する掛金のほか、制度導入時の初期費用と毎月の運営費用が必要です。
例えば、会社が従業員1人当たり毎月5,000円を拠出する場合、加入人数別の年間負担額は次のようになります。
① 加入者5人
会社掛金:年間30万円
運営費用:約23万円
年間負担額:約53万円
② 加入者10人
会社掛金:年間60万円
運営費用:約27万円
年間負担額:約87万円
③ 加入者20人
会社掛金:年間120万円
運営費用:約33万円
年間負担額:約153万円
④ 加入者30人
会社掛金:年間180万円
運営費用:約40万円
年間負担額:約220万円
⑤ 加入者50人
会社掛金:年間300万円
運営費用:約53万円
年間負担額:約353万円
制度導入のための初期費用は別途必要で、今回の加入者数では約50万円~62万円となります。
なお、費用は提供事業者や加入人数、契約内容により異なります。
会社が拠出する掛金は退職給付費用、掛金以外の制度運営費用は確定拠出年金関連費用として、原則として法人の福利厚生費(損金)に算入できます。
このように、企業型DCは、会社が毎年の費用負担を見通しながら制度設計できる福利厚生制度です。
4.企業型DCは、導入することが目的ではない
従業員が5人の会社と50人の会社では、費用負担も、人材確保や福利厚生の課題も異なります。
また、すでに退職金制度がある会社と、これから整備する会社でも、適した制度設計は変わります。
企業型DCを導入すれば採用がうまくいく、従業員が定着する、という単純な話ではありません。
しかし、会社が従業員の将来を考え、資産形成を支援する制度を整えることは、福利厚生の充実につながります。
特に、従業員数の少ない会社では、限られた費用をどのような福利厚生に使うのかという経営判断が重要です。
【会社はどこまで費用を負担するのか。従業員にどのようなメリットを提供したいのか。そして、その制度を継続して運営できるのか。】
企業型DCの導入は、こうした点を整理することから始まります。
5.自社に合った企業型DCの制度設計を
今回の試算では、会社掛金を月5,000円としました。
しかし、会社掛金をいくらにするのか、従業員の任意拠出をどのように組み合わせるのかは、会社の状況によって異なります。
経営者自身の老後資金の準備を重視する会社もあれば、従業員の退職金制度や福利厚生の充実を重視する会社もあります。
大切なのは、税金や社会保険料のメリットだけで判断するのではなく、自社の人員構成、給与水準、費用負担、そして人材課題を踏まえて制度を設計することです。
当事務所では、企業型DCの制度設計・導入支援を行っています。
「従業員が少ない会社でも導入できるのか」「自社ではどのような制度設計が適しているのか」といったご相談にも対応しています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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(東商社長NET)https://www.tokyo-cci.or.jp/shachonet/profile/2140.html
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