運送会社にはキャリアが“ある”。その価値は現場にすでに存在している。ただし制度として言語化されていないだけだ。

吉元康裕

吉元康裕

テーマ:人事評価・定着

運送業専門社労士の吉元です。

前回の投稿では、 「運送会社が整えるべき人事評価制度づくりのステップ」 について取り上げました。

その中で、 制度づくりの重要な柱として キャリアパス を挙げました。

今回はそのキャリアパスを、 “現場のリアル”に沿って深掘りします。

■ キャリアパスは「ない」のではなく「体系化されていない」だけ
運送会社の現場には、すでに多様なキャリアが存在しています。

若手を育てるベテラン

トレーラーの車庫入れを教える技能者

顧客対応が抜群に上手いドライバー

積載効率が高いドライバー

安全運転のプロ

高齢者向けの地場専任

点呼補助

構内作業

洗車・車両管理

横乗りで新人指導

管理職にならなくても稼ぐ“現場のエース”等々

つまり、

キャリアは“ある”。 ただし、体系化されていない。

これが本質です。

■ 若手が辞める理由は「給与だけではない」
若手が辞める理由は、 「給与が低いから」だけではありません。

「この先、どう成長していくのかが分からない」

これが大きい。

現場には成長の道筋があるのに、 会社として“見える形”になっていない。

だから若手は不安になる。

■ ベテランは会社の核。その価値はすでに現場に存在している
ベテランは、会社の安全・品質・教育を支える“核”です。

ある会社は、 ベテランが若手にトレーラーの車庫入れを教え、 その指導力が給与に反映されているケースも普通にあります。

つまり、

価値は現場にすでに存在している。 ただし、制度として言語化されていないだけだ。

これが問題です。

■ 高齢者向けの働き方は“自然に存在している”。
ただし、制度化されていない事例が散見される

高齢者向けの働き方は、小規模会社だけの話ではありません。

多くの会社で自然にこうなっています。

地場専任

夜勤なし

点呼補助

構内作業

洗車

新人指導

午前だけ勤務

軽めのルート

夕方には帰れるルート等々

つまり、

高齢者向けキャリアは“ある”。 ただし、制度として明文化されていない会社も散見される。

制度化されていないため、 高齢者が安心して働き続けられる“道筋”として示されていないケースがあるのです。

■ 管理職にならなくても稼げる人は普通にいる
現場には、管理職にならなくても稼ぐ“現場のエース”がいます。

安全

品質

顧客評価

積載効率

燃費

応援

指導力等々

こうした能力が給与に反映されている会社もあります。

つまり、

稼げる理由は“ある”。 ただし、制度として明文化されていない。

若手が「どうすればそのレベルに到達できるのか」を理解できないのは、 この“見える化不足”が原因です。

■ キャリアの変化は「個人の問題」ではなく「環境変化」で起きている
ここが最も重要です。

長距離が減ったのは、 ドライバー個人の問題ではありません。

コロナ

燃料価格高騰

2024年問題

幹線輸送の鉄道・フェリー化

中継輸送の増加

EC化による短距離・多頻度配送の増加等々

つまり、

キャリアの変化は“環境変化”で起きている。 個人の問題ではない。

だからこそ、 会社としてキャリアを“見える形”にする必要があるのです。

■ キャリアパスは「新しい制度を作ること」ではない
キャリアパスとは、 現場にすでに存在している役割を 環境変化に合わせて見える化することです。

若手が成長できる道筋

ベテランが活躍し続けられる道筋

高齢者が安心して働ける道筋

管理職にならなくても稼げる道筋

これらは、現場に“すでに存在している”。

ただし、体系化されていない。

だから、制度化する価値があるのです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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吉元康裕
専門家

吉元康裕(社会保険労務士)

YUTOLI社会保険労務士・FP事務所

運送業の労働時間や賃金の課題に対応。2024年問題や36協定を踏まえ、ドライバーの勤務実態に応じた制度運用を支援します。幅広い業種で企業型DCの導入や就業規則の作成・見直しも手掛けています。

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