36.【番外知識】「聞いたことはある」では済まされない!現代マーケティング用語の基本
はじめに、こんにちは。株式会社吉和の森の森和吉です。
前回(第78回)は、AI時代においても時代遅れにならず、10年、20年と持続的に成長し続けるための「次世代型デジタル経営」の視点についてお話ししました。流行のツールに振り回されず、「人肌感」という不変の人間心理に投資し、全社員が自発的に発信を楽しめるカルチャーを作ることが重要だという内容でしたね。
さて、経営者が「よし! これからは全社を挙げてデジタルマーケティングや現場のおもてなし(発信)に力を入れるぞ!」と意気込んだとき、必ずと言っていいほど社内に「巨大な壁」が立ちはだかります。
それが、長年会社を支えてきてくれたベテラン社員や職人さんからの、「そんなチャラチャラしたSNSなんてやっていられるか」「現場の仕事で忙しいのに、余計な仕事を増やすな」という強い反発や抵抗です。
ここで経営者が力づくで命令してしまうと、社内の雰囲気は最悪になり、離職やモチベーションの低下に繋がってしまいます。今回は、反発するベテラン社員を否定せず、むしろ彼らを巻き込んで「最強の発信者(協力者)」に変えてしまうための、社内マーケティングの技術をお伝えします。
なぜベテラン社員は「デジタル化」に反対するのか?
ベテラン社員や職人さんが反発する本当の理由は、怠けているからでも、会社を邪魔したいからでもありません。彼らの脳内には、主に以下の2つの「恐怖とプライド」が隠れています。
- 「自分の培ってきた職人技術ややり方が否定された」と感じる(プライド)
- 「スマホやパソコンを使えない自分が、若い社員にバカにされるのではないか」と不安(恐怖)
つまり、彼らはデジタルそのものを嫌っているのではなく、デジタルが入ってくることによって「自分の存在価値が脅かされること」を恐れているのです。この心理を理解すれば、アプローチ方法は自ずと見えてきます。
ベテラン社員を最高の協力者に変える「3つのステップ」
1.発信(投稿)を頼むのではなく、教えて(取材)もらう
ベテラン社員に「スマホでブログを書いてください」「動画に出て投稿してください」と頼むのはNGです。心理的ハードルが高すぎます。
そうではなく、社長や若いスタッフがスマホを持って彼らの元へ行き、「〇〇さん、この現場の作業(技術)って、どうしてこんなに綺麗に仕上がるんですか? 未来の若いお客様に、〇〇さんの技の凄さを伝えたいので、教えて(取材させて)ください!」と教えを乞うのです。
自分の技術やこだわりをリスペクトされ、頼りにされて嫌な気がする職人はいません。インタビュー形式で生の声や手元の作業風景を撮らせてもらう。これなら彼らに負担をかけずに、最高に質の高い「本物のコンテンツ(第61回)」が手に入ります。
2. お客様からの感謝の声をダイレクトにフィードバックする
ベテラン社員が写った動画や、彼らのこだわりを紹介したWeb記事を見たお客様から「〇〇さんの職人技に感動しました」「〇〇さん指名でお願いしたいです」という反響(第70回)が来たら、真っ先にそのベテラン社員に伝えてください。
「〇〇さん! この前取材させてもらった動画を見たお客様から『〇〇さんの技術が凄すぎる』ってお問い合わせが入りましたよ!」
職人にとって、自分の仕事がお客様に届き、褒められること以上に嬉しい瞬間はありません。「自分がやってきたことは、ネットを通じてもお客様に伝わるんだ」と実感した瞬間、彼らの意識は「拒絶」から「前向きな協力」へと180度引っくり返ります。
3.作業ではなく、技術と想いの継承と定義し直す
社内ミーティングなどで、デジタルマーケティングに取り組む目的をこう語り直してください。
「私たちがSNSやWebサイトで発信するのは、単に商品を売るためではありません。〇〇さんたちが長年汗を流して守ってきたこの会社の素晴らしい技術や想いを、100年後の未来へ残し、正当な価値として評価してもらうためです」
自分たちの歴史や誇りを守るための道具なのだと理解できたとき、ベテラン社員は「自社の魅力を語る最強の語り部」へと進化してくれます。
■今回の実践ポイント
- ベテラン社員に「作業」をさせず、彼らの「技術とこだわり」をリスペクトして取材する
- ネット経由で届いたお客様からの感謝を、誰よりも早く現場のベテランに届ける
- デジタルを「売上アップの道具」ではなく「会社の誇りを未来へ繋ぐ道具」と再定義する
社長一人でパソコンに向かう必要はありません。現場で泥臭く汗を流すベテラン社員の手に宿る「本物の人肌感」こそが、競合他社が逆立ちしても真似できない自社最大の強みなのです。
彼らへのリスペクトを胸に、明日から「〇〇さん、ちょっと教えてください!」と現場へ足を運んでみませんか?


