23.解約阻止のマルチチャネル戦略~電話しか受け付けない会社は絶滅する

森和吉

森和吉

テーマ:デジタルマーケティング

前回は、SNS上で困っているユーザーを先回りして助ける「アクティブサポート」についてお話ししました。困りごとや不満をスピーディーに解決する姿勢が、お客様との強固な信頼に繋がるとお伝えしましたね。

今回は、そのサポートを社内の仕組みとしてどう整えていくか、というお話です。

「商品やサービスを契約してもらったけれど、数ヶ月で解約されてしまう」
「カスタマーサポートの電話がいつも混み合っていて、クレームに発展している」

こうした悩みを抱える企業が、真っ先に見直すべきなのは、お客様との連絡窓口、つまり「カスタマーサポートのチャネル(窓口)」です。

結論から申し上げます。今の時代、「問い合わせや解約の受け付けは電話のみ」という会社は、お客様に真っ先に嫌われ、静かに市場から絶滅していきます。

1.「解約させないための罠」は、最悪の顧客体験を生む


多くの企業、特にサブスクリプション(定期購入)サービスを運営している会社の中には、「簡単に解約されないように、手続きをわざと複雑にしよう」とするケースが本当によくあります。

  • 解約ボタンがサイトのどこにあるか分からない
  • 解約は「平日の昼間、電話受付のみ」となっている
  • 電話をかけても、回線が混み合っていて何十分も繋がらない


経営者としては「解約数を減らしたい」という一心での設計かもしれません。しかし、これはお客様から見れば「騙された」「引き止められて不快だ」という、最悪の不信感に変わります。

確かに、手続きをめんどくさくすれば、その月の解約は数件防げるかもしれません。しかし、そんな嫌な思いをして無理やり引き止められたお客様が、二度とあなたの会社の商品を買うことはありません。それどころか、ネット上で「あの会社は解約させてくれない」と悪評を書き込まれ、将来のお客様を何百人も失うという、目に見えない巨大な損失を生み出しているのです。

本当に目指すべきなのは、「解約しにくい仕組み」で縛ることではなく、「困ったときにすぐ解決できる親切な仕組み」で、お客様の引き留め(ロイヤリティ向上)を狙うことです。

2.若者は電話を嫌い、高齢者は文字を避ける


お客様が困りごとを抱えたとき、それを解決するための窓口は、一つだけでは足りません。なぜなら、人によって「使いやすい、話しやすいツール」は180度異なるからです。

これをカスタマーサポートの「マルチチャネル化」と呼びます。

例えば、私の専門学校の教え子たちのような10代、20代の若年層は、驚くほど「電話をかけること」を嫌います。彼らににとって、用事があるのに見ず知らずの人と電話で話すのは、非常に心理的ハードルが高いのです。そのため、若年層がターゲットのサービスで「サポートは電話のみ」にしていると、彼らは相談するのを諦めて、そのまま静かに解約(他社へ乗り換え)してしまいます。

若年層には、日頃使い慣れている「LINE」や「チャットボット」でのサポート窓口が必須です。メッセージを送る感覚で、いつでも気軽に質問できる環境が、彼らにとっての「安心」に直結します。

一方で、40代〜60代以上の世代になれば、「メールで細かい文字を打つのがめんどくさい」「直接話して一瞬で解決したい」という方が増えます。この層にとっては、やはり「コールセンター(電話対応)」が最も信頼できる、温かみのある窓口となります。

3.お客様のめんどくさいを先回りして解消する5つのチャネル


さらに、最近のユーザーは「わざわざ人に問い合わせをする」こと自体をめんどくさいと感じる傾向が強くなっています。分からないことがあれば、まずは自分でネット検索して、その場で自己解決したい人が大半です。

そのため、以下のチャネル(窓口)をバランスよく整えておくことが、解約を未然に防ぐ最強の防衛策になります。

①FAQサイト(よくある質問)


「パスワードを忘れた」「発送日を変更したい」といった、誰もが一度は抱く疑問への回答を、画像付きで分かりやすくまとめたページです。お客様が自分で検索して、一瞬で自己解決できるため、最も満足度が高く、かつ社内のサポート担当者の負担(電話対応の件数)を大幅に減らすことができます。

②チャットボット


サイトの端にポップアップで表示される自動会話システムです。FAQサイトに遷移する手間すら省き、会話形式で素早く答えを導き出してくれます。

③LINE公式アカウント


お客様が普段から使い慣れているLINEを通じて、いつでも気軽にチャット相談ができる窓口です。親近感を持ってやり取りできるため、顧客との距離を縮めるのに最適です。

④メールフォーム


24時間いつでも、詳細な画像やテキストを添えてじっくりと相談したいお客様向けの窓口です。

⑤コールセンター(電話)


複雑なトラブル or 機械操作が苦手な方が、直接プロの声を聴いて安心するための最後の砦です。

デジタルだからこそ、顧客の「利便性」を最優先にする


デジタルマーケティングの本質は、私たちの「都合」を押し付けることではなく、お客様が「一番ラクに、心地よく」自社と付き合える環境を作ることです。

「電話受付は平日10時〜17時のみ」という、自社の都合を優先した不親切なサポート体制を続けていれば、お客様はすぐに、24時間LINEで相談できる競合他社へと移ってしまいます。

まずは、お客様の目線に立って、自社のサポート体制を見直してみてください。
お客様の「不満」や「分からない」を、どの窓口でも、素早く優しく解決してあげること。この「おもてなしのマルチチャネル設計」こそが、一生の付き合い(LTV)を育み、あなたの会社を支え続ける強力な土台になるのです。

リンクをコピーしました

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

HP・SNS運用で集客を支援するITコンサルタント

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のビジネス
  4. 東京のWEBマーケティング
  5. 森和吉
  6. コラム一覧
  7. 23.解約阻止のマルチチャネル戦略~電話しか受け付けない会社は絶滅する

森和吉プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼