分譲マンションと民泊問題
私は解体工事の責任者として日々奔走している訳だが、休日でも街中を散策中に、どうしても解体現場を発見すると目が向いてしまう。
そんな中で、今までのデフレ時代を象徴するかのような解体現場を数件目の当りにした。それは明らかに、防音パネルを使用し周辺住民には解体時の騒音で、極力ストレスを与えない方が良いであろう住宅街において、ただのシート(防音シートでさえない)を使用したり、公園が近くしかも前面道路が狭い割には人通りが多いにも係らず、ガードマン(見張り員)を配置していない現場である。保険をかけているからといって、実際に事故がおきた場合には金銭で解決できる問題ではないはずだ。福島の除染において手抜き工事が行われ話題になった。この日本は、いつからこの様な発展途上国並の思想とモラルに成り下がったのか。
その他噂による話だが、酷い会社になると解体現場から発生した産業廃棄物を自宅近くに仮置きし、現場終了後に大型でいっきに処理するケースもみられた。
当然このケースは法律に触れる訳だが、マニフェストは元請工事業者が管理する事になっており、民間の発注会社(不動産会社等)の関心が驚く程低い。
私事ではあるが、以前大手ゼネコンの一時下請け業者の所長として、長く公共事業に携わってきた。その中での大手ゼネコンのマニフェスト管理の徹底さは、やはり責任ある企業であると印象をうけた。
また作業員においては、ヘルメットや安全帯を着用せず、安全管理の意識の低さも垣間見られた。工事発注者は現場見廻りには殆ど来ない。それはもしかして、暗に低価格受注をした業者への利潤追求の手抜き工事に対しての気遣いではと思わざるを得ない。
あえて付け加えるならば、価格重視の発注により適性価格から大きく外れれば、なんらかの歪もしくは不正が生じるはずだ。発注者側企業の問題意識を高めなければ、事が起きた場合、一挙に問題が明るみに出るだろう。
私の考えでは、例えば不動産物件販売の為の解体工事でも、最終的に販売される建築工事のみではなく、既にお客様の商品の一部を預かっていると思う。着工前の見積り段階から近隣住民、そして社会全体への精一杯の誠意と努力をもって、プロジェクトに参加したい。
自民党を中心とした連立政権が復活し、実のある経済政策を実行し続けていくのであれば、
デフレ時代の終焉を迎えるかもしれない。しかし、暫くは現状維持といったところだろう。
弊社は、今後もお客様の期待を裏切らず、妥協の無い現場管理を提供していき、社会に責任ある企業としてその役割を果たして行きたいと思う。
文/橋本隆元
株式会社東拓企画
http://www.totakukikaku.jp