お母さんのための子育て学 1
清野鍼灸整骨院HP http://seino-1987.jp/html/
こんにちは、京王線新宿駅から特急2駅目約15分の調布駅東口北側目前にある清野鍼灸整骨院の院長清野充典です。当院は、京王線調布駅前で、鍼灸治療、柔道整復治療、瘀血治療、ヨーガ治療等の東洋医学に基づいた医療を、最新の医学と最先端の医術を基に、診療を行っています。
今日は、『お母さんのための子育て学』についての話です。テーマは、「逆子を治す時期(逆子にならないためには)」です。
逆子は医学的には「骨盤位」といいます。逆子になる原因はいろいろな事が考えられます。日常の生活動作で一番多いのは、お腹を圧迫する姿勢です。お勝手仕事やお風呂場の掃除は特に良くありません。それにもましてよくない原因、それは身体を冷やす行為です。主婦は水周りの仕事が多いため、身体を冷やす環境にありますから要注意です。薄着やクーラーも身体を冷やす原因です。最近はさらしをまかず、腰周りや太ももを保護していない妊婦さんが大変多いように思います。身体が冷えるという事に無頓着な妊婦さんは、冷たい飲み物やアイスクリーム、冷やした果物などの飲食が多く、暑い時期に冷やし中華・ひやむぎ・そうめん・ざるそば・ゼリーなどを常食、氷まで食べているほどです。
母親教室・安産教室で講習を受けたり、各種専門書をお読みになった方はお分かりだと思いますが、なぜ妊婦が身体を冷やしてはいけないかを経験を交えて申し上げますと、
1.妊娠中毒になりやすい。
2.胎児の成長が悪い。
3.羊水(赤ちゃんのおしっこ)の量が少なくなる傾向にあり、赤ん坊が子宮の中でぷかぷか浮く状態にならない。
羊水による無重力状態の環境が損なわれ、赤ん坊が動きにくくなる。胎児の安全性にも問題が生じる。
4.微弱陣痛になりやすい。
5.出産に時間がかかりすぎるため (通常、初産で分娩に約12時間要するが、24~48時間もしくはそれ以上の時間を要する事が多い) 母体の体力が消耗し、母体が危険にさらされやすい。
6.陣痛促進剤を使用せざるをえなくなる確率が高くなる。
7.帝王切開しないと出産が困難になる確率が高くなる。
8.死産の危険性が高くなる。
9.母乳の出が悪く、人工乳を使わざるをえなくなりやすい。
10.出産後の体力の回復に時間を要する。
11.逆子になりやすい。
以上のような事が主にあげられます。母体を冷やす事は百害あって一利なしです。
ここで重要な事は、身体を冷やす事によって生じた不快な症状を取り除くため、薬物療法を選択する事には問題があるということです。胎児への影響を考えると、すべからず鍼灸治療を選択する事をお勧めいたします。妊婦さんの健康管理はお子さんにとって一生の大事となります。
さて、逆子に絞ってお話しましょう。身体を冷やすと足元から冷たくなり、太ももやお尻、お腹が冷たくなります。下半身全体が冷たい状態になると、赤ん坊は頭が冷やされすぎるのを嫌って自発的にひっくり返ると私は考えています。すでに生命力を宿しているわけですから本能でそうするのではないかと思います。長年患者様にそのことを話していますが、母体が冷やされる行為をやめないと、もとには戻らない印象です。
逆子を治すために「逆子体操」がありますが、どうも効果を発揮していないようです。
助産婦さんは手で回転術を行います。熟練した人は1時間30分ぐらいかけてゆっくり、胎盤剥離を起こさないように行います。
私も現実に、その操作を目にした経験があります。実に見事なものです。だだし、この技術を要している人は現在ではかなり限られているものと考えられます。学校教育等で熟練者により助産婦や産婦人科医に伝授・継承していってほしいものだと個人的に考えております。
手技による回転術を除き、逆子の治療に関しては、鍼灸治療が現代の医療の中で最も有効で効果の高い方法であろうと認識しております。鍼灸治療における骨盤位(逆子)の有効性において医学博士の称号が送られた医師もおり、その効果が現代医学界でも認識されております。鍼灸治療をすると子宮が強く収縮し、胎児を通常の正常な位置に自発的に戻す力を生じさせます。お母さん自身の力を応用するだけですのでとても安全です。
ただし、治療する時期に一定の条件があります。最も有効な期間は28週~32週です。胎児の状況によっては26週からでも可能です。赤ん坊は大きくなりはじめると子宮の中でくるくる回っています。25週以下では治療してもすぐ戻ってしまいます。医師もあまり逆子について問題視しない事と思います。胎盤の剥離も考慮し25週以下では行わないようにするのが通常です。
さて、それでは鍼灸治療で逆子がどれくらいでよくなると思いますか?データーの採り方にもよりますが、
1回目の治療で約30%矯正成功(約1時間以内)
2回目の治療で 約30%矯正成功 (1時間後には帰宅してもらうため2度目の来院時に判明する者を含む)
3回目~5回目の治療で約30%矯正成功
上記の確立で矯正が成功していると個人的には認識しております。逆子体操をして毎日がんばっている人には信じられないぐらい早くて高い確立でしょう。28週ぐらいから治療をはじめると1ヶ月くらい余裕がありますから、十中八九治ります。治療は約1日おきに行うのですが、32週と6日目にいらっしゃったかたは時間に余裕がありません。もしこのコラムをお読みになったかたが逆子だったら、すぐにもお近くの鍼灸院に相談してみてください。1分1秒赤ちゃんは大きくなります。時間との勝負です。
胎児の矯正がうまくいかない残りの10%は、期間が限られる中で治療回数が5回を超える頃には胎児が大きくなり過ぎ、自己回転することが困難になるため、ということが含まれます。それ以外の理由は次の5つが考えられます。
1. 臍帯が長く(1m以上)赤ちゃんの首に巻きついたため。(くるくる回りすぎたため)
2. 臍帯が短すぎるため。(30cm以下)
3.前置胎盤の人
4.赤ちゃんがあぐらをかいて正面を向いている。
5. 重篤な病気にかかっている。
以上の状態は、出産にあたり胎児の状態を確認するためにするレントゲン撮影で判明したり、帝王切開して初めてわかるものであり、触診では困難ですが、鍼灸治療をして一向に胎児の動きに変化がない場合は、上記のことが胎児に生じているようです。身体を強く冷やしているお母さんの場合、5回の治療で取り除くことが困難なことも逆子を矯正できない理由の一つと考えておりますが、来院したお母さん方にはそこで諦めないように伝えてあります。
その理由は、陣痛が始まったときに起こる強い子宮の収縮により、逆子が改善される事があるからです。足の小指にある「至陰」というツボにお灸を40週までし続けると、冷えが解消され子宮が柔軟になりますので、その改善確率はぐっと高くなります。胎児の姿勢(お尻から出てくると)によっては逆子のまま出産する事も可能です。人事を尽くして天命を待つ。赤ちゃんに一生懸命語りかけ精一杯の事をすれば、赤ん坊がそれに応えてくれるのではないか、と私は思っています。
先日も33週を過ぎた妊婦さんが治療にいらっしゃいました。運を天に任せた治療でしたが、2回の治療で矯正されました。きっとお母さんの思いが通じたのですよ、と私は答えるようにしています。生命力の持つすばらしさは、医学の範囲をこえる事が常にあります。(清野鍼灸整骨院HP「東洋医学の辞書サイト」内にある「はりってなあに?」のコーナーの産婦人科編参照)
一人でも多くの方が東洋医学を正しく認識し、東洋医療のすばらしさを知っていただきたいと願いを込め、このコラムを作成しています。
詳しくは、清野鍼灸整骨院HP「東洋医学の辞書サイト」 http://seino-1987.jp/html/
内にある「くらしと養生」 や「小児ばり」のコーナーをご参照いただきたく思います。
令和元年(2019年)7月31日(水)
東京・調布 清野鍼灸整骨院
院長 清野充典 記