東洋医学とは何か 21 -漢方の1つ按摩治療から分離した指圧が出来た時代背景-
こんにちは、マイベストプロ東京に初めて鍼灸師として掲載された柔道整復師でもある清野鍼灸整骨院の院長清野充典です。当院は、京王線調布駅前で、鍼灸治療、柔道整復治療、瘀血吸圧治療、ヨーガ療法等の東洋医学に基づいた治療を、最新の医学と最先端の医術を基に、診療を行っています。
私は、順天堂大学大学院医学研究科の医史学研究室に在籍しています。東洋医学について長年研究をしてまいりましたので、東洋医学についてコラムを書いています。
江戸時代まで「本道(ほんどう)」と呼ばれていた鍼灸治療、薬草治療、整骨治療、按摩治療等の医療は、明治期に「漢方」と呼ばれるようになりました。明治17年(1884年)1月1日に行われた第1回医術開業試験以降、西洋医学一辺倒になりましたが明治44年(1911年)8月14日には「鍼術灸術営業取締規則」と「按摩術営業取締規則」が制定され、漢方の一つである鍼灸術や按摩術(あん摩)は、正式に国家の医療として復活しました。
按摩術の一部である骨折・外傷に対する医術は、江戸時代に「整骨」と呼び、その医者は「整骨医」、「接骨師」や「骨継(つ)ぎ師」と言われていました。明治7年(1874年)に「医制」が始まった際、整骨医は暫定的に医師と認められ「整骨科医」となり、西洋医学の試験合格者には「医術開業許可ノ證」を交付、明治17年(1884年)に、交付書を所持している者には「整骨科医術開業免状」が交付され、一代限り開業が可能となりました。新規の整骨科医開業は認め無いことになったことから、事実上整骨医は消滅したことになります。
試験に合格していない整骨科医には、明治18年(1885年)3月23日に「入歯、歯抜口中療治接骨営業取締方」が内務省より出され、「従前接骨業」者として取締を受ける立場になりました。その後「接骨科」を標榜して主に営んでいたのは、柔術家でした。明治44年(1911年)8月14日には「按摩術営業取締規則」の中に、「柔道の教授を為す者が打撲、捻挫、脱臼及び骨折に対して行う柔道整復術に準用すること」との文面が付け加えられた事により、柔道家は按摩師として開業する事が出来るようになりました。大正9年(1920年)4月21日には、内務省より発令された内令九により、「按摩術営業取締規則」が一部改正され、「接骨師が行う接骨術は認め難いが柔道家が行う柔道整復術なら妥当」とされ、按摩術の一部として正式に組み入れられました。
徒手整復術が、柔道整復術と名を変えて認められたことにより、本道・漢方は、薬草治療(漢方薬)以外国家医療として復活したことになります。
明治政府は、江戸時代に行っていた整骨医や接骨師の医術は、医師(外科医・整形外科医)が行うこととしたため、この名称は認めがたいという立場にあったことから、昭和23年(1948年)12月20日に「あん摩、はり、きゅう、柔道整復等営業法」が制定された際も、柔道整復術は「従前接骨業」以外は認めない事になっていましたが、昭和26年4月1日に、「あん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師等営業法」に改正され、柔道整復師という新しい名称の資格が誕生しました。柔道整復師は、厚生大臣の指定する学校を卒業して資格試験に合格した者に免許が与えられることになったことにより、徒手整復術を行う整骨医・接骨師が、柔道整復師に名前を変え、正式に国家医療を担う医者として認められることになりました。柔道家たちの活動と非観血療法による外科手術の有効性が認められた結果と言えます。
従来、柔術家が行っていた整骨術は、江戸時代に中国の整骨術やヨーロッパの矯正術を融合しながら独自に発展を遂げた日本固有の医術です。骨折や脱臼等に対する医術は、日本固有の伝統医療であることを、2001年に世界保健機構(WHO)が定義しています。柔道整復師は、緊急性を要する際はレントゲン撮影をすることが可能です。歴史的背景を考えると、整形外科医と連携を取りながら、「観血療法 による外科手術」か「非観血療法による外科手術(徒手整復術)」の選択を、患者様とともに協議したうえで術式を決定する医療体制が望ましいといえます。
按摩治療から、外傷に対する整骨術が独立して細分化され、薬草を用いた麻酔、外用薬や服薬以外は、昭和初期に医師や柔道整復師が担う制度になりましたが、徒手で行う手技であるあん摩術も細分化されました。明治期に生まれた「指圧」がその一つです。
(つづく)
東洋医学・東洋医療に関して、すぐに詳細をお知りになりたい方は、清野鍼灸整骨院ホームページ「東洋医学の辞書サイト」やブログをご覧頂きたく思います。「アーユルベーダ」の一つであるヨーガについては、「清野充典の東洋医学ひとりごと」のブログに掲載しています。
清野鍼灸整骨院HP http://seino-1987.jp/
清野充典の東洋医学ひとりごと https://seino1987.tamaliver.jp/c19872.html
平成31年3月25日(月)
東京・調布 清野鍼灸整骨院
院長 清野充典 記
【東京・調布 清野鍼灸整骨院】
院長:清野充典 中国学修士・鍼灸学士・社会福祉学士
はり師 きゅう師 柔道整復師 社会福祉士 精神保健福祉士 介護福祉士
開設記念日 1987年(昭和62年)2月2日(月)
場所:東京都調布市布田1-45-1 CIELOビル3階
(京王線調布駅東口北側目の前 新宿駅より特急15分2駅目)
3階総合受付
外来専門診療室
鍼灸総合治療室・整骨接骨治療室
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鍼灸婦人科 打撲
鍼灸小児科 挫傷
鍼灸心療内科 スポーツ外傷
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受付時間:平日午前9:00~12:00
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木曜午前 ヨーガ教室
午後1:30~5:30
土曜午前9:00~12:00
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【東京・府中 清野鍼灸整骨院 府中センター】
開設記念日 1991年(平成3年)4月6日(土)
場所:東京都府中市八幡町3-3-5 大久保ビル1階
(京王線東府中駅より徒歩3分 旧甲州街道沿い)
院長:吉田卓司 鍼灸学士
はり師 きゅう師 柔道整復師
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午後3:00~7:00
土曜午前9:00~12:00
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【清野治療所創業記念日】 1946年(昭和21年)10月5日(土)創業73年目