ロードフロンティアの様子をウォッチング!
こんにちは、ライターのまりんです。
皆さんは、4つの「助」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
昨今の日本では、さまざまな自然災害が全国的に起こり、総務省消防庁から防災危機管理という観点で「自助」「公助」「共助」の重要性が伝えられています。また、厚生労働省が提示する地域の包括的ケアシステムの中には「互助」という言葉もあります。
今日はこの4つの「助」の中でも、人口が減少の一途を辿る成熟社会において重視される「共助」について記事を書きたいと思います。
長くなるため、記事を二部構成とし、今回はそれぞれの言葉の定義と具体例、社会構造の変遷、これからの社会に求められる力についてご紹介します。
1.はじめに
本題に入る前に、各単語の一般的な定義を紹介します。
「自助」
自分のことを自分ですること。自発的に自身の生活課題を解決する力。
「公助」
自助・互助・共助では対応出来ないこと(困窮等)に対して最終的に必要な生活保障を行う社会福祉制度のこと。税による公の負担。災害時の救助や支援など。
「共助」
地域やコミュニティといった周囲の人たちが、互いに協力し助け合うこと。制度化された相互扶助のこと。医療、年金、介護保険、社会保険制度など被保険者による相互の負担。
「互助」
費用負担が制度的に裏付けられていない自発的なもの。家族・友人・クラブ活動仲間など、個人的な関係性を持つ人間同士が助け合い、それぞれが抱える生活課題をお互いが解決し合う力。
では、実際にこの4つの「助」は、どのような場面で見られるでしょうか。
2.4つの「助」
1)日常から見える具体例
それぞれの違いがイメージできるよう、一例をご紹介します。
私が行政の保健師勤務だった頃、業務の一つは「医療費負担の低減」でした。そのため、高額な医療を必要とする重大疾患の未然対策や、生活習慣病予防対策といった、さまざまなアプローチを行います。具体的には、市報やメディア、地域での講話活動などヘルスケアに関する情報提供、健康診断の受診・再検査の受診勧奨などです。
そのほか、受診率向上のため、5年に一度がん検診の無料クーポン券が配布、健康診断の受診料金の費用負担など、住まいによってさまざまな工夫もされています。これは「公助」に該当します。
健康診断の受診については、行政から市民全てにアプローチをすると言っても、会社勤務、農業、漁業など働き方や生活リズムも人の数だけあるため、行政からの声かけだけでは追いつかないことが出てきてしまいます。そのため、社会福祉協議会や民生委員、地域の会社、商工会議所などにも協力を仰ぎます。訪問先や勤務する社員へ健康診断に関するチラシを配布してもらう、また地域の健康診断ではなく指定医療機関であれば健康診断の受診ができるようになる、といった体制を整備します。会社は行政と連携をすることで社員の健康管理ができ、社員を含めた市民は、医療費の低減が実現できれば税金の負担が減るわけです。
これは、行政、企業、地域団体、各健康保険組合、医療機関など、各機関が連携することで実現されており、これが「共助」になります。
市民が自身の健康管理・疾患の早期発見のために健康診断を受診することは「自助」です。また中には「健康診断を絶対に受けない」という方もいますが、ご家族が一緒に受診に同行をする、もしくは勧めてくれる、といったことも多く、これは「互助」になります。
このように、私たちは今こうして生活をしている中でも、意識せずとも自然と「4つの助」 を実現しているのです。その中でもロードフロンティアでは「共助」「互助」を生み出していく仕組みを作っていきたいと考えています。
2)なぜ共助に注目するのか
2-1)社会の成り立ち方
下記の図をご覧ください。私たちが生活する基盤を「自分」からスタートして見ていきます。社会を構成する最小の単位「家族」、次いで「会社」「地域」と広がり、最終的にはそれらが「国家」を成しています。
2-2)戦後、どう変わったか
戦前は、前章にある図1のように、会社というのは家族が行う家業が主で、地域密着型の構図でした。しかし、敗戦後はGHQのプログラムが導入されたことにより、これまでの日本の教育(国が個人の軸を育て、自発的成長を促し、その先に個人は国のために行動をする、という修身教育、神道教育、地域由来の教育方針)が 廃止されます。
そこで断ち切られたものが、共助・互助といった、個々の繋がりです。
家族は生活のために出稼ぎに出る者が出て、地方から都市部へ移住するものが増えました。隣に住む人が誰かも知らない、というように、人の集まりである「地域」は移住者が増えたことで力が弱まり、人が集まるようになった会社が社会の構図において大きな力を持つようになります。
夫は会社に勤め妻はそれを支える、結婚式には会社の上司が挨拶までする、といった、会社が「家族」「地域」を飲み込むような社会の構図に変化したのです。
この頃はまさに企業城下町の隆盛で、茨城県日立市で「日立」、石川県小松市で「コマツ」、 愛知県豊田市で「トヨタ」という企業があるように、完全に企業と地域が合体するような状態になりました。
2-3)変わる「地域」の捉え方
会社は終身雇用、年功序列が難しくなったことで力が弱まり、家族や地域を取り込んで成り立つことができなくなりました。
これは、解雇問題だけでなく、早期退職の勧告や家族手当廃止など対策がされた企業も多く見るため、イメージしやすいのではないでしょうか。
成長社会では、前述したように会社主体の社会となっていましたが、人口が減少の一途を辿る成熟社会においては、またこの構図が変化しています。
そして「地域」の捉え方についても定義が変わります。 地域はリアルの場だけでなく、サイバー空間にも求められるようになり、メタバースが一つの地域に変わっています。バーチャル空間での繋がりができるようになった成熟社会では、これまでの「定住人口」ではなく「関係人口」で定義されるようになります。
つまり、
「人口≠その土地に住んでいる人」
「人口=その土地に来て何かをしてくれた人」
ということです。
また、地域が街おこしや商店街のイベントなどの企画で「家族」を巻き込み、弱体化した会社の代わりに「地域」が「家族」を結び付け、個別化した人々を集団の力を持てるようにします。 昨今、騒がれている地域活性はまさにその活動であり、だからこそ、ロードフロンティアも参画している部分でもあります。
図1~3 引用)株式会社ロードフロンティア:成熟社会ビジネス実践会資料「奪われた国史。歴史に学ぶとは何なのか?~ビジネスに活かす~」
2-4)必要となる地域の力
2023年10月、国際通貨基金(IMF)は、2023年の日本の名目国内総生産(GDP)がドルベースで世界3位から4位に転落し、ドイツに逆転されるとの見通しを提示しました。
日本の経済を立て直すためには、どうしたら良いのでしょうか。
戦後に弱体化していた家族・地域の力に加え、一度は大きくなっていた会社の力も成熟社会では弱まった現在。会社の力だけでその課題を解決することは困難です。
必要となるのは、国民が一体となって経済を復興する力、図で言うなら、地域と社会が力を合わせて起こすイノベーションです。
イメージとしては、図1に近い状態へ近づける必要がるのですが、図1と言っても、これから目指す状態は戦前の状態と似て非なるものです。
昨今、都心部から地方へ移住する人は、元々が地方出身の人とは限りません。都心に住んでいた人々が、テレワーク推進によって居住する場にとらわれることなく仕事ができるようになり、住む場所を自由に選択できるようになったことで移住する人もいます。
そのため、移住先で地域の人との関係性が図1の頃のように強いというわけではありません。人が動くだけで、地域の力が強まるわけではないのです。
必要なのは、力のある「地域」です。
成熟社会では、図1に似た構造で、しかし同じではない新しい地域の力を作っていく必要があると言えます。
地域の力が必要になるからといって、急に地域が何かしら自分たちで企画して動くことができるか、と言われると、おそらく困難でしょう。
しかし先に述べたように、これからの地域は「定住人口」ではなく「関係人口」が作っていくようになります 。テレワーク化が進んだ現代だからこそ、都市部に集まっていた人間が地域に戻り、メタバースの世界で遠くの地域の支援をすることが可能にもなっているわけです。
言い換えると、地域の力を大きくするために、そこへ居住地を移さなければならないわけではなくなった、ということでもあります。
地域の会社、テレワークをしている会社、居住する地域の人々、それぞれが支え合うことで、新しい社会の構造が生めるのではないでしょうか。
ロードフロンティアは、出社・ハイブリッド・フルリモートといったメンバーそれぞれの働き方を実現しており、この地域を巻き込んだ新しい社会構造を生める環境を作っています。
そして、そこで必要となる力が「共助」「互助」であるため、この力を生み出す仕組みを構築しているのです。
4.まとめ
この記事では、4つの「助」についてと、なぜその中でも今ロードフロンティアは「共助」に注目するのかをご紹介しました。
代表の並木は、地域を巻き込んだ活動の一環として、登別での地域リノベーションに参画をしています。小さな動きが社会全体へと広まり、国民がともに日本の経済復興に向けて力を発揮できたら、可能性は未知数だと思いませんか。
第二部では、ロードフロンティアのメンバーたち自身が「共助」を生み出すために大切にしていることを書きたいと思います。