DXって何?今のうちに知っておきたい正しいDXの意味とDXに必要なものとは!?
AIと経営者
1950年代から続くAIの研究は、ブームと冬の時代を繰り返し、2000年代からは「第三次ブーム」を迎えています。2022年にサービスが開始した「ChatGPT」、2023年に日本でも公開された「Google Bard」などは、経営者の方であれば、どのようなサービスであるかは把握されていることでしょう。
しかし、それらを実際に「自身で活用した」という方は、どれくらいいるでしょうか。自分は苦手だからと「AIや新しいことは部下に全てお任せ」状態ではありませんか?
これからAIを仕事に活用していきたいと考えている経営者の方は、ぜひこの記事をご覧ください。
AIを活用することで変えていけること、経営者でなければ変えられないこと、その違いを知ることができると思います。
会議時間から見える日本・海外の違い
AI時代とは言いますが、現在の日本の企業におけるAI活用状況はどうなっているのでしょうか。そしてそれは、海外と比較した際、どのような違いがあるのでしょうか。よく日本企業の課題として挙がる「会議時間」に焦点を当てて解説します。
アメリカのテックジャイアント企業を例に挙げましょう。ここでは毎日の業務にAIを使っており、売り上げ予測もダッシュボードです。マーケティングへの投資状況や、売り上げに関してどのようなデータを共有しているかも、テンプレートをもとに正確性の高い分析が可能です。経営幹部の会議も、全員がダッシュボードを見て今後のシミュレーションまでしたうえで行われるため、会議は主にブレスト、アクションプランの場となります。
対して日本の企業はどうでしょうか。
大手人材サービスグループの研究機関「パーソル総合研究所」と、立教大学の中原淳教授は、6千人のビジネスパーソンを対象とした調査で、不要な会議による損失の推計を算出しています。これは所属する企業規模・役職、不要に感じている会議の時間、そこで起きている問題などを調査したものです。その結果は、年間約67万時間、15億円も不要な会議に費やしているというものでした。この調査において、会議を無駄と判断する理由には、議論する必要のないものも会議を行う、ゴールが明確でなく会議後も何も決定されていない、などが挙げられました。
アメリカと日本の企業において、会議の在り方に何故これほど違いがあるのでしょうか。
これはやはり「意思決定・経営判断のスピード」の差と言えます。そしてそのスピードに影響する要素の一つに「AI」があります。
会議時間は、資料作成や開催連絡など事前の準備も必要となります。会議の数が多ければ多いだけ、その時間も増えるということです。日本は会議を円滑に進めるために、この資料作成に時間をかける傾向があり、会議では丁寧に作成した資料の説明に時間を割くことが多い現状です。しかし、テックジャイアント企業ではそこをAI活用でフォローしています。AI活用によるデータの見える化、それを判断のソースとして活かすだけで、会議時間や損失額抑制の効果が期待できるでしょう。
日本のAI活用状況
先の話のように、会議時間一つとっても、日本と欧米のAI活用状況に違いが見えたと思います。
では、その差はどれほどのものかを、段階別で評価して、より分かりやすくしてみましょう。
日本経済団体連合会は、企業におけるAIの活用状況を5段階で見る「AI-Ready化ガイドライン」を提示しています。
(図1 参考:日本経済団体連合会「AI-Ready化ガイドライン」)
テックジャイアントを含め、欧米の先進企業はこのガイドラインで見ると「レベル5実現」の段階です。
日本は、というと、現在多くの企業は「レベル1~2」にいる現状です。
AI時代と言われるようになったにも関わらず、こうして段階で見ると、その差は大きいことがわかります。
では、今日本の経営者がAI時代を生きるためには、どのようなことが必要なのでしょうか?
経営者がAIを知っておくべき理由
AI活用をするにあたり、経営者が最もしてはならないこと。それは「経営者自体はAIを知らず使ったこともない」ことです。自分はできないが、今の若者は得意だろう、と部下任せの考えでいる方は、一度、本当にそれで良いかを考えてみてください。
ビジネスのオーナーシップを握る経営者が考えることは、業務効率化・省力化だけではないはずです。AIを活用することでどれだけの業務効率化が進み、活用方法によってどうビジネスをシフトするか、ビジネスモデル事態を考える。それができるのは、部下ではなく「経営者」です。部下に任せきりであれば、どんなに有能な部下がAI活用で企業内の業務効率化を図ったとしても、そこまでになってしまいます。
だからこそ、ビジネスを変換させる存在である経営者は、AIについては知っておくべきであり、知るためにはまず使ってみることが大切だと私は考えています。
とは言え、AIを学ぶとは何をすればいいのか、と思う方も多いでしょう。
おすすめの方法は「今ある身近なAIを実際に触ってみる」ことです。
たとえばChatGPT、GoogleのBard、Midjourneyなど巷で話題に上がるAIであれば、最近始めたばかりの人たちが活用方法についてまとめた情報が目に触れやすくなってきたため、抵抗なくスタートしやすいでしょう。使用してみると、そのAIを活用してどのようなことをしてみたいか、先を考えることができます。
プレゼンテーションのスケルトン作成や、トークスクリプトを考える際に、文章生成AIのChatGPTを活用するというのも一案です。ニーズにおいて、ウォンツを出すことができる生成型のAIは、業務効率化に非常に効果的です。
ビジネスモデルをつくるのは人かAIか
ここで一点おさえておきたいことは、
「AIでできることは、あくまでも業務の効率化や今後のビジネスの可能性の要素である」
ということです。
AIを導入したからといって、ビジネスは勝手にAI時代に沿ったものに変わるわけではありません。ビジネス、ビジネスモデルを変えるのは「人=経営者」です。
よく、AI時代になると人間の仕事が奪われるのでは、という声を耳にしますが、あくまでもAIは人間が使うことで活かされるものです。そしてそれがどうビジネスに活かされるかは、経営者の力量で異なります。
たとえば冒頭で紹介をしたテックジャイアント企業は、既存のビジネスを崩壊した先に新しいビジネスを見出しており、そこでは全てがデータドリブンであり、AIドリブンです。
日本はAI活用を「業務を効率化させるため」に使う、という認識に対し、アメリカは「AIでいかにビジネスを変えるか」「どれだけビジネスモデルを作るか」「AIドリブンで投資収益率を策定していくか」というところに軸足を置いています。その目的意識の違いが、AI活用段階の差につながっていると言えるでしょう。
企業におけるAI活用状況の違いを生んでいるのは、企業経営者ではないでしょうか。
まとめ
この記事では、世界と比較した日本のAI活用状況と、AI時代を生き抜くうえで経営者がAIを知っておく必要性・その理由についてご紹介しました。
人に任せられること、AIで対応できること、経営者自身にしかできないこと。この違いを理解したうえで、どうビジネスを動かすかは、オーナーシップを握る経営者です。
既存の課題を解決すべく、業務効率化・省力化のためにAIを活用することももちろん重要なことですが、経営者はそこまでに留まらず、その先のビジネス、ビジネスモデルの可能性を考えていくことが必要です。AI活用をした先を見据えて動くことが、これからのAI時代を生き抜く重要なポイントとなるでしょう。