コロナ禍のまま突入する2021年、ビジネスモデルどう作る?フロー?ストック?

並木将央

並木将央

テーマ:成熟社会の理解度アップ!

コロナ禍の影響で今までのビジネスモデルは崩壊する

2008年以降、徐々に成熟社会へシフトしてきましたが、コロナ禍の影響で加速しています。コロナ禍の影響で人が外出を控えるようになったことにより、最も打撃を受けたのはインバウンド消費がメインである百貨店をはじめとする小売業だそうです。また、旅行業・ホテル業・航空業、外食産業なども大きく打撃を受けていますね。日々、顧客が入らないと売上が立たないビジネスモデルは、常に顧客を大量獲得しなければならないので、人々が出歩かなくなったときにダメージを受けやすいです。

ビジネスで「選択と集中」は危険

「選択と集中」とよくビジネスの場で言われておりますが、私は、それは間違いだと思っています。投資の世界では、分散投資が当たり前なのに、なぜビジネスの世界では一点集中するのでしょうか?ひとつのかごに卵を盛るのは、怖くありませんか?

怖いですよね。ひとつの事業のみで勝負するというのは、1つのかごに卵を盛っているようなものです。そんなに幅広くビジネスを仕掛けている余裕がないのもよく分かりますが、今回のコロナ禍の影響から、1つのかごに卵を盛る怖さが身に染みたという方も多いのではないでしょうか。分散させるために効果的なのは、ストックビジネスです。新規開拓重視型のビジネスモデルをフロービジネスと言い、継続重視型のビジネスモデルをストックビジネスと言います。1つのストックビジネスを完成させたら、次のストックビジネスにと分散をしていきましょう。積み重ねた結果が分散投資の形を作っていきます。

特定のジャンル内で分散してストックビジネスを行っても、同じようなかごに卵を盛っている状態なので、特定のジャンルが沈んだときに一気に売上が減少することが避けられません。しっかりとジャンルを分けて、同じ外的要因に左右されないようにしていくことが重要です。

フロービジネスとは?

フロービジネスとは、何でしょうか?ストックビジネスは農耕に例えられます。農耕をする前に人類がしてきたことは、狩猟ですよね。狩猟のようなビジネスは、フロービジネスと言います。先ほど冒頭でお伝えした、日々、顧客が入らないと売上が立たないビジネスモデルは狩猟型ビジネスですね。狩猟に出たからと言って、常に食物を確保できるかはわからないのと同じく、店で待ち構えたからと言って、営業に出たからと言って、常に顧客を獲得できるかわからないからです。狩猟だと、どれだけの食物を手に入れられるかわからないので、どれだけの人を養えるのかわからないですよね。そのため、コミュニティは発展しませんでした。人類は、自ら食物を育てること(農耕)を覚えたときに初めてコミュニティが拡大し、村を作ることができました。村が発展し、国ができました。ビジネスも同様です。フロービジネスでは、未確定要素が多く、どれだけの収益を手に入れられるかわかりません。そのため、どれだけの人を養えるかも不安定となります。

飲食店をイメージしてもらえれば分かりやすいと思いますが、ホールスタッフ2人に対して、来店数が多かったらスタッフはてんやわんやの大忙し、もっとひどければ、運営が回らないということにもなりかねません。反対に、来店数が少なかったらスタッフを遊ばせてしまいます。

ストックビジネスとは?

ストックビジネスとは、何でしょうか?先ほどもお伝えしましたが、ストックビジネスは農耕に例えられます。作物を育てるように、ビジネスを育てていきます。撒いた種が芽を出せば、少しの手入れで勝手に育っていってくれます。ビジネスも同様です。ストックビジネスでは、初期導入の手間は大きいですが、一度育ててしまえば、あとは定期的に定額の収益を得ることができます。どれだけの人を養えるか計算することが可能となります。ストックビジネスと呼べるのは、継続的に利益をもたらし、人に帰属せず誰でも扱えるものであることが好ましいです。例えば、自動販売機事業はストックビジネスですが、カリスマシェフのフレンチはシェフに帰属しているのでストックビジネスとは言えません。そのシェフが辞めてしまったら、終わってしまうようなビジネスの仕方ではいけないのです。

ストックビジネスの実例

ストックビジネスの体現として最も良い例は、防犯対策やセキュリティ、警備のセコム社です。営業マンの給与は固定給にしておけるのに、毎月売上は積みあがっていくので、会社の利益が伸びていきます。また、セコム株式会社はセキュリティ以外にも、防災、メディカル、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産と幅広くビジネスを展開していっています。うまく分散しているわけです。

また、ストックビジネスへの移行が最もきれいな例として挙げるのであれば、ソフトバンク社です。「ソフトバンク」コンピュータソフト卸売事業から始まり、「Yahoo!Japan」ポータルサイト事業・インターネット広告事業へと移ります。ここまではストック性はそれほど強くはありませんが、「Yahoo!BB」ADSL事業からはストック性は抜群です。その後、「日本テレコム」電話通信事業、「ボーダフォン(現ソフトバンク)」携帯電話事業へと進めていっています。見事なストック化です。「孫氏だからできた」と片付けずに、ストックビジネスにするための思考力を身に付けることは大事です。

ストックビジネスとサブスクリプション

ストックビジネスを考えるときにセットで言われるのが、サブスクリプションです。ものを買い取らせるのではなく、利用した期間に応じて料金を支払うビジネスモデルを「サブスクリプションモデル」といいます。継続的な収益を上げられるので、ストックビジネスの代表的なビジネスモデルとしてよく例に出されます。
●Hulu(フールー)やNetflix(ネットフリックス)をはじめとする動画配信サービス
●dマガジンやKindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)をはじめとするマンガ・小説・ビジネス書の配信サービス
●PlayStation Now(プレイステーション ナウ)やNintendo Switch Onlineをはじめとするゲーム提供サービス
●Pairs(ペアーズ)やゼクシィ縁結びをはじめとする婚活アプリ
●MECHAKARI(メチャカリ)やLaxus(ラクサス)、SparkleBox(スパークルボックス)をはじめとする洋服やアクセサリー、カバンのレンタルサービス
その他、ソフトウェア提供サービス、自動車や自転車のレンタルサービスでサブスクリプションモデルは使われているので、消費者目線で皆さんも馴染み深いのではないでしょうか。貴社のビジネスはサブスクリプションモデルを取り入れることは可能か考えてみると良いでしょう。最後に、サブスクリプションモデルの事例として、従来、ケース単位で購入させるのが通例だったコンタクトレンズを見ていきましょう。エースコンタクトでは、月額でコンタクトレンズを使い放題といったプランを導入し、サブスクリプションモデルを取り入れています。そう考えると、自社でも何かできそうな気がしませんか。

サブスクリプションの他にも、会員制や友の会、消耗品購入型、賃貸契約型などストックビジネスのビジネスモデルは色々な形があります。ユーザー1人から回収する額は少額でも、ストックビジネスの売上は、「収益×人数×継続率」で決まってきますので、3つの掛け算の最大値を目指せる仕組みを考えていきましょう。「人数」は増やすよりも減らさない工夫が求められます。利益が積み上がっていく〝打ち出の小槌モデル〟のような形にし、貴社にとって頼れるストックビジネスを作っていきましょう。

まとめ

一点集中のビジネスモデルが怖いということは、皆さん今回のコロナ禍で強く感じたのではないでしょうか。複数のストックビジネスで分散する、これが成熟社会に必要な形です。選択と集中はやめましょう。参入障壁を築き、ストック化すれば外的要因事業はうまく回ります。アフターコロナで疲弊しないためにも、ニュータイプの成熟社会にシフトしていきましょう。

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並木将央
専門家

並木将央(経営コンサルタント)

株式会社ロードフロンティア

人口減少に伴う「成長社会」から「成熟社会」という社会の大きな変化に対応した経営変革を支援。人材獲得、人材育成、業務効率化、資金繰り、売上UPなどの課題を同時解決するコンサルティングサービスを提供。

並木将央プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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