岸田政権が提唱している資産所得倍増って?アメリカでの資産所得=財産所得は? 投資初心者が知らなかった資産運用
(RIA JAPAN広報部より)
このシリーズでは、4年以上にわたりRIA JAPANのコラムを読んできた投資初心者の方に、「なるほど!」と感じたポイントや「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただいています。
投資初心者の方による執筆記事は、今回で第207回目です。
今回はトルコリラ建ての債券について執筆いただきました。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。
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利回りが30%超と書かれていたら「これなら儲かる!」と思ってしまうかもしれません。
でも、世の中はそんなに甘くありません。
支払いコストがかかれば、30%なんて軽く飛んでいくかもしれないからです。
外貨建ての新興国債券投資では現実に起こりえることなんです。
利回り30%超という魅力?
「利回り30%以上」
そんなのあるなら見てみたいという人もいっぱいいるのではないでしょうか。
すごいですよね。これが実際にトルコ・リラ債券で販売されている一例です。
*トルコリラ建ゼロクーポン債(2031年3月4日満期)の利回り年34.315%記載(2026/9/14時点、税引前・現地通貨ベース)
「こんなに儲かるなら、両替手数料があってもプラスが大きい!」
そう思うのも無理はありません。
ちゃんと計算していないからこそ、安心してしまうわけです。
そこでコストがどのくらいなのか、実際に計算してみましょう。
100万円を投資した場合のシミュレーション
このトルコリラ建て債券に仮に100万円を投資したらどうなるのか、順を追ってシミュレーションしてみましょう。
ステップ1:購入時の為替スプレッド(行き)
まず、日本円をトルコリラに両替する必要があります。
この証券会社(A社)の場合、2026年9月11日時点で、1トルコリラの基準レートは*約3.2円です。
(*厳密には3.19円だが、計算をわかりやすくするため、本記事では3.2円で計算)
A社の買付時の為替スプレッドは0.25円です。
・基準レート:3.2円 ・買付スプレッド:+0.25円
・A社の実際の購入レート:3.45円
【100万円で購入できるトルコリラ】
・スプレッドなしの場合:100万円 ÷ 3.2円 = 約312,500トルコリラ
・実際(スプレッドあり):100万円 ÷ 3.45円 = 約289,855トルコリラ
差額は約22,645トルコリラで、円換算すると約7.2万円のコストです。
これは投資額100万円に対して約7.2%の為替スプレッドになります。
ステップ2:約4年6ヶ月後の償還(帰り)
満期を迎えると、ゼロクーポン債はトルコリラ額面の100%で償還されます。
日本円100万円分購入時は約29万トルコリラでしたが、
償還時には約108万トルコリラ*を受け取れます。
これがトルコリラベースでの利益です。
(*実際の購入額は289,855トルコリラ、購入単価が額面100に対し26.773のため、償還時の額面は約1,082,639トルコリラ)
仮に日本円に戻す場合には、再び為替スプレッドがかかります。
償還時の為替スプレッドは0.5円です。
仮に為替レートが購入時と同じ3.2円だった場合
・基準レート:3.2円 ・償還時スプレッド:-0.5円
・実際の円転レート:2.7円
【約108万トルコリラを円転した場合】
・スプレッドなしの場合:1,082,639トルコリラ × 3.2円 = 約346万円
・実際(スプレッドあり):1,082,639トルコリラ × 2.7円 = 約292万円
差額は約54万円で、これは受取額346万円に対して約15.6%の為替スプレッドになります。
往復の為替スプレッド合計
・行き(買付時):約7.2%
・帰り(償還時):約15.6%
・合計:約22.9%
表面利回りが34.315%あっても、為替スプレッドだけで約23%も目減りしてしまうのです。
ステップ3:税金も忘れてはいけない
さらに重要なのが税金です。
外貨建て債券の償還差益は譲渡所得として課税され、
円ベースの利益に対して20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。
【100万円投資した場合の税金計算】
A:投資額:100万円
B:償還時円換算額(スプレッド適用後):約292万円
C:税引き前円ベースの利益:約192万円(B-A:約292万円ー100万円)
D:税金:C×20.315%
約192万円 × 20.315% = 約39万円
E:実際の手取り:B-D
約292万円-約39万円 = 約253万円
F:実際の利益:E-A
約253万円ー100万円=約153万円
税引前は192万円の利益でしたが、税金39万円を引かれると実際の手取りは153万円の利益になります。
為替スプレッドと税金を差し引くと、表面利回り34.315%は実質年利回り約23%に下がってしまいます。
(償還まで約4年6ヶ月、複利ベースの計算)
ただし、これは為替が全く変動しなかった前提での話です。
変動しやすい新興国為替 過去の暴落に注意
しかし、最大のリスクは為替の変動です。
新興国の相場の変動は読みにくいうえに、水準が大きく揺れ動くのです。
トルコリラの為替推移 約8年で84.8%暴落
実際のトルコリラの為替推移を見てみましょう。
・2018年12月28日 20.97円
・2024年12月27日 4.51円
・2026年9月11日 3.19円
*TTM(仲値)、三菱UFJリサーチ&コンサルティングより
つまり2018年末に20.97円でトルコリラを購入していた場合、
2026年9月11日には3.19円まで下落しており、為替の下落率は84.8%にもなります。
【計算式】
下落率 = (3.19円 - 20.97円) ÷ 20.97円 × 100 = -84.8%
仮に100万円分のトルコリラを2018年末に購入していた場合、
運用せず、為替変動だけで100万円が約15.2万円まで目減りしてしまう計算です。
表面利率が20%や30%近くあったとしても、
為替の下落の影響で約80%もの損失になってしまう可能性があるのです。
為替次第で元本割れの可能性も
それでは、償還時の為替レートによってそれぞれどう変わるかシミュレーションしてみましょう。
ケース1:為替が現状維持(基準レート約3.2円)の場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前):約292万円
・円ベースの利益:約192万円
・税金:約39万円
・実際の手取り:約253万円
・実質利益:+約153万円(+153%)
・実質年利回り:約22.9%
ケース2:基準レートが2.5円まで下落した場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前・スプレッド0.5円適用後の実質レート2.0円):約217万円(1,082,639TRY × 2.0円)
・円ベースの利益:約117万円
・税金:約24万円
・実際の手取り:約193万円
・実質利益:+約93万円(+93%)
・実質年利回り:約15.7%
利益は出るものの、大幅に目減りします。
ケース3:基準レートが1.5円まで下落した場合
・投資額:100万円
・償還時円換算額(税引前・スプレッド0.5円適用後の実質レート1.0円):約108万円(1,082,639TRY × 1.0円)
・円ベースの利益:+約8万円
・税金:約1.7万円
・実際の手取り:約107万円
・実質利益:+約7万円(+7%)
→ 表面利回り34.315%でも、基準レートが約1.42円(スプレッド引後の手取りレートで約0.92円)を下回ると元本割れ!
過去8年弱で84.8%下落した事実があります。
償還時の2031年に1.4円を下回る可能性もあり得るかもしれません。
その場合、高利回りでも損失を被る可能性があるのです。
「高利回り」の落とし穴 コストを%で理解する
為替スプレッド、税金、そして為替変動で利益は簡単に吹き飛んでしまいました。
「為替スプレッドは0.25円ですよ」とセールスされたら安く感じてしまいがちです。
しかし、計算する時には単位を揃えて考える。
円という単位ではなく、コストを%で理解することが重要です。
表面利回り34.315%という数字だけに惑わされず、
実際のコストと為替リスクをしっかり理解することが大切だといえるでしょう。
(注 正確性を保証するものではありません。税金については税務の専門家にご確認ください。
本記事に対する、一般投資家からの質問等は受け付けておりませんので、ご遠慮ください。
特定の金融商品に対して、推奨等や投資判断を示したものではありません。仮に投資を行う場合は自己責任でご判断ください。
なお、筆者および筆者の経営会社は、金融商品の販売を行っておりません。)
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(以下、編集後記)
今回、投資初心者さんには、トルコリラ建ての債券について執筆いただきました。
トルコ・リラ等の新興国通貨の両替手数料、為替変動リスクに注意してほしいと思います。
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P34よりトルコリラについて解説しています。
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繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、
「なるほど!」と感じたポイントや「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただいたものです(第207回目)。
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