DC金融機関や投信選びは数?iDeCoやNISAに使えるリターン向上の大きなポイントとは? 投資初心者が知らなかった資産運用

安東隆司

安東隆司

テーマ:投資初心者

(RIA JAPAN広報部より)
このシリーズでは、4年以上にわたりRIA JAPANのコラムを読んできた投資初心者の方に、「なるほど!」と感じたポイント「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただいています。
投資初心者の方による執筆記事は、今回で第205回目です。
今回はDCで投資信託を選ぶときに、商品数の多さよりも大切な基準について執筆いただきました。
RIA JAPANは、資産運用において「低コストの重要性」を長年発信し続けてきました。
誤解が無いように一部表現を校正した箇所があります(*)は編集部校正。
本記事では、個別の商品を推奨するものではありません。
********************
投資信託を選ぶとき、みなさんは何を基準に考えるでしょうか。
商品数が多い金融機関のほうが選びやすそうですし、有名な名前の商品であれば安心感もあるかもしれません。
ですが、本当に大切なのは、数の多さや名前の印象だけではありません。
長く続ける資産運用だからこそ、まず見ておきたいのはコストです。

商品の数が多ければ、それだけ良いとは限らない

iDeCoやNISAで投資信託を選ぼうとすると、商品がたくさん並んでいることがあります。
選択肢が多いこと自体は悪いことではありません。
ですが、選べる商品が多いほど、かえって本当に大切な判断基準が見えにくくなることもあります。

投資信託の運用には、保有している間にかかる信託報酬等があります。
このコストは、買う時に一度払って終わるものではありません。
持っている間、日々かかり続けるものです。
そのため、最初は小さく見えても、運用期間が長くなるほど差が積み上がっていきます。

投資初心者の方ほど、商品名や本数の多さに目が向きやすいかもしれません。

ですが、長期の資産運用では、そうした見た目の違いよりも、どれだけ低いコストで持ち続けられるかが、後々の成果に大きく影響してきます。
リターンはコントロールできないですが、コストはコントロールできるのです。

高いコストは、リターンを静かに削っていく


投資信託を選ぶとき、つい「人気があるか」「よく売れているか」に目が向きがちです。
ですが、実際に見ておきたいのは、どれだけのコストを払って、その結果としてどれだけのリターンが出ているかです。

特に長期の資産運用では、信託報酬等の差は小さく見えても、じわじわと効いてきます。
高いコストの商品が、必ずしも高い成果につながるわけではありません。
実際に、2026年8月末時点の1年リターンを見ても、その傾向はかなりはっきり表れています。
ここで2026年9月10日時点での投資信託の純資産総額TOP5銘柄を見てみましょう。
(ざっくりというと、多く資金が集まっているランキング ≒ 売れ筋・人気上位のランキングです)

順位分類の見方ファンド名実質信託報酬(%)リターン1年(%)純資産総額(億円)
1インデックス・全世界株式eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)0.05775+33.12134,769
2インデックス・米国株式eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)0.0814+30.44124,545
3アクティブ・先進国株式型インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)1.903+24.3740,977
4インデックス・米国株式SBI・V・S&P500インデックス・ファンド0.0938+30.2929,662
5アクティブ・米国成長株型アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型1.727+15.7427,345

(データ:QUICK 資産運用研究所 2026年9月10日時点、1年リターンのみ8月末時点のもの)
※本データは情報提供を目的とするものであり、個別の商品の推奨ではありません。またデータの正確性を保証するものではありません。

この比較を見ると、低コストのインデックス型2~3本が、コスト面で大きく上回るだけでなく、1年リターンでも高水準であることがわかります。
一方で、人気や残高の大きさがある高コスト商品でも、1年のリターンではコスト差に見合うだけのパフォーマンス差が出ているとは言いにくい状況です。

たとえば、世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)は、実質信託報酬が1.903%です。
これに対して、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は0.05775%ですから、コスト差は非常に大きいといえます。
それでも、1年リターンは前者が+24.37%、後者が+33.12%で、むしろ低コスト側が上回っています。

また、アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型も、実質信託報酬は1.727%です。
これに対して、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は0.0814%、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドは0.0938%です。
1年リターンを見ると、アライアンス・バーンスタインの+15.74%に対して、低コストの米国株インデックス型は+30%前後となっており、差はかなり大きくなっています。

もちろん、1年だけで投資信託のすべてを判断することはできません。
また、アクティブ型が常にすべて悪いという意味でもありません。
ですが少なくとも、高いコストを払えば、それだけ高いリターンが自動的に得られるわけではないことは、この比較からも見えてきます。

投資初心者の方ほど、「人気がある」「よく売れている」「分配金が出ている」といった見えやすい要素に引っ張られやすいかもしれません。
しかし、本当に見ておきたいのは、保有中にどれだけコストがかかり、その結果としてどれだけ成果が残るのかです。
高いコストは、派手に見えなくても、リターンを静かに削っていく。
だからこそ、商品選びではコストを後回しにしてはいけないのです。

低コストの基準の一つは「信託報酬等0.40%未満」

では、投資初心者は何を基準に見ればよいのでしょうか。
その一つの目安として、「信託報酬等は0.40%未満」という考え方です。
(*編集注 この低コスト基準の考え方は、2016年12月にRIA JAPAN代表がiDeCoの電子書籍で初出版した時に、DCラインナップからどのような商品をえらぶべきかの判断として提唱したものです。約10年経過した本記事執筆時はDCの投資信託でも0.40%未満の投資信託も増えてきました。しかし企業型DCにおいてはでは、未だに0.40%を大きく超えるアクティブ型銘柄も存在しているものと考えられます)

この基準は、単に「安ければ何でもいい」という意味ではありません。
国内株式、外国株式、新興国株式、国内REIT、外国REITなど、さまざまな資産クラスを見比べる際に、まず高コストの商品を避けるための、実務的な目線です。
長期運用では、リターンを大きく増やすことだけでなく、余計なコストで削られないことも重要になります。

特にiDeCoのように、長い年月をかけて積み立てていく制度では、保有中のコスト差が効いてきます。
短期では目立たなくても、10年、20年と積み重なると無視できない差になることがあります。
資産運用は、「何を買うか」だけでなく、どれだけコストを抑えて持ち続けられるかまで含めて考える必要があるのです。

初心者だからこそ、知っておくことで損を避けられる可能性

投資を始めたばかりだと、名前を知っている商品、有名な運用会社、たくさん並んだ選択肢に安心感を持つことがあります。
ですが、資産運用は印象で決めると、後から差が出やすい世界でもあります。

商品数の多さより、実際の信託報酬等を見ること
名前のイメージより、長く持った時のコスト負担を見ること
高コストであることを見落とさないこと

こうした視点を持つだけでも、商品選びの精度は大きく変わってきます。
「選択肢が多いから良さそう」ではなく、
「その中で、どれが自分にとって無理のない低コスト運用につながるか」で考えること。
それが、投資初心者にとって大切な最初の一歩ではないでしょうか。

********************
(以下、編集後記)

今回、投資初心者さんには、DC制度の投資信託選びにおける「コスト基準」について執筆いただきました。
RIA JAPANでは、かなり前から、商品の数の多さや名前の印象ではなく、信託報酬等という実際のコストを見ることの重要性を発信してきました。

近年は、低コストのインデックス型投資信託が日本でも広く普及し、公募投信の残高上位にも並ぶようになっています。
一方で、人気がある商品であっても、コスト水準まで見てみると大きな違いがある、という事実も変わりません。
今回、記事の執筆にあたって、純資産ランキングTOP20銘柄をあらためて調査しましたが、
弊社の考える低コスト基準「信託報酬0.40%未満」の銘柄はTOP20銘柄中、12本でした。
低コストのインデックス型の優位性を長年発信してきた立場として隔世の感があります。
一方で、残りの8銘柄は購入時手数料3.3%・信託報酬1.5~2.0%の高コスト商品でした。
「人気の商品だから安心」とは限らない
ことが実際のデータからもわかるかと思います。

投資初心者の方にとって大切なのは、「有名だから」「たくさんあるから」で選ぶことではなく、長く続けたときにどういう差になるのかを考えることです。
積立投資が当たり前になってきた今だからこそ、コストを見る目を持つことの意味は、以前より大きくなっているといえるでしょう。

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・ダイヤモンドオンライン
 「販売時手数料0」、10年で25%支払い
・著書「NISA・つみたてNISA・iDeCoプロの選び方教えてあげる!」
 P105以降「5-1 投資信託選択のポイント① 運用コストで比較する」にて解説しています。
 NISA・つみたてNISA・iDeCoプロの選び方教えてあげる!Amazon販売ページ
・知ってトクするおカネ学 公式YouTube動画
 ノーロード投信とコストについてYouTube動画でも解説しています。


繰り返しになりますが、本記事はRIA JAPANが、投資初心者に弊社発信のコラムで、
「なるほど!」と感じたポイント「投資を始める前に知っておきたい!」と感じた内容について執筆いただいたものです(第205回目)。
※本データは情報提供を目的とするものであり、個別の商品の推奨ではありません。

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安東隆司
専門家

安東隆司(投資顧問)

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

富裕層の資産の管理や運用、承継などを行う。売買手数料0などお客様と利益相反の少ないサービスを追求。また、海外ETFを中心とした資産形成の知識・経験が豊富。テーラーメードの投資助言を大切にしている。

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