流行りに振り回されない資産運用② 世界の方向性「メガトレンド」とは?
2024年8月5日の日経平均株価は1日で12.4%(4451円)下落し、下落幅で過去最大、下落率では1987年以降で2番目の大きさでした。
(データ:日本経済新聞)
この記録的な下落は一部メディアで「令和のブラックマンデー」と紹介されました。
個人投資家は市場から退出せず、落ち着いた行動がとられていたとの報道もありました。
(2024年8月21日 日本経済新聞夕刊「個人投資家、株急落でも退出せず」)
8/7の大規模な流出はいつの発注なのか
一方で2024年の年初来資金流入額第1位(9月末時点)のファンドで
2024/08/07に過去最大となる200億円超の資金流出(解約)があった
ことが報じられています。
このファンド(以下Aファンド)は
・全世界の株式に投資するインデックスファンドで、
・NISAの成長投資枠・つみたて投資枠でも運用ができ、
2024年1月には1日で1000億円を超える資金流入もありました。
2024/08/02は日経平均株価終値は-5.8%(2216円)下落しました。
Aファンドは▼1.64%の下落でした。
8/2(金)夜のニューヨーク市場では、ナスダック総合指数が▼2.4%など下落がありました。
そこで8/3(土)、8/4(日)にも売却の決意をした投資家がいたのでしょう。
そして8/5(月)の日経平均での▼12.4%の相場下落です。
Aファンドは▼4.93%下落します。
8/6(火)のAファンドは更に▼2.49%下落します。
8/2(金)15時以降~8/5(月)15時までに解約が、
8/7(水)の解約額に反映されたのです。
投資信託では注文時点で約定価格がわからない
このファンドのように海外資産で運用する投資信託では、一般的に、
15時までに注文した場合は翌営業日の夕方に基準価額が決定し約定し、
翌々営業日に残高に反映
されます。
つまり注文から2営業日後に残高に反映されることになります。
8/3(土)、8/4(日)売却者は想定外下落も
8/3(土)、8/2の海外市場でナスダック▼2.4%の下落を知り、
「同程度の下落だったら、まだトクして売れる」と思った人がいたとしましょう。
▼2.4%の下落だったら、まだ損が出ないで売り抜けられる場合もあったとします。
しかし、8/5(月)は▼4.93%、8/6(火)は▼2.49%も下落してしまったのです。
損してまで、売却するつもりで無かったのに、売ってしまった
という投資家がいた場合が考えられるのです。
下記チャートはこの投資信託の6ヶ月チャートです。
(楽天証券にて2024年10月11日AM10:45取得 期間2024年4月10日~2024年10月10日)
結果論ではありますが、ここ6ヶ月で最低値での売り注文となってしまいました。
人によっては想定より安い値段でわざわざ損して売ってしまった可能性があります。
投資信託ではいくらで売れるかわからない。ETFは指値注文が可能
このように、投資信託では売却注文をした後に価格が下落し、想定より下回る値段で売ってしまう可能性があります。
富裕層がETFを使う理由、指値が出来て価格管理可能
一方でETFではリアルタイムでの指値注文が可能です
指値注文は、売買の値段を自分で指定して注文する手続きです。
指値の水準に届かなかったら約定しません。
そのため、「想定より安い値段でわざわざ損して売る」ということが発生しないのです。
2020年記事再掲 市場から退出していると上昇機会を失う
今回、焦って売りの注文を出した人は結果として低い値段での売りとなってしまいました。
焦って退出せず、市場に留まる判断が重要だとRIA JAPANは考えています。
今回の下落当日(2024年8月5日)にも同様の内容を発信しています。
(該当記事へのリンクは本ページ下部に掲載しています)
RIA JAPANでは長期での低コストのインデックス運用を発信し続けてきました。
以下の内容は2019年の書籍、2020年番組で既に採り上げ、記事化したものです。
今回の事例とも共通点があると考えられるため再掲します。
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RIA JAPANではこう考えています
・市場から退出していると、上昇機会を失う
・タイミングを図る投資に必勝は期待できない
「強気相場のリターンは、弱気相場の損失を補って余りある」
ETFプロバイダーで有名な、バンガードの最高投資責任者である、
グレッグ・デイビス氏の言葉です。
世界の株価動向を長期的な視点で見ると、世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りあることがわかります。
長期運用のケースでは大きな下落があってもいずれその下落分を超える上昇を続けてきました。
注記:弱気相場とは、直近の株価の最高値から20%下落した相場を指します。
出所:トムソン・ロイターのデータに基づきバンガードが算出。リターンは1980年1月1日から1987年12月31日までをMSCIワールド・インデックス、1988年1月1日から2019年6月30日までをMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスにより、1979年12月31日を100として算出
4.86%?1.10%?▼2.43%?どれを選ぶ?
・2000-2018年のS&P500のリターンは4.86%(複利)でした。
・しかし同期間中で最もリターンの高かった10日間を除くと、S&P 500インデックスの年複利リターンはわずか1.10%となります。
・最もリターンの高かった25日間を除けば、年複利リターンは-2.43%になります。
・市場の最高値と最安値は得てして判断が難しく、市場のタイミングを図って行う短期売買が成功するというのが誤った通説とされるのは、こうした理由によります。
出典:2019年10月25日グレッグ・デイビス「終わりのない弱気相場はない」より
変動の多い株式、最高値で売り、底値で買うことは実質不可能
株式には変動があります。
「高値で売って、底値で買う」
これは理想ですが、どこが高値という判断は誰にもできません。
最近の事例を考えてみます。
COVID-19の発生時、とあるプロのファンド・マネージャー(FM)が
「第2波がくる。だからキャッシュで待機資金を持っています」
このように言っていました。
また、当時、回復は「V字型」ではなく「L字型」との見方が大勢でした。
結果はどうだったでしょうか?
待機資金を持った者は、参入機会を失い、上昇の機会を逸して
しまったのではないでしょうか?
V字型の回復を予想しなかった者は、利益の機会損失で、リターンが
市場に劣る結果となったでしょう。
当然のことながら、今後、大幅な下落局面は来ることでしょう。
「あの時、売っておけば良かった」と思う時があるかもしれません。
しかし、売却すると、利益の20.315%は納税が必要です。
利益の2割を目減りして、再投資でメリットを享受できるとは限りません。
また、下落途中に、落ちるナイフを掴める人は少ないでしょう。
仮に継続保有によって80%以上、上昇している銘柄の保有があるとします。
20%の上昇時点で利益確定してしまっていたら、その後の上昇の機会を失う結果になったでしょう。
どの銘柄が、何%まで上限する といったことは誰にも判断できません。
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2024年8月5日公開
相場下落!負けない投資家になるための、たった1つのコツとは?
2020年に同様の内容を日経CNBCにて解説し、ダイジェスト動画がX(旧Twitter)にて公開されています。
日経CNBC公式X「下落相場に富裕層はどう備えている?」
* 本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
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