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コラム

クレディスイスのAT1債が全損! CoCo債を勧めた「プライベートバンカー」は顧客想いだったか?

2023年3月23日

テーマ:所長解説のおカネ学♫

コラムカテゴリ:お金・保険

クレディスイスのAT1債が全損となる見込みです。
100で投資して、戻りはゼロということです。
通常は経営破綻時には、債券の方が株式よりも優先して弁済を受けられる形ですが、今回は違う決着が検討されています。
クレディスイス株式は6割損(約4割相当のUBS株式が受け取れる)の見込みです。
一方、AT1債は全損となるのです。なぜこうなったのでしょうか?
スイスはクレディスイスを「破綻」認定していません。
破綻ならば株式投資家の影響も大きいものになりました。
信用不安を防ぐために当局が出した結論では「破綻認定せず」、
AT1債投資家が大きなダメージを受ける形を取ったのでしょう。

CoCo債を勧めたバンカーは顧客想いか

偶発転換社債(CoCo債)は「その他ティア1債」(AT1債)としても知られ、手りゅう弾が付いた高利回り投資と表現されることが多い。

Bloomberg 2023/03/20 『クレディ・スイスのCoCo債、なぜ価値を失ったのか-QuickTake』

一見すると高い利回りが期待できそうな商品が世の中にはいろいろあります。
今回のAT1債≒CoCo債もそのひとつでしょう。
新しい商品のリスクは、経営破綻や資産価格の下落時に牙をむくことがあります。
「確率的に起こらない」といっても、実際にめったに起こらないハズの確率の出来事は、実はマーケットで10年単位で発生しています。
単一銘柄へのCoCo債投資は極めてリスクの高い取引だということが、今回のクレディスイスAT1債の全損で明らかになりました。

新しい商品はバンカー=販売者に、大きな販売者収益をもたらす場合が多いのです。
肩書きの高い(例、シニアプライベートバンカー)や、
企業内で成績の良いバンカーが顧客想いとは限りません。

会社にとってもは「稼いでくれる」ことが重要でしょう。
販売者にとって収益性が高い「高いリスク商品」を勧めてきたバンカーは、顧客想いなのでしょうか?

彼らに問いたいのは、
自分の親にも、CoCo債を勧めることができましたか?
ということです。
自分では、「リスクあるな」と思いながら、「稼がなければならない」ためにお客様を犠牲にしてでも、リスク商品を売るケースもあったと想像します。
もしくは「リスク感度なし」バンカーなら、自分の親にもCoCo債を勧めるかもしれません。
辛辣ですが、マーケットのリスクを軽んじて、経営破綻やマーケットの急落を考えない、販売者ならあり得るのかもしれません。

リーマン・ショックで財産を無くした投資家のバンカーは

バンカーの言うなりになったり、自身で高いリターンを目指した結果、過度にリスクを取り、リーマン・ショックで財産を無くしたケースもありました。

・レバレッジ(借り入れ)を過度に利用
・仕組み商品の短期運用(為替、株式、EB)
・新興国通貨関連の外国債券投資
・ハイイールド投資
・ヘッジファンド投資

これらが全てダメだということではありません。
しかし、金融危機などが起こった場合に、借入までして運用している投資家は、担保不足で強制売却を強いられるケースも発生したのです。
また、流動性(換金性)のない資産は担保評価として見ることができないという事態に遭遇したのです。
これらのリスクの高い投資に多くの割合を配分するような、「バクチ」を打たないでほしいのです。
これらの「飛び道具」は、多くの配分をする「コア」資産とはなり得ないと筆者は考えます。

私自身は少なくとも、投資家の資産が大きく毀損するような、投資を指南したくはないのです。
その結果が「自分の親に勧められるモノしか、選択肢としない」ことなのです。

プライベート・バンカーはアドバイザーなのか?

富裕層は身近に「金融の執事」であるアドバイザーを置きます。
今回の事例で、クレディ・スイスのブランド、従業員の言葉を信じた投資家は痛手を受ける場合があるでしょう。
勤務先の情報を悪く告白できる販売者は少ないでしょう。

金融商品の販売を業務にしていることがなければ、顧客である投資家が収益至上主義の犠牲になることも防げた可能性があると思います。

販売者にアドバイザー機能を求めても限界があるのです。

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※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の有価証券その他の投資商品についての勧誘や、売買の推奨を目的としたものではありません。
本記事は信頼できると判断された情報等を基に作成しておりますが、正確性、完全性を保証するものではありません。

この記事を書いたプロ

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