高リスクなレバレッジ運用活用、一度の損失でこれまでの利益がすべて失われる可能性も
取引する金融機関によって、資産運用の成果が大きく違います。
証券会社と取引した顧客の投資信託運用は41%がマイナスだった。
投資運用業者と取引した顧客の、投資信託運用は9%がマイナスだった。
データ:金融庁『投資信託の共通KPIに関する分析<2023年3月末基準>』 2023/09/08
取引する金融機関を選択するために、このようなデータは有用です。
また、実際の金融機関の名称が「運用損益別顧客比率」には記載されています。
2023年3月時点のトップは、独立系の運用会社で99.5%の顧客が運用損益率でトップだったことが記載されています。
共通KPIとは?
まず、KPI(ケー・ピー・アイ)という言葉は何でしょうか?
KPIは「Key Performance Indicator」の頭文字を取った言葉で、重要業績評価指標や重要達成度指標と訳されます。企業における最終目標到達までの、各プロセスの達成度や評価を示す指標で、はっきりと数値で示すことができる定量的なものであることが求められます。
引用:マネーフォワード 「KPIとは?ビジネスにおける指標をわかりやすく解説!」2023/12/08
ざっくりいえば、成績を比較するための共通指標とも換言できるかもしれません。
例えば、金融機関がこの共通した基準のKPIを提出すれば、同じ土俵で成績の比較をすることが可能になるわけです。
投資信託共通KPIを提出している金融機関は?
メガバンクやネット銀行等の主要行等
地方銀行などの地域銀行
労働金庫や信用金庫などの協同組織金融機関
大手証券やネット証券等の証券会社
投信運用業者やIFAを含む その他事業者
金融庁に報告を行った合計220者(社ではなく、者という表記です)が上記のレポートに記載されています。
投資信託共通KPIに含まれる内容は?
これだけたくさんの金融機関が共通KPIに参加しています。
しかし、投資助言業の専業事業者の名前がありません。
そもそも、この共通KPIの報告をしていなければ、掲載されようがないのも事実です。
共通KPIの基準は何か
投資信託の共通KPIでは、
・ETFや株式、J-REITなどを用いた資産運用は、
投資信託の共通KPIに含まれない可能性があります
現状の定義では、ETFやJ-RETIは共通KPIの範囲には含まれない可能性が高いのです。
運用のツールでETFや個別株、J-REITも有効なツール
ETFは上場投資信託です。一般の投資信託よりもコストが安い傾向がみられます。また流動性(換金性)や透明性にも優れた商品です。
J-REITは不動産投資信託で上場しています。
上場株式、ETF、J-REIT共に上場商品で、
非上場の一般的な投資信託にはないメリットを持った商品です。
国民の資産形成においては、利用するツールは幅広い選択肢があるほうが望ましいと考えられます。
今後の共通KPIにおいては、「投資信託」「外貨建て保険」に限った切り口とは別に、広範囲な金融商品を用いて助言する事業者も含めていただけることを期待しています。
金融庁もKPIの公表を期待
金融事業者の選択に当たっては、他の金融事業者と取組状況を比較することが有益である。
金融庁としては、国民が、各金融事業者が設定・公表する自主的なKPIを比較検討することに加え、リスクや販売手数料等のコストに見合ったリターンを長期的に確保できているかを比較検討できるよう、金融事業者が、リターンに関連する統一的な指標(以下、「共通KPI」)を公表することを期待している。
金融庁 2024年2月28日 「投資信託の共通KPIに関する分析」P1 投資信託の共通KPIの概要
アドバイザーKPIをRIA JAPANが発表した理由
一般的な投資信託を助言の対象として用いていなかった当社は、共通KPIの蚊帳の外でした。
当社の助言の対象となっている主な商品は
ETFや上場株式、J-REITです。
透明性が高く、運用コストを引き下げることが可能だと思うからです。
筆者自身が長年運用に携わる中で、これらの商品が一般的な投資信託よりも便利でツールとして相応しいと考えています。
しかし、220もの金融機関の名前と成績が金融庁の共通KPIにデータに掲載されている現状があります。
ラップを行う事業者や、独立系運用会社、金融商品仲介業であるIFAの会社名と成績が、金融庁公表データに掲載されています。
中立な立場で、金融商品を販売しないアドバイザーが、共通KPIに記載されていないことは、国民の選択肢を狭めてしまう可能性があると考えます。
我々、投資助言業者もアクションを起こさなければならないと考えたのです。
投資助言業者もこの共通KPIのデータベースに参加すべきと考え、
独自の「アドバイザーKPI」を策定しました。
投資助言業者が受け取る「投資顧問報酬」の累計額も控除する形であり、
投資信託の共通KPIと、ほぼ比較可能なデータであると考えております。
また今後金融庁のデータベースにも他の金融事業者同様に掲載されることを期待するものです。