生保も損して売った「為替ヘッジ付き外債」。2019年にヘッジコスト注意を説明した内容は?
仕組み債の投資家保護姿勢で 半歩 前進する予定です。
金融庁が重点検査を行ったり、投資家のトラブルが続出していることから、業界団体がようやくガイドラインを厳しくするものです。
一歩進んだ、と言い切れないポイントは情報公開です。
欧米では金融商品の販売会社に対して顧客と利益相反になりかねない情報や手数料の開示を義務づけている
2023/02/14 日本経済新聞「仕組み債、投資家保護へ制限 高リスク・説明不足でトラブル 日証協、資産額など数値基準」
証券業の業界団体としては、手数料の全面開示に対して消極的と思われます。
投資家保護よりも業界の利益を優先する姿勢では?と感じる面があります。
問題は以前から認識も、自主的な規制には踏み出さなかった過去
日証協は「仕組み債に問題がありそうだ」と認識していても、自主的に規制には乗り出しませんでした。
金融トラブルを扱うFINMACの、仕組み債トラブル状況を知る立場でしたが、規制には踏み出しませんでした。
証券業界の収益を優先する姿勢があったと考えます。
RIA JAPAN 2020年8月に行った問題提起の内容は
2020年8月に、この仕組み債問題などの業界の問題点についてRIA JAPANおカネ学(株)は提言を行いました。
日本の資産運用に携わる者の情報開示は十分とは言えない―。一例では利回り9%超の外債投資で、為替水準が全く変化しなくても元本割れとなる事例がありました。なぜ、外貨商品の手数料を債券の商品説明時に同時に説明しないのでしょうか?また、仕組み債の組成費用や、債券の上乗せスプレッド…。日本では金融機関が顧客に開示していないコストが数多くあります。顧客本位の業務運営の実現のためにはまだまだ前進が必要です。
日本ではコミッション型のブローカーが顧客対応の担い手となっており、販売者でない、中立にアドバイスに特化している米国の「アドバイザー」とは大きな違いがあります。高コストの商品や高頻度取引が顧客に提案される背景は、販売者によるコミッションビジネスがひとつの要因と考えられます。そして米国ではブローカーとアドバイザーの区分の明確化が図られ、結果としてブローカーからアドバイザーへの移行が行われています。顧客と利益相反が少ない、「世界基準のアドバイザー育成」の必要性をRIA JAPAN代表の安東隆司は主張しています。
https://ria-japan.co.jp/2020/08/19/fct-wg-proposal/
中立アドバイザーが求められる背景は?
再び2023/02/14 日本経済新聞の記事です。
仕組み債は独立系金融アドバイザー(IFA)と呼ぶ金融商品仲介業者が高齢者らに積極販売していたケースも目立つ。仲介業者がルールを守って販売しているかどうかを、仕組み債の販売元である証券会社などがチェックもするように促す。
中立なアドバイザーだと思っていたら、仕組み債を売りつけられて、資産を失ってしまった投資家もいるでしょう。
販売者に高収益をもたらす商品は、投資家の高コスト運用、リターンの低下を招きます。
販売者と投資家の利益は逆方向なのです。
中立なアドバイザーを増やそうという機運が高まっています。
しかし、実際には中立でない、販売者寄りの「自称:アドバイザー」を増やす形では、日本の資産所得倍増の歩みは迷走する可能性もあるのです。
以前のコラムを再掲
以下は「金融庁が仕組み債を重点検査! 販売者モラルは十分だったのか?」2022年8月25日で採り上げた内容です。
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販売実態を、金融庁と証券取引等監視委員会が重点的に検査する、との報道が日本経済新聞、2022/08/24の日経電子版で報じられました。
仕組み債のコストは8%~10%
仕組み債(EB債)の実態のコストは年率で8%-10%程度と考えられます。
2022/05/27に公表された、金融庁『資産運用業高度化プログレスレポート2022』に記載されている内容を紹介し、解説します。
…実現満期が0.6年程度と短いため、実質コストを年率換算すると8~10%程度に達すると考えられる
(解説)
EB債の実質コストは、『投資元本に対して平均して5~6%程度と推定される』のですが、運用期間終了までが0.6年(約7.2か月)で5~6%程度を支払うため、1年で2回以上、実質的なコストを支払います。年率に直せば約8~10%の実質コスト支払いとなるというのです。
仕組み債を購入した人々は、このような高いコストを実質的に支払っていることを知っているのでしょうか?
セールス担当者からこのような手数料の説明があったでしょうか?
販売者はセールスに役立つ情報を顧客に伝えます。一方、不都合な事実については、わかっていてもワザワザ伝えないでしょう。
販売者は仕組み債のリスクの大きさをキチンと理解していたか?
…サンプルの中には、僅か3か月で元本の8割を毀損した例もあり、リターンの分布を見ると、頻度は少ないものの損失率の裾野が広い。リスク(分布の標準偏差)は相応に高く、…
(解説)
仕組債には色々な種類がありますが、EB債(他社株転換可能債)の事例で、3か月という短期間で元本の8割がマイナスになったというものです。
販売に携わっていた者が、仕組み債のリスクがどれほど大きいのか、相場下落時にどれほどのリスクが発生するのかを、研修などで十分に学んでいたのでしょうか?
・十分に学んでいれば、仕組み債を売りたくないと思う販売員が多くでるでしょう。
・金融機関がワザワザ販売にストップがかかる内容をキチンと研修していたのでしょうか?
検査の結果が待たれます。
日経CNBC 2022/06/24の放送でも仕組み債の問題を
安東隆司が出演した日経CNBCの2022/06/24の放送でも、仕組み債の問題点について解説しています。
(6:55あたりから)
・FINMAC苦情件数のうち46%が仕組債に関する紛争
・仕組み債はリスクの割にリターンが低い
・金融庁 仕組み債に投資する意義はほとんどない
・実質コスト8%-10%が、開示されていないことは問題
・仕組み債は高収益商品
・「高格付け」はデリバティブズのリスクを含んでいない
・販売者は高収益を勧めたがる傾向があるのかもしれない
仕組み債問題に以前から警鐘を鳴らす、2020年のCNBC出演
安東隆司は仕組み債に警鐘を鳴らし続けてきました。
2020/4/23に日経CNBCに出演した時の内容抜粋が以下です。
10:15あたり
・老後資産の仕組み債投資で1160万円以上を損した事例がある
・2万件 2600億円以上の契約がある(某大手金融機関で)
・仕組み債で投資家に1000億円以上の被害が出る
・デリバティブズには安易に投資しない
あなたが相談している人は、実際は販売者というケースがほとんどです。
IFA、自称独立系アドバイザーが仕組み債の販売に関わっている事例も相当数あると思われます。
販売者は、「中立なアドバイザー」とは違うのです。
RIA JAPANではかねてより仕組債のリスクについてコラム、動画などで警鐘を鳴らし続けてきました。
仕組債のリスクについて解説した動画がYouTubeにて公開されています。
そちらも併せて参照ください(2021/4/12公開)。
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