投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
セミナーや討論会で金融機関が語る情報に様々な問題があります。
しかし、投資家サイドは誤解したままになってしまう…。
こんな事例をよく目にしています。
顧客に誤解させた情報で集客や契約をしたとします。
しかし、いずれ情報の不正確さに気付いた顧客は失望します。
これは、ハイレベルな顧客本位とはほど遠いでしょう。
FPが実際に銘柄助言すると法令違反!
「株式Aを買ったら良いでしょう」「投資信託Bをポートフォリオに組み入れましょう」
FP *1 がこのようなアドバイスをすることは法令違反です。
一般の投資家は、お金のことならばFPに相談と思っているケースも多いでしょう。しかし
金融商品の助言を行うには「投資助言・代理業」の登録が必要なのです。
FPであっても、投資助言業登録が無い者が、金融商品の助言を行うことはできないのです。
*1 FPで「投資助言・代理業」登録を行っていない者を前提
金融庁HP 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について
金融庁のWebページで、2021/11/26にアップデートされたデータが以下です。
https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku.html
助言業の違反だけではないものの、188ページにも及んでいます。
更に
掲載されていない者でも、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ますのでご注意ください
と、掲載されていない者でも、無登録業者が存在しており、注意が必要だと警告しています。
(写真は本文の記載内容とは関係がありません)
FP協会資料にも 投資先アドバイスができないと明記
日本FP協会が発行しているパンフレット「体験相談とはひと味違う本格的なFP相談をしてみよう」のP10 下段に以下の表記があります。
https://www.jafp.or.jp/book/app/other/fp/files/soudan.pdf
金融商品取引法に基づき、「投資助言・代理業」の資格がなければ、投資助言行為など、具体的なプランや投資先のアドバイスをすることはできません
相談者の立場では、具体的な銘柄をアドバイスしてもらうことを期待するでしょう。しかし、FP *1 は個別銘柄等のアドバイスはできないのです。
あれ? そうなの? というイメージを抱く人々がほとんどでしょう。金融商品の助言を行う者は、内閣総理大臣の登録を受けることが求められているのです。金融商品取引法の深い理解や、誇大広告を行わないガバナンス体制などが求められているのです。
金商法でいう「助言」を深く理解することが難しく、一般に使われる「アドバイス」の意味が曖昧になっている事が、日本では世界の常識と違う道を歩んでいる要因だと思います。
FPが金商法の助言を理解していない?と思われる事例
あるIFA(Z社)のセミナーで、IFAが取引しているお客様(FP)のインタビュー紹介をしているケースがありました。
言葉の取りかたによっては、その顧客FP X氏はIFAと取引して経験を積み、「FPとして商品のアドバイスをしている(これからしたい)」とも感じられる表現でした。
・顧客で証券投資をしている人が多い
・FPの資格を持っており、アドバイスを求められる
・自分自身で取引していないと的確なアドバイスができない
・その商品がどういう商品なのかもわからない
FPですら、金商法に違反していると認識していない
日本では資産運用の担い手が少ないためか、「アドバイザー」表記がとても曖昧です。
米国においては、日本の投資助言業にあたるRIA(Registered Investment Adviser)の登録が無い者はアドバイザーと名乗ることが制限されています。
販売者(ブローカー、米国ではIC)はRIA登録が無ければ、アドバイザーと名乗れないのです。
世界基準のアドバイザーは、日本の自称アドバイザーとは異なる
日本では IFA(米国でいうIC =販売者 金融商品仲介業者)が自らを「アドバイザー」と名乗っています。
米国や欧州などの多くの国では、違反事象となっている、販売者が自らを「アドバイザー」と名乗り、誤解を与える名称となってしまっています。
しかし現状はまだ日本では、この点に規制がされていません。
投資家保護の観点からは、販売者でない、「アドバイザー専業」のRIA事業者が米国のように広がると、ハイレベルな顧客本位が実現できると思います。
また、日本でも世界と同一の基準での「アドバイザー」表記に対する認識が広がることを期待しています。
投資家の方々には、「大手金融機関だから大丈夫」といったイメージを今一度、見直していただきたいと思います。
なお、このコラムは、個別の金融機関を攻撃する目的ではありません。
金融のプロとアマチュアである投資家には、情報の格差があります。
金融機関には顧客に寄り添う姿勢を期待しています。
投資家には、金融機関のセールストークで注意すべき事例があるということを、知っていただきたいと思います。