投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
セミナーや討論会で金融機関が語る情報に様々な問題があります。
しかし、投資家サイドは誤解したままになってしまう…。
こんな事例をよく目にしています。
顧客に誤解させた情報で集客や契約をしたとします。
しかし、いずれ情報の不正確さに気付いた顧客は失望します。
これは、ハイレベルな顧客本位とはほど遠いでしょう。
リターン表示で「著しく有利と誤認させる」ケースが
あるIFA(Z社)のセミナーで、取引しているお客様のインタビュー紹介をしているケースがありました。
リターンは〇〇% と誇らしげに説明をしておりました。
そのリターンの表示は誇大広告では!?
実はZ社の「リターン○○%」(仮に30%としましょう)が誇大広告に当たる可能性があります。
リターン30%が、Z社の全てのお客様のリターンの平均値であれば問題はありません。
リターン30% (リターンの良いお客様)
リターン 5% (Z社の全お客様の平均リターン 仮に5%)
実際よりも、良く見せかける 誇大広告!
しかし、少しでも良い成績のように見せたいと思うのが、営業部門のマインドです。
インタビューに出てきてくださっているお客様は、Z社のサービスに満足しており、比較的リターンも良いお客様なのではないでしょうか?
すると 「リターン30%」は 実際のZ社のお客様全体の平均リターン(仮に5%とする)よりも良い場合ですと、「著しく有利と誤認させる表示」となるのです。
機能しないコンプライアンス部門
このセミナーでは、某ネット証券(Y証券)が事前に内容をチェックしていたようです。
Y証券は、Z社のお客様の全てのリターンを把握し、Z社の平均的なお客様のリターンである、と精査をしたのでしょうか?
想像でしかありませんが、きっと行っていないでしょう。
このようなセミナーは営業推進目的で行われることが多く、企画している部門が営業推進や営業サポート部門であることが多いからです。
営業を推進する立場では、お客様の興味をひく、センセーショナルな内容の方が好ましいと考えるのでしょう。
法令順守の姿勢が十分に機能していなかった例ではないでしょうか。
セミナー受講者は、きっと誇大広告だと認識しない
このセミナーの受講者は、この「リターン30%」が誇大広告であったとの認識していないでしょう。
そもそも、Z社の平均的なリターンを情報として出すべきだと認識していないからです。
もっとも、Z社の営業マンやY証券のセミナー担当ですら、誇大広告の事例に当たると認識していないのです。金融機関の人間すら認識していない事柄ですから、一般の投資家が知らなくて当たり前なのです。
投資家の方々には、「大手金融機関だから大丈夫」といったイメージを今一度、見直していただきたいと思います。
なお、このコラムは、個別の金融機関を攻撃する目的ではありません。
金融のプロとアマチュアである投資家には、情報の格差があります。
金融機関には顧客に寄り添う姿勢を期待しています。
投資家には、金融機関のセールストークで注意すべき事例があるということを、知っていただきたいと思います。