投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
「運用成功時だけ報酬をいただきます」
成功しなかったら、報酬を支払わなくてよいと聞くと、運用側に自信があるような印象を受けるでしょう。
この方式は顧客本位なのでしょうか?
成功した時だけ報酬が発生する成果報酬・成功報酬スタイルの注意点は
成果報酬・成功報酬形態では注意すべきポイントがあります。
資産運用での「成果報酬」形態では
「運用者は運用失敗時にもダメージはなく、投資家の資産は目減りする」
このポイントに気を付けてほしいと考えています。
成功報酬15%~はコスト安とはいえない
以前、一世を風靡したヘッジファンドが使う報酬体系が 「2:20」 というものでした。
2は信託報酬(運用管理費用)2%、20は成功報酬20%を示します。
これらは極めて高い運用コストでした。
近年ではヘッジファンド、アクティブ型運用の過半(7割)が、インデックス運用に及ばないことを知り解約する動きが加速しています。
仮に信託報酬(運用管理費用)が割安やゼロでも、成功した時の費用が15%や20%もかかるなら、投資家にとってコスト安ではないでしょう。
リスクを取って運用する時でも、運用コストは安ければ、その分リターン向上が見込めます。
しかしわざわざ高いコストの成功報酬を選ぶ必要は無いでしょう。
分散投資していても、3年に1回はマイナス局面も 長期目線?
過去のデータをみると、分散投資をしていても3年に1回はマイナス運用になっています。
その場合に、一切報酬が受け取れないことを運用者は望むでしょうか?
これでは
長期の運用ではなく、短期間の運用ゴールになりがちなのではないか
と考えられるのです。
相場低迷時の成功報酬事業者の選択は?一発逆転とご破算で…
相場上昇時には、成功報酬モデルに参入する事業者は多いでしょう。運用者が大きな報酬を受け取ることを目的に事業開始するのです。
問題は相場の調整時や下落局面です。
含み損となると、運用者は収益を得ることができなくなります。
すると運用者が取る方法が2つ考えられます。
高いリスクを勧めて「一発逆転」を狙うハイリスク投資に転ずる可能性
開始時100の価格が65まで下落した場合、65から100まで上昇しても成果報酬を得られないなら、運用者の熱意が無くなって当然です。報酬が入ってこない死活問題に直面するのです。
会社の存続、自らの生活のために「顧客本位」の視点が欠落するケースが考えられます。
投資家のリスク許容度にはお構いなく、「一発逆転」を狙った、ハイリスクなトレードに突入していく可能性を指摘します。
もうひとつの方針は、かつてヘッジファンドや現在の運用会社でも用いられているケースです。
含み損をいきなりゼロにする、「ちゃぶ台返し」「ご破算で願いましては」方式です。
新ファンド設立、マネージャーの移籍で、また開始時100の水準からスタートするのです。
販売すれば手数料を受け取れる販売者の言葉、「スターファンドマネージャー」を信じた結果はどうなるでしょうか。
言われた通りにファンドを乗換えて、投資家は損失計上を余儀なくされ、更に高いコストを負担させられました。
(詳しくは著書「iDeCo+NISA・つみたてNISA プロの運用教えてあげる!」P200 成功報酬、ハイウォーターマーク方式とインセンティブで説明しています。)
成果報酬が全て顧客本位とは限らない
・成功報酬コストが高い
・長期間の運用で成績不芳時に、高いリスク選択となる可能性がある
・運用失敗時に運用者はノーダメージ、一方で投資家資産は目減りする
これらの特徴から、成果報酬スタイルでは顧客本位の実現に限界があると考えられます。
また、資産運用をしている人や、これから資産運用を始める人は運用にかかるコストがどのくらいかを是非知っていただきたいと思います。
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RIA JAPANでは「顧客に寄り添うハイレベルなサービス」提供を目指し、
フィーベース型でアドバイザー専業の業務展開をしています。
顧客に寄り添うハイレベルなサービスについては下記リンクの過去コラムにて詳細が閲覧可能です。
金融庁「金融業者リスト」公表 顧客に寄り添うハイレベルなサービス提供者は?
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