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コラム
投資家ファースト 社会的課題への取り組み(8)相続対策の落とし穴 【RIA JAPAN】
2020年9月22日
弊社代表、安東隆司が「顧客本位のサービス」を求めて、
どのように取り組んで来たのかをお話させていただきます。
今回はその8回目です。
富裕層の顧客ニーズは融資以外に相続対策・事業承継も
富裕層顧客のニーズを聞いていると、こんなニーズでした。
・不動産賃貸業の融資(賃貸住宅融資、アパートローン)
・相続税への対策
今でもいえることですが、ここで顧客が気を付けるべきことは販売者のメリットを考えることです。
アパート建築を勧める建築業者(ハウスメーカーなど)はコストの高い大規模な建築を勧めたいのが本音です。
そして、融資をする銀行の立場も、たくさんお金を借りてもらえる大規模な案件が望ましいのです。
不動産業者も銀行も、販売者側の立場があるのです。
会社員の立場と顧客本位のバランス
銀行から融資を受けて不動産賃貸事業を行う、ある顧客がいました。残念ながら、勧めらえるままに立派すぎる建物を建ててしまったため、収益性が低くて悩んでいました。
確かに相続の対策としては「相続税の減少」という目的は達成していたのですが、10年程度で必要になる大規模な修繕の費用は、他の賃貸アパートの収益から捻出していたのです。
「この賃貸物件はもう、手放したい」 苦労をされてきたオーナーの悲痛な叫びでした。
相続税のゴールと安定生活のゴール
数年で転勤する銀行員としては、立派な建築案件で大きな貸出をすると成績、人事考査が上がります。ボーナスに影響する場合もあるでしょう。
相続税の対策としては、多額の借金で「課税遺産額」の引き下げには寄与します。しかし採算が不良な過度な相続対策で顧客の不安は増加してしまったのです。
様々に存在するゴールを総合的に判断することが、アドバイザーには求められるのです。
銀行への元金、利息の支払いと不動産の修繕費用の重荷で、顧客が預貯金の減少が心配で仕方ない様子でした。結果としては相続税軽減のメリットを捨ててまで、賃貸物件の売却したいとの顧客の決意でした。
顧客ニーズ、信託銀行ならワンストップ
メガバンクは商業銀行というカテゴリーです。関連会社で信託銀行がありました。メガバンクで提供できる解決策(ソリューション)よりも、信託銀行の方が多いことに気付きました。具体的には
・不動産の売買
・遺言信託・相続ソリューション
です。
賃貸物件の売却、その後の遺言書の作成・保管を関連会社の信託銀行によって、解決できたのです。
メガバンクには不動産売買のライセンスはありません。銀行員が直接不動産の売買にタッチすることはできないのです。しかし、信託銀行では不動産売買が業として行えるのです。そして顧客は、将来相続でもめないように遺言のプランを作成しました。
自社にあるサービスが最も優れている場合は多くありません。このケースでは、メガバンクよりもカード(引き出し)の多い信託銀行を使うことで、顧客のニーズの実現ができることになったのです。
ちなみに代表の安東は当時、メガバンクの人員だったので、信託銀行で上がった収益の恩恵にあずかることはありませんでした。しかし、お客様のニーズに対応することが最も大事、顧客本位を実現するには、信託銀行の方が良いなと実感しました。
余談ですが、その後の人事面談で信託銀行のPB部門への移籍を願い出ました(未達)。その後2007年に一度だけ転職しました。転職先が外資系の信託銀行であったのも、信託銀行が富裕層のニーズ対応に適していると考えたからでした。
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