投信の手数料打ち切りも 米国投資家に学ぶべきコト
成果報酬、成功報酬だと、運用が成功しなければ報酬を払わなくて良いので、顧客本位とのコメントがありました。本当でしょうか?
運用が成功しなければ、報酬を払わなくて良いので、運用成功に導いてくれるだろうと考えるのでしょう。また、そのようなイメージで宣伝するのでしょう。
運用者にとって有利な成果報酬
資産運用での「成果報酬」形態で気を付けて欲しい点はこちらです。
運用者は運用失敗にもダメージはなく、投資家の資産は目減りする
出典 安東隆司著 「iDeCo+NISA・つみたてNISA プロの運用教えてあげる!」
秀和システム P199
成功報酬を理解する上で知って欲しい事柄がヘッジファンドの報酬体系です。
以前、一世を風靡したヘッジファンドが使う報酬が 2:20 というものでした。
2は信託報酬2%、20は成功報酬20%を示します。これらは極めて高い運用コストでした。
近年はヘッジファンド、アクティブ型運用の過半(7割)が、インデックス運用に及ばないことを知った投資家が、これらを解約するトレンドです。
成功報酬 15%はコスト安とは言えない
仮に信託報酬が割安だとしても、成功した部分の15%や20%がかかるのであれば、
投資家にとってはコスト安とは言えないでしょう。
リスクを取って運用するのであれば、結果的に成功報酬という高いコストがかかる商品を選ばない方が、コスト安の運用ができる可能性が高いと思います。
運用失敗時、ハイリスクを背負わされる
運用がうまくいかない方向に進むと、成果報酬では報酬を得ることができません。
運用者は高いリスクを勧めて「一発逆転」を狙うハイリスク投資に向かう可能性も考えられます。
かつてのヘッジファンドの「ご破算で願いまして」方式
仮に 開始時100が65まで下落した場合、65から100まで上昇しても、成果報酬を得られないならば、運用者の運用への熱意が無くなって当然なのです。
かつてヘッジファンドでは、新ファンド設立、マネージャーの移籍でまた開始時100の水準からのスタートという、錬金術が見られました。
「スターファンドマネージャー」を信じる信者は、言われた通りに乗換えて高いコストを負担させられていたのです。
(詳しくは著書P200 成功報酬、ハイウォーターマーク方式とインセンティブで説明しています。2017年の著書 「個人型確定拠出年金iDeCo プロの運用教えてあげる!」 P204でも説明しています)
信託報酬が十分高い場合も
以前に良く見られた形がこちらです。販売手数料はゼロながら、信託報酬が高い水準です。ヘッジファンドの2%は十分に高すぎる水準でしょう。
(最近は信託報酬の面でも十分に安い水準が出てきたことは朗報です)
分散投資していても、3年に1回はマイナス局面も 長期目線?
過去の歴史データの中では、分散投資をしていても、3年に1回はマイナス運用に
なっています。
その場合に、一切報酬が受け取れないことを運用者は望むでしょうか?
結果的に利益が得られる環境ならば、「利益確定」を勧めて、別の商品への乗換えを
勧めるという方法が考えられます。
長期の運用ではなく、短期間の運用ゴールになりがちではないかと考えられます。
成果報酬が全て顧客本位とは限らない
・成功報酬コストが高い
・長期間の運用で成績不芳時に、高いリスク選択となる可能性がある
・運用失敗にも運用者はノーダメージ、投資家資産は目減りする
成果報酬だからといって、すべてが顧客本位だと思うとそれは違うのです。