「投資家・顧客ファースト実現に向けて」を東京国際金融機構で提言、顧客志向への道シリーズ【RIA JAPAN】
弊社代表、安東隆司が「顧客本位のサービス」を求めて、
どのように取り組んで来たのかをお話させていただきます。
今回はその7回目です。
顧客ニーズに「やってみなはれ」、自由闊達
在籍したメガバンクは自由闊達な雰囲気で、顧客のニーズに寄り添う提案が次々とされていました。今でこそ当たり前であったものが、以前は違うことがたくさんありました。
・ATMそれぞれの列に並んでいると、一人で何件も振込をしている人の後に並んでしまうと、順番が回ってこないといったお客様の声がありました。
フォークのように、一列に並んで、空いたATMに順番に案内される。 今ではどこの銀行でも取り組んでいるサービスです。
・個人でも一定の期間、固定金利で住宅ローンを借入できないか?
「金利スワップ」を個人部門に採用する…個人が違約金を負担できるのか?といった難題を乗り越え、商品化が成されました。
このような顧客のニーズに合ったものを商品化・制度化する風潮は、銀行界の「やってみなはれ」、先輩方々の顧客ニーズをとらえて提案する、PDCAサイクルに乗せるという、金融界では珍しい、とても自由で柔軟な発想をもった銀行だったからこそ、顧客ニーズにある革新的なサービスを実現することができたものだと思います。
余談ですが、固定金利選択型の住宅ローンの開発者は女性の管理職の方でした。ジェンダーフリーにも積極的に取り組んでいた銀行でした。
融資残高の圧縮の時代、困る不動産オーナー
リテール(個人)部門の営業担当を大幅に減らし、融資の圧縮に取り組んでいた銀行に、顧客の不満は募っていました。
賃貸のビル、マンション、アパートには10年に1回程度の改修(修繕)が必要です。
銀行は貸出の圧縮一辺倒の時代で、必要な修繕に対しても、融資になかなか取り組んでくれない時代でした。
安東は融資の責任者として、不良債権の回収にも取り組んだ経験もありました。
「この取引先に融資できないのはオカシイ」と思いました。
銀行の主業務のひとつは融資です。優良な取引先に貸付け、返済していただくことが業務であるはずなのです。
アパートローンは実質取組が何年もありませんでした。
そこで保証会社を通さず、銀行がプロパー(独自貸付)で融資をしても良いのではと、営業・融資の係員は思っていました。
賃貸住宅融資、大型ローン取り組み
金利スワップを賃貸住宅にも適用すれば、固定金利で収支の計画が立てやすいはず、と固定金利も選択できる「賃貸住宅融資」のスキームを組み立てて行きました。
リテール審査部門の審査役は話の通じる人で、数十億円の賃貸マンション(ビル)の融資を決裁してくれました。
所属ブロックの融資は増加、その後の全行的な不動産融資・アパートローン商品の復活の先行事例となりました。
特筆すべき成果となったことは言うまでもありません。
リスクを恐れない顧客本位な「野武士集団」のカルチャー
新しいアイデアに対し、「無理が」「前例がない」。良く聞かれる言い訳です。このようなマインドを持っておられる人は、変化を好まず、自分の責任が問題となることを恐れる人々です。
価値観は多岐にわたって当然で、ストップをかける人がいて、リスク回避できる場合もあるでしょう。しかしながら、「お客様が求めている」事柄にチャレンジしていく、野武士のような開拓精神を持った行員が多くいた職場に勤務できたことは、幸せなことでした。
人事からノミネートいただき、若手行員のひとりとして、「頭取懇話会」に出席させていただく名誉をいただきました。面と向かって日本のメガバンクの頭取にお目にかかったのは、現在まで1度だけです。