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安東隆司

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安東隆司(あんどうりゅうじ) / 投資顧問

おカネ学株式会社 Reliable Investment Advisors Japan Co.,Ltd(英文名称 略称 RIA JAPAN)

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コラム

英国、豪州などは販売手数料の受け取り全面禁止 あなたのアドバイザーはFP、IFA、投資助言業者?

2019年10月3日

テーマ:所長解説のおカネ学♫

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: IFA投資信託

世界的にコミッションを受け取ることが禁止される傾向が広がっています。投資アドバイザーの立場にも関わらず、取引頻度によって増大するコミッション収入に依存していることは中立的でなく不適切との指摘を受けての動きです。アドバイザー選定の要素のひとつ、売り手側と買い手側について説明します。





■欧州、豪州に広がるコミッション受け取り禁止の波


英国、オーストラリアなどは金融アドバイザーに金融商品を販売することによるコミッションの受け取りを全面禁止しています。そしてヨーロッパ各地にも受け取った手数料を開示する方向が大勢を占めています。また米国でも手数料の受け取りを廃止する動きが発生し、さもなければ手数料開示する方向に世界は動いています。

■売り手側と買い手側


証券業界では証券会社はセルサイド(Sell Side)、投資顧問など運用会社はバイサイド(Buy Side)と呼びます。証券会社は有価証券等の売買を盛り上げて、手数料を増やすことを目的としていると言って良いでしょう。給料の源泉がどこにあるのかを考えれば、それは仕方が無い面があります。

本稿では金融商品の販売に関わって手数料を受け取っている人を「売り手側」、それ以外を「買い手側」と表現します。投資家は当然買い手側です。世界では、「アドバイザーが売り手側から手数料をもらっては中立性に欠ける」との考えが主流になりつつあるのです。

■日本の投資アドバイザーの収入は何が影響するのか


日本の多くの金融機関は投資家に商品を勧め、「委託手数料」を受領しています。投資信託を例に挙げれば、運用開始時の「販売手数料」、保有期間中の「信託報酬」を投信販売会社から委託手数料として受け取っています。

伝統的な日本の投資アドバイザーは、投資家の利益を最大化することよりも、自身の営業成績が上がることに注意が向いても不思議ではありません。アドバイザーの収入の源泉が勤務先の会社であれば、会社の利益を増加させる働きが評価に繋がることに経済合理性があります。会社の利益も営業員等の利益も「高い手数料」を得る方向性です。アドバイザーが熱意を持つのは、成績を上げてボーナスを増やすことなのです。結果としてこんな事柄が起こっても不思議ではないのです。
 ・高い手数料の商品を勧める
 ・頻繁な売買を勧める

その投資アドバイザーは自分自身の投資では採用しない商品を勧めたとしても、結果として投資商品の高いコストが運用成績を押し下げても気にしない場合も考えられるのです。将来、顧客が苦情を言う事態が発生しても、その時には自分は担当者ではないかもしれません。数年経てば転勤してしまうのですから。

■FP、IFA、RIAは売り手側、買い手側?


金融商品に投資する際のアドバイザーとして転勤がない3つの業態について考えてみます。

1.FP:投資家は「脱法行為の可能性」の認識を
FP(Financial Planner)で金融商品のアドバイザーを名乗っている者は脱法行為を行っている可能性が高いです。FP資格単体で報酬を得て、金融商品のアドバイスを行うことはできません。金融商品取引業の「投資助言・代理業」の登録が必要です。
知らなかったと驚く方も多いと思いますがFP協会ホームページで確認出来ます。
https://www.jafp.or.jp/about_jafp/caution/fp/fp_caution_02.shtml

そして正規に投資助言業を取得していない者は「投資アドバイザー」などと投資家を惑わす表現を使います。仮に「金融商品の手数料を受け取っていないから中立」としても、違法性が緩和される訳ではないのです。あなたの大事な資産のアドバイスを任せて大丈夫かどうかを再考する必要があるでしょう。FPで金融商品のアドバイスを行う者は、消費者保護目線に立ち、金融商品取引法を熟知し、適法に投資助言登録を受けて投資家のために働くべきだと思うのです。

2.IFA:志の高いIFAは投資家にとってメリットがある。
米国では非伝統チャネルである、「銀行」、「IFA」、「投資助言業業者」が個人投資家の拡大に寄与してきた事実があります。
IFA(独立系フィナンシャル・アドバイザー Independent Financial Adviser)には、伝統的な証券会社の高いノルマを嫌って転職してきた方も多いようです。

投資家にメリットのある、志が高いIFAの要件は以下と考えます。すなわち
・顧客に高い手数料を払わせたくないと考えている
・勉強熱心で金融商品のコストに敏感である
・自分の利益よりも顧客の利益を優先する
・顧客と長期に取引をしたいと思っている
・IFAに転勤がないことで親身な対応ができると考えている

しかし、IFAの主要な収入源はコミッション収入であることも投資家は理解すべきです。投資家が株式の売買や投資信託の買付けを行う際に発生するコミッション収入がIFAの収入を高くすることも事実なのです。

IFAは金融商品仲介業者であり、証券関連の手数料を受取る売り手側です。
またIFAが投資助言業を兼務や関連会社で持つことは、中立性に反する可能性があります。頻繁な売買を助言した場合、関連のIFAの手数料が上昇するのは不適切だからです。

3.RIA:投資家と利益相反が少なく「買い手側」
RIA(投資助言業者 Registered Investment Adviser)は金融商品取引業(投資助言・代理業)の内閣総理大臣登録の投資を受けた者で、販売や売買手数料を受取りません。顧客から投資助言報酬を受け取ります。収入の源泉は契約者である「投資家から」です。

顧客と契約した残高に一定の報酬率をかける「契約残高連動方式」は米国ではRIAの95%が採用しています。投資家の資産残高に比例して収入が増えるため、投資家の資産が増えるアドバイスが優先事項となります。すなわち投資家との利益相反が極小化されています。米国では資家の資産形成に役立っており、投資家とRIAはWIN-WINの関係が成り立っているのです。

ただし問題もあります。RIAは米国では2万6000以上あり認知されていますが、日本の投資助言・代理業者ではケタ違いに少なく、わずか998しかありません(2016/07/31現在)。しかも証券会社やファンドが重複して投資助言・代理業の登録を受けている場合が多いのです。買い手側「投資助言・代理業」専業のRIAは極めて少ないです。またその全てが営業しているとも限りません。投資家に必要なジャンルの専門家であるかどうかもわかりません。外貨ベースの投資ニーズに、国内株のRIAは専門外でしょう。RIA専業事業者がどのくらい数が少ないかといえば、例えば北海道と東北の財務局管轄の合計で専業の投資助言・代理業者はわずか6社といった具合です。買い手側「投資助言・代理業者」との出会いは現在の日本では極めて労力を要することなのかもしれません。

あなたのアドバイザーを選定するひとつの基準として、その収入の源泉を考え、「売り手側」「買い手側」を判断してみてはいかがでしょうか。
© 2019 おカネ学(株) (2016/10/13)

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