「自己投影」と「過干渉」は負のスパイラルを生む
有名校では入学後も、学内では競争心が必要な場面が出てきます。
優秀な生徒の中で、油断をすれば落ちこぼれてしまう可能性があるからです。
しかし、競争心を上手く利用することで自分を成長させることもできます。
結果ではなく努力の過程を認めてあげましょう。
親はどんなときも、「無条件の肯定的態度」でいつづけることが、とても大切です。
競争することのメリット・デメリット
子どもの頑張りと親のサポートの甲斐あって、めでたく志望校に合格。
安心したのもつかの間、入学後も他の生徒たちとの競争が始まります。
名門校ほど毎日のように出される課題も多く、予習していくのは当たり前。
成績が一定レベルに届かなければ留年となる学校さえ存在します。
受験にさえ通ればあとは楽して学校生活を送れると油断していてはいけません。
油断していると、落ちこぼれてしまうかもしれません。
今までは周りと比べて優秀であったとしても、名門校に入ってしまえば秀才がごろごろしているような状態です。そんな中であっても、学年で成績上位を維持できていれば、名門大学進学への道は拓けますが、反面、進度の早いカリキュラムについていくことができずに脱落していく生徒も一定数出てきます。
例えば、自分は優秀だと自覚していたのに、周りの生徒が力をつけていき、差をつけられたとします。そこで、なにくそと一念発起して挽回できれば良いのですが、心が折れてしまう子もいます。
その差はどこにあるのでしょか。
競争の悩みが大きくなる子には共通点があります。
概して、親のエリート意識が強い場合です。
両親のどちらかが教育熱心であっても、もう片方の親が子どもの自由を尊重するようなタイプであれば、子どもの逃げ場もあります。
これが、両親ともいわゆるエリートの家庭環境では、子どもにかかる重圧は相当なものです。
加えて優秀な兄弟姉妹がいるとしたら、家庭内でも自然と比べられる機会は増えるでしょう。
成績が下がることで家庭の中での居場所もなくなり、悩みは深くなります。
親の愛を感じられなくなり、「自己肯定感」が低くなり、引きこもりや不登校にまで発展するケースさえあるのです。
ただし、競争そのものが悪いわけではありません。
受験を勝ち抜いて入学してきた生徒たちは、向上心や競争心に満ちています。
本来は競争意識の少ない子どもでも、周囲がそのような人間ばかりだと、自然と負けん気が芽生えてくるものです。
「競争」というと、争いごとを好まない風潮の中ではマイナスのイメージがまとわりつくかもしれません。
しかし、競争意識は自分を成長せるための原動力になります。
もっと成績を上げたい、トップになりたい、という気持ちは、勉強するモチベーションとして欠かすことができません。
負ければ悔しくて落ち込みもします。
ですが、勝てば満足感があり純粋に嬉しいものです。
勝ちたいという気持ちをモチベーションにすれば、自分を飛躍的に向上させることができるのです。
学校内の競争が厳しいことは、生活面でのメリットもあります。
学校で過ごす時間の大半を勉強や部活動に費やすことになるわけですから、そのお陰で、いじめをしようとするような暇をもてあますことがありません。
いじめが起きる原因は複数ありますが、大きな要因の一つは、やることがなく鬱屈していることです。
受験して入るような学校では、出される課題も多く、予習は当たり前。周りに負けないために取り組むべきことも山積みです。
名門校では部活や学園祭のような行事にも、手を抜かずに楽しみながら主体的に取り組んでいきます。
結果として学校生活は忙しく、充実感も得られるため、他人にちょっかいを出すことで得られる優越感は、意味さえもたなくなります。
学園祭などの行事では、複数の生徒が協力して力を合わせなければ目標は達成できません。共に一つのことに取り組んでいく中で、連帯感が深まり仲間意識も生まれます。
個々の個性を尊重し、お互いの得意分野を認め合い生かすことで、より良いものをうみだそうという意識も高まります。
クラスの雰囲気もいじめを容認するようなものには、なり難いのです。
親の心と心構え
親御さんの中には、わが子が学校の中で優劣をつけられることに抵抗感を持たれる方もいるかもしれません。
競争に敗れて傷つく子どもの姿を見たくないのは、親としてごく当たり前の感情です。
それでも、子どもはやがて社会に出ていきます。
お金を払っている側の学生時代なら、それでも問題はないかもしれませんが、ひとたび社会に出れば、能力が高い人が評価され、昇進し、相応の報酬が与えられます。
仕事ができる人間というのは、往々にして競争心が強い傾向があります。
大人になって競争社会に放り込まれるのが分かっているのに、子ども時代にだけ競争から遠ざけてしまうのは、賢い選択ではありません。
競争を避けて大人になれば、人と競うこと自体に抵抗を感じて実力を発揮できなくなります。
競争に挑んだとしても、破れてしまったときの立ち直り方が分からずにつぶれてしまうかもしれません。
壁にぶつかったときにも、すぐに諦めてしまうでしょう。
自分の力で困難に立ち向かう鍛錬ができていないのは、人生の課題に挑み続ける上では大きなマイナスです。
競争の最終的な目標は勝ち残ることですが、大事なことはそれだけではありません。
競争意識を持ことで、
向上心を磨ける事、
目的意識を持って物事に取り組めること、
この心構えが、自らを成長させるのです。
努力が結果として実れば、成功体験として自信にもつながります。
挑戦すること自体が面白く感じられれば、成長は加速してきます。
では、子どもが競争の中で苦心している時、親は何をしてあげられるのでしょうか。
まずは、子どもの努力を認めてあげましょう。
図らずも目標に届かなかったとしても、頭ごなしに叱ったりしないでください。
結果だけをあげつらうのもいけません。
残念な結果となったことは、本人が一番分かっています。
傷に塩をぬるようなことは止めて、頑張った過程を褒めてください。
結果がどうあれ、子どもは親に自分を肯定してもらえさえすれば、安心し心が満たされます。
そして、そのことで自己肯定感が育まれれば、どんな困難や問題も、「自分なら乗越えられる。大丈夫」と、自分の力を信じて次に進めるようになるのです。
「自己肯定感」は、自己成長を叶えるための大きな大きな原動力です。
困難にぶつかった時、それに負けない心の強さを育むには、「自己肯定感」が大きな役割を果たします。
親は、どんなときも子どもの力を信じて見守り、子どもが自己成長への道を力強く歩めるように促していきましょう。
どんな時代にいようと、どんな競争社会の中であろうと、
自分自身の力を信じ、物事に対して粘り強く取り組めるような人間に成長させるために親がすべきこと、
それは、「無条件の肯定的態度」です。
「無条件の肯定的態度」でいつづけることは、子どもの成長を促す上でとても大切な姿勢です。
子育てで気を配るべきことは、最低限このこと。
と心に留めておくと、少しは子育てや受験のストレスを減らせるかもしれません。