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鈴木恵美

表面化する問題から悩みの本質に迫る心理カウンセラー

鈴木恵美(すずきえみ) / 公認心理師

Pure Bliss(ピュア ブリス)

コラム

看護師の陰湿な歪んだコミュニケーション  ~いじめや嫌がらせ、我慢する?誰かに相談する?~

2018年9月23日

テーマ:保育士さん・看護師さんの悩み

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

看護師の世界はハードかつストレスフル。
加えて女性が多い職場となれば、感情的な部分でのいじめや嫌がらせも起こりえます。
いじめを無くし職場環境を改善するためには、我慢せずに上司に相談しましょう。
傷ついた心は、誰かに話しを聴いてもらうことで回復させましょう。

看護師のいじめや嫌がらせの事例

看護の現場は夜勤などもあり体力的に負担が大きい仕事です。
しかし、もっと辛いのが精神的な苦痛です。
常に人手不足の業界であるにもかかわらず、先輩たちのいじめのせいでせっかく入った新人が早々に辞めてしまう状況は、残念ながら各地の施設で見られています。

実際にどのような嫌がらせがなされているのでしょうか。
看護師は女性が多い世界。
直接的な暴力を振るわれることはありませんが、陰口を言われる、根も葉もない噂を流されるなど、表面に出にくい方法でいじめが行われることが少なくないようです。

特に標的にされやすいのが新人看護師。
指導担当の先輩看護師に業務を教えてもらうなかで、徐々に指導の厳しさがエスカレートし、仕事が十分にできないことをののしられるようになった、という辛い声も耳にします。
叱られるにしても、他の人がいないところで冷静に言われるのであれば受け入れられます。
しかし、患者さんの前で怒鳴られるなど、プライドを傷つけられ、心理的に大きなストレスを受けるような指導も見受けられます。

新人ではなくても、先輩グループから気に入られなければ何かにつけて嫌味を言われ、根も葉もない噂を流されることもよくある話です。
特に、男性医師やスタッフと仲良くしているところを見られた後には、攻撃が激しさを増す、といったことも有るようです。

悪口を言われるだけでも辛いのに、自分だけ負担の大きい業務を押し付けられたり、仕事道具を隠されたり、業務に必要な情報を教えてくれなかったりすれば、間違いなく仕事が円滑に回らなくなります。

こうした日常的な嫌がらせが原因で、ミスが起きればそれがもとでさらにひどい仕打ちを受けるようになるという悪循環に陥ります。

看護師のいじめが陰湿になりやすい理由 

女性が主力となって働く職場は多数ありますが、なぜ特に看護師の世界で、いじめが多く横行してしまうのでしょうか。

それは、人の命を預かる責任の重さからくるストレスが原因のひとつであると考えられています。
ちょっとしたミスでも、場合によっては重篤な疾患につながることもでてきます。
そのため、些細な失敗でも詳細なチェックをする体質が身に付いているのです。
新人にとっては、先輩の指導が行き過ぎと感じる事があるかもしれません。
直接言われているうちは、いじめではなくプロ意識からくる指導の可能性もあります。
ですが、それが自分のいない所で事実を歪曲させたり、大げさにして拡げられているとすれば問題です。

ストレスに加え、人手不足による労働環境の悪さが看護師から心の余裕を奪います。
2交代制や3交代制という不規則な勤務形態は、生活リズムを崩しやすくもなります。
夜勤や残業が続けば、肉体的にも精神的にもゆとりが持てなくなるのは当然です。
そして、他の人に優しく指導する余裕がなくなってしまうのでしょう。ましてや、快く思っていない後輩であればなおのことです。

不規則で過酷な勤務形態の中で、女性だけで長時間 同じ空間で過ごしていると、ストレスを強く感じ、感情的になりやすくなってしまうのです。
そして、厳しい態度で接する場面が増え、度を越して嫌がらせに発展する、ということが出てくるのです。

いじめによる身体的・精神的不調のサイン

毎日のように先輩の嫌がらせに耐えていれば、心身にダメージが蓄積し遅かれ早かれ何かしらの不調となって表面化します。

家族と暮らしていて、普段と様子が違うことに気づいてもらえたとしても、仕事と家族を優先するあまりに自分のことは後回しにしてしまいがちです。
自分のことを良く知っている家族のアドバイスは、早い段階からきちんと聞き入れましょう。

特に気を付けてほしいのは、一人暮らしの人です。
抑うつ状態が続き気分の落ち込みが強くなれば、心療内科などを受診する気力や判断が奪われます。

休んでも回復しない慢性的な疲労感が続く原因は、いじめを受けたことによるストレスが原因かもしれません。
それでもなんとか「体が動くうちは…」と頑張りすぎてしまうと、どんどん負担やストレスが蓄積していきます。
気が付いた時には、心身ともに疲れきってしまい、看護の仕事をするどころではなくってしまうかもしれません。

気分が落ち込み、イライラする、楽しいと感じることがなくなった、気分にムラがあり不意に涙が出ることがあれば要注意です。
そんな状態が2週間以上続けば放置するのは危険です。
なるべく早く専門医を受診しましょう。

いじめや嫌がらせを受けた場合の対応策

心身ともに不調がみられるなら、あなたの心は悲鳴をあげています。

自分が我慢すればいい、というレベルではありません。
声をあげて職場から陰湿ないじめを無くしましょう。
とても勇気がいることですが、今のままではあなたがいじめられなくなっても、今度は別の誰かが標的になります。負の循環はどこかで断ち切らなければなりません。

相談するにも順番があります。
いきなりトップに話をすると、直属の上司の顔をつぶすことになりかねません。
まずは、看護師長に相談しましょう。
もしも、対応が頼りにならないならばさらに上役に話をしましょう。
職場内でいじめが横行するのは、管理職の問題でもあるのです。
遠慮することはありません。
感情と事実をしっかりと分けて、冷静に実情を伝えましょう。

具体的な解決については職場の上司に相談するのが一番ですが、職場はあなたの傷ついた心を癒してはくれません。
信頼できる人に自分の心のうちを吐き出し、洗いざらい聴いてもらいましょう。
話しをするだけでも気持ちの整理がつき、ストレスを軽減させる効果が有ります。

我慢しすぎて心がダメージを受け疲弊してしまう前に、信頼できる人に相談すること。
不満や辛い思いを吐き出すこと。
この2点の行動があなたの心を守るうえでとても効果的です。

身近な人には心配を掛けたくないなどの理由で話しにくければ、話しを聴く訓練を受けている、心理カウンセラーに相談するのも方法の一つです。

この記事を書いたプロ

鈴木恵美

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