プロが見た顧客視点 ~ミステリーショッパーの極意~
「ベネフィット・カスタマー」とは、一人ひとりのお客さまの潜在的なニーズを引き出し商品の価値を結び付け、最終的にお客さまに利益をもたらす「顧客の利益創出」のことを指します。具体的には、お客さまが漠然と抱えているニーズに対し、「これが欲しかった」「いいものを手に入れた」とお得感を提供できる接客話法を身に付けることです。
この出汁の瓶1本で何食分ですか?
コンサルティングしているお蕎麦屋さんでの出来事です。蕎麦出汁の老舗専門店が開いているお店です。風味のある蕎麦出汁が自慢で、蕎麦の美味しさを引立てます。店内での飲食はもちろん、店頭には自慢の出汁が瓶で販売しています。美味しいお蕎麦を食べて、家でも楽しめることをお勧めしていました。POPと共に綺麗に並べられています。
店長に質問しました。「この瓶1本で何食分ですか?」すると、「えーと、500mlですから1食当たり・・・」と瓶に書いている作り方の説明を見ながら電卓をたたいていました。
残念ながらお客さまの単純な質問に答えられないのです。500mlという知識はあるものの、お客さまの食べることを想定した場面のことを考えたおすすめ話法ができないのです。「ベネフィット・カスタマー」とは、お客さまの食べる目的やシーンを想定した会話をして、お客さまに「なるほどそれは便利、家族だと〇〇回分ね」と思わせて購入に近づけるのです。もしこれが、特売品100円引きをしたとしましょう。「〇〇食分がお得です」と言えることです。
映画館の割引は何回分お得ですか?
コンサルティングをしているクレジットカード会社での出来事です。ショッピングセンターでクレジットカードの販売をしている担当者は、必死にカードの特典をすすめてお客さまを呼び止めようと一生懸命です。「〇〇割引が使えます」「ポイントが溜まってお得です」等々、多くの特典を自慢しています。
販売担当者に聞きました。「映画の割引って、何回分がお得ですか?」すると、「えーと、1回300円の割引ですから通常価格が1700円ですから・・・」と電卓で計算をしていました。「私は年に10回位映画を観るので、2回はタダになるということですか?」と逆にお客さまからお得感を確認することになりました。本来ならば、お客さまがどれくらいの頻度で映画を観るのかの質問をして、「それでしたら年2回はタダで観れますよ!」と提案してくれたらどうでしょう?お客さまは、はっと気づき会員への入会意欲が高まるでしょう。これが「ベネフィット・カスタマー」の会話力です。募集カウンターで、「映画割引です」「ポイント付きます」などの呼び込みよりも、「映画は良く観られますか?」や「こちらへの買い物は週どれくらいですか?」という呼び込みの方が、お客さまには「何か教えてくれそう」というアピールにつながるでしょう。
このお魚はどんな料理に使えますか?
コンサルティングをしているスーパーでの出来事です。生魚売り場の前で一生懸命呼び込みをしている担当者がいました。「新鮮です!」「脂がのっています!」「タイムサービスです!」と、はり切っていました。でも私にとって、新鮮や脂ののりはピンとこないのです。なぜかと言うと、新鮮ではないものは置かないでしょうし、脂のりは味わっても違いがわからないのです。私の興味は、食事での想定です。
担当者に聞きました。「このお魚はどんな料理に使えますか?」すると、「煮物やお刺身でもいいですし、焼いても美味しいですよ」という答えでした。「いったいどれがいいのだろうか、悩みが増してしまいました。
このケース、お客さまに「煮物は好きですか?」や「生で食べる方ですか?」などの質問をして、煮物好きな方には「みそ煮が最高です!」なんて言われたら、食べる意欲が一段と湧きます。生食が好きなら「お刺身よりもビネガーでカルパッチョだとさっぱりと召し上がれますよ」と言われると、口の中に風味が漂う快感が得られます。これが「ベネフィット・カスタマー」の会話力です。
価値トークの輪を広げる
お客さまにぴったりの商品に対し、お得感をどう伝えて価値を提供するかなのです。この会話を「ベネフィット・カスタマー」の「価値トーク」と言っています。お客さまに商品の価値を伝える。しかも1人ひとりのお客さまのニーズに合ったものを提案できること。そして納得して喜んでもらえることがCS向上のカギになります。この会話「価値トーク」ができる販売員をたくさん作ること、この輪を広げる活動が「ベネフィット・カスタマー」CS向上戦略です。必ず業績が向上します。
今回、この「ベネフィット・カスタマー」CS向上戦略のセミナーを無料で開催することになりました。詳しくはこちらのセミナー案内から→https://mbp-japan.com/tokyo/omotenashikeiei1/seminar/5005952/
このセミナーでは、接客の手法はもちろん、CS向上のための戦略的手法をお伝えしていきます。金融機関から、アパレル、接客サービス業に至るまで、対面販売でCSの向上を図り、業績アップをするためには欠かせない戦略です。
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