お客様視点の変化に対応する ~コロナ禍での飲食店覆面調査から~

伊東久

伊東久

テーマ:コンサルティングと研修の現場から


 
 繁華街のお昼時、コロナの影響が大きい飲食業界において、なんとか活気を取り戻そうと、店頭を歩いているお客様に向かって一生懸命に声を出して呼び込んでいる姿を見かけます。今までなら満席の時間なのでしょうが、最近はなかなか埋まらないのでしょう、気持ちがわかるだけに切ない気もします。

 飲食店の覆面調査もようやく9月から始まりました。店の前を歩いていると呼び込む声が良く聞こえてきます。店頭で立ち止まると、「どうぞご利用ください、お席ございまーす!」と声をかけられます。おそらく今年の覆面調査での「店頭を歩いているお客様への意識」という評価得点は、昨年よりも上がるでしょう。結果が出る前から、その光景をみると予測できます。

 ところが、その呼び込む際、マスクをしている関係もあり笑顔が読み取り難いのです。目線もなかなか合いません。必死なのでしょう、モチベーションも下がっているのか、やや表情がこわばっているのです。
 お客様に本当に良い印象として伝わっているのでしょうか?

覆面調査の総評コメント【良かった点】

 入店するとどのスタッフもキビキビと動いていて、私語もなくお客様をお待たせしたいませんでした。席へのご案内はとてもタイミングよくスムーズに行われ、丁寧に手を指し伸べて席を教えてくれました。言葉づかいは丁寧で「こちらでございます」と接客に相応しい会話をしていました。身だしなみはユニフォームに清潔感があり、髪の乱れもなく全員が意識しているのがうかがえました。店内のお客様への配慮があり、客席の巡回を良くしていて、水のお替りや食器下げなどを積極的にしていました。いつでも声のかけやすいところで待機をしているので安心感がありました。オーダーの際、おすすめ料理をたずねると「一番人気は〇〇で、あとこちらの〇〇も好評です」とすぐに伝わってきました。とてもスムーズな対応で安心して食事をとることができました。

覆面調査の総評コメント【改善点】

 気になった点としまして、入り口を入った際すぐに対応してくれたのですが、「1名様ですか?」の声がけが優先し、はっきりとした「いらっしゃいませ」の挨拶が確認できませんでした。まずはしっかりと挨拶をしてお客様を歓迎している気持ちを伝えましょう。ややスタッフの表情が硬かったです。マスクをしていることで、お客様は今まで以上にスタッフの目線が気になります。マスクだからこそ目線で笑顔をアピールしましょう。商品の提案では、2種類のメニューを教えてくれたのですが、特徴は伝わってきませんでした。一番人気があるのでしたら「コクのある、まろやかな」等の言葉を添えて、積極的にアピールして料理の楽しみを伝えましょう。感染症対策ですが、入り口付近にアルコールスプレーが見当たらず、レジに置いてあるだけでした。またレジには飛沫防止シートがありません。お客様への安心感のためにも必ず徹底しましょう。会計の際、レジの画面が汚れていて、ゴム手袋のまま触って処理をしていました。コロナ禍ではとても衛生面が気になりますので、こまめな清掃をして綺麗な状態で作業をしましょう。クレジットで会計する際の暗証番号入力端末が汚れていました。お客様毎に拭くことをおすすめします。

お客様の視点が変化している

 皆さん、お気づきでしょうか。「良かった点」のコメントには、作業優先で決められたことをしっかりとやっている姿が想像できると思います。ところが「改善点」には、このコロナ禍においてやらなければいけない、歓迎感のある挨拶と笑顔での対応、お客様に料理の楽しみを伝える会話、感染症対策などが指摘されています。
 
 コロナ禍でお客様の視点が変化しているのに、店の接客が変化していないのです。

 お客様は、必要最低限の機会として飲食店を利用しています。だからこそ、しっかりとした対応と、それなりの満足感を期待しています。感染症対策にも最新の注意を払っていて、アルコールスプレーで手指を殺菌し、テーブルの上の調味料を触るのにも気を使っています。
 これに対応するのが、これからの接客です。

コロナ禍の覆面調査評価基準

 この覆面調査の総評コメントをみると、今まででしたら強みと弱みをそれぞれ把握し、強みは伸ばし、弱みは改善へと向かうのが良しとされていました。しかし、これからはこのコロナ禍のお客様視点に立った本質的な改革を進めるべく、改善提案をしていかなければなりません。

 私たちのCS覆面調査では、感染症対策を初めとして、「歓迎する気持ちが表れているか?」「マスクでも笑顔が認識できるアイコンタクトがあるか」「お客様とのコミュニケーションを積極的に取っているか」などの基準を新たに設け、昨年とは違う視点で覆面調査をしています。

 ×を〇にするだけではなく、時代に合ったお客様視点で観察し、プロの目で本質的な改善提案ができる覆面調査がこれからは必要でです。

 是非、この機会にCS向上を図るための実態調査をしませんか。

 詳細はこちらでご確認ください⇒CS覆面調査プログラム

 お問い合わせはこちら⇒おもてなし経営クリエイション・アカデミー

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伊東久
専門家

伊東久(経営コンサルタント)

株式会社おもてなし経営研究所

現場での接客と、組織マネジメントの経験を併せ持った視点から、顧客に愛され支持される「おもてなし経営」を目指した組織づくりを支援。従業員の力を引き出すコンサルティングと豊富な経験談を交えた研修が好評。

伊東久プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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