おもてなし経営クリエイション・アカデミーを立ち上げました
お客様の期待
皆さんは、買い物や食事の際、どんな思いを抱いてお店に入りますか?「何か面白いものはあるかな?」「いい雰囲気で食事ができるかな?」「これは面白そう!これは美味しそう!」等々、いろいろな思いで想像をしながらお店の入口で期待を膨らませていることでしょう。しかし、お店の方はそのお客様の気持ちをどれだけ分かっているのでしょうか?写真にもある「美味しい燗酒の飲み方」の看板があれば、おすすめのお酒を教えて欲しいと思いますよね。
ある人気イタリア料理のお店に電話予約をして利用しました。電話口から丁寧な口調で「是非お待ちしております!」と明るい案内があったので、食事の日を心待ちにしていました。当日、店の入り口を開けると、奥の方から「いらっしゃいませ」という声はかかったものの、誰も相手にはしてくれません。しばらく目で店員の動きを追っていると、一人の店員が気づき、「えーと、何名様でしょうか?」と寄ってきてくれました。「いや、予約をしているものですが」と伝えると、名前の確認をせず「2名様ですね?」と言って席を探していました。案内された席は店の中央にあり、あまり落ち着かない雑然とした4人席のテーブルでした。良く見渡すと、奥やカウンター席などに2名で落ち着いて食事ができそうな席が空いていました。席に着いて注文を始めました。「ピザが美味しいと聞いて来たのですが、おすすめありますか?」とたずねると、店員は「これのことですかね?チーズにトマトソースです」とだけ言って会話が途切れました。お客様の期待が見事に裏切られたシーンでした。
ピザが美味しいと聞いてわざわざ予約をして、当日を楽しみにして店を開けた瞬間に、普通に来店したお客様と同じように、マニュアル的な扱いを受けました。予約した特権は?とちょっと考えてしまいました。「美味しいピザは?」と聞いても、特に嬉しそうな素振りもなく、美味しい特徴も伝えずに、メニュー表の写真を見ればわかることだけ伝えていました。「それはわざわざお越しいただきありがとうございます。当店のピザはこれが一番で・・・」と教えてくれるのを期待していたのは、こちらの思い過ごしでしょうか?
「マニュアル」VS「モラル」
皆さんは、「マニュアル」と「モラル」どちらを大切にしていますか?
私の研修ではよくこういう質問から入ることがあります。モラルというのはとても範囲が広くて認識も人により差が出やすいですね。「モラル」とは単純に訳すと「道徳」、いわゆる公私の区別をきちんとつけ公序良俗に反しない行動全般を指します。人と会ったら笑顔で歓迎の気持ちを出して挨拶する。お世話になったら心から感謝の意を伝えるということにもなります。特に接客の場では、相手のことを考え相手に合わせたその場その場での対応をすることだとも言えます。マニュアル通りに「いらっしゃいませ」という言葉を発しても、モラル的に歓迎する気持ちを伝えていなければお客様に伝わりません。このイタリア料理店もマニュアル通りの作業を教えすぎて、モラル教育を疎かにしてしまった結果ではないでしょうか。
プロの顧客視点
接客対面販売をする企業では、多くのところで「ミステリー・ショッパー」、いわゆる覆面調査に取り組んでいると思います。ほとんどの調査員は「顧客視点」という言葉を使い、お客様として感じたことをそのまま点数化して、店へ指摘点を伝えています。その中では、「挨拶の声が聞かれなかった」という指摘に対して「お客様を見たらすぐに挨拶をしよう!」というアドバイスのコメントをしていることがよくあります。これを受けたお店は確かに「挨拶は弱いな」と感じても、いざ改善しようとしても「もっとお客様を良く見て挨拶をしっかりしよう!」というかけ声で終わってしまうのがせきのやまではないでしょうか。
私の覆面調査の考え方は「プロの顧客視点」です。このイタリア料理店の事例に合わせた「〇×」の付け方をお教えします。
①入店の挨拶があったか・・・「×」
理由:対応した店員からは「何名様?」という言葉だけで、挨拶の言葉はな
い。予約をして来たという期待に応えられていない。
②スムーズな席誘導があったか・・・「×」
理由:席を探すのに少し戸惑っていたので、スムーズではない。予約した
お客様用の席を用意しておらず、予約した特権を味わう席でもない。
③商品説明はできているか・・・「×」
理由:チーズにトマトソースという説明は、写真通りなので説明になって
いない。お客様の「美味しいピザ」という期待に応える回答ではない。
如何でしょうか。
この3点を一般的なお客様視点で調査をすると、全て行動としては実施しているので「〇」が付くでしょう。しかし、プロの顧客視点でみると、明らかにお客様の期待に沿えてない結果であることが分かります。
CS覆面調査プログラムのすすめ
このイタリア料理店の指導の方向性はこうなります。
「イタリア料理店らしく美味しい特徴のある料理を活かして、イタリアの雰囲気を味わいたいと思っているお客様の期待に沿えることを前提としたスタッフの教育を心がけましょう。『お客様の期待は何か?私たちの役割は何か?』について徹底的に話し合う場をつくりましょう。スタッフ一人ひとりに一番のウリである料理の特徴を自慢できるように、試食を兼ねた説明力を付ける練習をしましょう。その上で、来店されたお客様の気持ちを考えて声をかけましょう。2名客には、グループ客には、予約客にはどんな声をかけるか、スタッフ自身で考えて実践しましょう。料理の説明は、スタッフ自身の言葉で美味しさを伝えられるよう、スタッフ間で伝え方を共有しましょう。こういう指導を行いながら、スタッフの意識改革をすすめ、明るく活気のある店を目指しましょう」
多くの企業が社員の意識改革に苦労をしています。「言ったとおりにやってくれない」「見ていないとやらない」という声をよく聞きます。これは、作業だけを押し付けて教えていて、お客様へ「なぜ必要なのか」の目的を教えられず、融通がきかない接客になっていることが多くあります。「マニュアル」だけではなく「モラル」教育の場を多く増やしていきたいですね。
私たちの「CS覆面調査プログラム」は、「プロの顧客視点」を重視した調査を行っています。その上で、表面的な×を〇にすることではなく、本質的な改善手法を提供していきます。企業としての総合報告から、改善手法、個店別の面談、改善手法の研修までをトータルでサポートします。
是非、私どもの「CS覆面調査プログラム」をご覧ください。→https://www.omotenashikeiei.co.jp/事業内容/調査プログラム/
飲食店の事例でお伝えしていますが、飲食店、小売店、理美容、金融機関、行政機関、鉄道、運輸、病院、教育施設等、あらゆる対面販売店の調査が可能です。