AIによるサステナブルビジネス業界のビジネスレポートサイトを運用しています
高齢の大家が備えるべきは「資産凍結」の一点
高齢の大家が抱える賃貸経営リスクの中で、私が最も怖いと感じているのは滞納でも空室でもありません。認知症などによる判断能力の低下、いわゆる資産凍結です。厚生労働省の研究班の推計では、認知症の高齢者は2040年に約584万人、65歳以上のおよそ7人に1人に達すると見込まれています。
家族でも代わりに契約できない
母はマンションを2棟経営しています。父の始めた賃貸経営を引き継ぎ、長年ひとりで家賃管理も入居者対応もこなしてきました。ここ数年、契約書の整理や入金確認といった細かい事務が年々負担になっていく様子を、子として見てきました。
そこで考えたのが「もし母の判断力が急に落ちたら、この2棟はどうなるのか」でした。調べて分かったのは、判断能力を欠くと判断された場合、本人単独では賃貸借契約の締結も更新も、大規模修繕の発注も、売却もできなくなるということです。しかも家族が代理で署名しても、法的効力を争われるリスクが残ります。銀行口座の入出金が制限されることもあります。
つまり、空室が出ても次の入居者と契約できない。設備が壊れても直せない。経営が黒字のまま、動かなくなるのです。
「後から」だと選択肢が一つしか残らない
判断能力が落ちた後の備えとして法律が用意しているのは成年後見制度です。家庭裁判所が選任した後見人等が本人に代わって財産を管理します。ただしこれは本人の財産を「守る」制度なので、積極的な資産運用や建て替えは、本人の利益にならないと判断されれば認められないことがあります。原則として途中でやめることもできません。
一方、本人が元気なうちであれば、信頼できる家族に管理・処分の権限をあらかじめ託しておく家族信託という選択肢も検討できます。重要なのは、この選択肢が「元気なうちにしか選べない」という点です。時間差こそが、高齢の大家にとって最大のリスクだと私は思っています。
今日からできる一歩
制度の検討は専門家が要りますが、その前に家族だけでできることがあります。物件の状況、各部屋の契約内容、取引金融機関、家賃の入金状況を、後継予定者と共有しておくことです。紙と記憶に散らばった情報を見える形にしておけば、日々の負担が減るだけでなく、いざ成年後見や家族信託の手続きを進める段でも、そのまま資料になります。
なお、成年後見の申立てや家族信託の契約設計は個別性が高い分野です。実際の判断は司法書士・弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。
高齢の大家が直面するその他のリスクと、元気なうちにできる備えの詳細は、自社サイトの記事にまとめています。
高齢の大家のリスクと備え


