【不動産仲介・管理業者さま向け】管理受託の提案で、管理料の次に語れる材料はありますか

野口真一

野口真一

テーマ:賃貸管理

管理受託の提案で、管理料の次に語れる材料はありますか


大家One物件タイムライン画面と大家さん

管理受託の競合提案で最後に効くのは、管理料の水準そのものではなく「その管理料で何が返ってくるか」だと感じている方は多いのではないでしょうか。客付けもリーシングも原状回復の手配も、横並びに見えてしまえば比較軸は数字だけになります。

私が開発している「大家One」は、小規模なオーナーさま向けの賃貸管理システムです。もともとは自主管理の方向けに作ったものですが、このたび不動産仲介業者・賃貸管理会社の皆さまが「オーナーさまへ提供する側」に回れる仕組みを追加しました。貴社の業務を効率化するツールではなく、貴社がオーナーさまへ差し出せる提供価値を増やす、という位置づけです。

1. オーナーさまの手元で何ができるのか


大家Oneは、1〜3棟・4〜30室ほどを保有するオーナーさまを想定して設計しています。中核は次の4つです。

- 入居者・契約管理 — 入居者情報と契約内容を一元管理し、契約満了が近づくとアラートで知らせます
- 家賃収納・消込管理 — 月次の請求を自動生成し、入金記録との消込状況と滞納をそのまま一覧で把握できます
- 運営コスト管理 — 固定費・修繕費などを記録して月次の純収益を追跡します。確定申告の準備にも使えます
- 空室管理ボード — 部屋別のステータスと空室期間を一覧化し、入居率を自動計算します

加えて、この先の入出金予定から残高の見込みを出す資金繰りの画面と、契約書をAI-OCRで読み取る機能(上位プラン)があります。操作の設計は高齢のオーナーさま向けに寄せてあり、本文の文字は18ピクセル以上、主要な操作は3クリック以内で完結します。

つまりオーナーさまにとっては、「電話で担当者に聞かないと分からなかったこと」が、ご自分の画面でいつでも確認できる状態になります。

2. 管理会社向けの「仲介業者コンソール」


ここからが管理受託に関わる部分です。管理会社の皆さまには専用のコンソールをお渡しします。

その場でオーナーアカウントを発行できる


運営側への申請や承認待ちはありません。貴社が保有する契約枠の残数の範囲内なら、担当のご判断でその場で発行できます。ダッシュボードには総枠数・使用中・残枠が常時表示されます。

発行と同時にオーナーさまご本人宛へお知らせが届き、ご本人が到達確認のリンクを開くまで通常ログインは解放されません。本人の知らないところでアカウントが動き出す事故を、この段で止めています。

代理ログインで初期設定を代行できる


高齢のオーナーさまに「アカウントを作りましたので登録してください」とお渡ししても、そこで止まります。大家Oneでは貴社の担当者が代理ログインでオーナーさまの画面に入り、物件・部屋・契約・入居者の登録から振込先口座の設定まで代行できます。

代理ログインはワンタイムリンク方式で、リンクは5分で失効し1回しか使えません。セッションは最大60分、10分操作がなければ失効します。

ここは提案の場で必ず聞かれるので率直に書きます。代理中の操作は、どの業者スタッフがどの代理セッションで行ったかまで監査記録に残ります。開始時にはオーナーさまへ通知が飛び、ご本人がログイン中は画面上部に代理操作中と表示され、その場で止められます。逆に、この停止操作を業者側から代わりに行うことはできません。

代行できない範囲も明確です。退会・解約、ログイン用メールアドレスの変更、あいことばや家族アカウントの管理、信頼済み端末の登録は操作できません。一方で振込先口座の登録・変更とAI連携トークンの発行は、初期設定の中核であるため、あえて許可したうえで通知・監査記録・オーナーさまによる停止で担保しています。伏せずに書いているのは、オーナーさまへ正確にご説明いただきたいからです。

業者コンソールに業務データは出てきません


貴社のコンソールに表示されるオーナー情報は、お名前・メールアドレス・アカウントの状態・発行の経緯までです。物件・入居者・入金といった業務データはこの画面には現れず、見るには代理ログインを使うことになり、そのときは必ず通知と記録が残ります。他社が発行したオーナーの情報は検索にも一覧にも現れません。マルチテナントのSaaSとして、データ取得はすべて貴社の識別子で絞り込みます。

スタッフ権限は管理担当と一般の2段階で、担当者が退職した際は無効化するだけで本人のセッションも未使用の代理リンクも同時に失効します。

3. MCPサーバーを標準装備 — AIチャットから賃貸データを扱う


ここからは少し技術寄りの話です。システム導入をご検討の情シスご担当や、技術に明るい経営者の方に向けた章とお考えください。

大家Oneは、MCPサーバー(Model Context Protocol。AIエージェントから外部のデータや操作を安全に扱うための接続仕様)を、追加のオプション契約なしに標準装備しています。オーナーさまが普段お使いのAIアシスタントを接続しておけば、管理画面を開かずに「滞納は今どうなっている?」「この先2か月の資金繰りを見せて」と話しかけるだけで、LLMが大家One側のデータを読んで表と要点にまとめて返します。資金がショートしそうな日を先に見つけ、理由と打ち手まで示すところまで行きます。

接続の形はごく素直です。エンドポイントはStreamable HTTPで公開し、認証は設定画面で発行したアクセストークンをBearerヘッダで送るだけ。提供は計23ツールで、物件・空室・契約・請求・コスト・日繰り表などの参照系と、入金記録・退去処理・コスト登録などの操作系に分かれます。同じ認証基盤の上にREST APIも公開しているので、貴社の基幹システムやBIから直接叩くこともできます。

権限はスコープで絞れます。「read:invoices」のように「アクション:リソース」の粒度で指定でき、トークンが持たないスコープのエンドポイントは弾かれます。参照だけを許すトークン、特定用途にだけ書き込みを許すトークン、という分け方が可能です。レート制限はトークン単位・IP単位・書き込み別枠の3層です。

この章で最も大事なのは個人情報の扱いです。入居者の氏名・電話番号・住所は、APIにもMCPにも一切流れません。AIから見た入居者は「グリーンハイツA館201号室さん」という部屋の呼び名で、誰の話かはオーナーさまには一目で分かり、AIにとっては匿名のままです。運用ルールではなく実装で担保しており、個人情報カラムをそもそもSELECTしない専用の読み出し関数を使い、返す項目を許可リストで明示し、送出直前に禁止キーの混入を機械的に検査する三層構造になっています。

設定にはファイル編集を伴うためオーナーさまご自身では難しい場合がありますが、そこは代理ログイン中に貴社が代行できます。「AIに聞けば答えが返る状態」まで設置してお渡しできるのは、管理会社ならではのご提案になるはずです。

AIチャット連携の解説
APIとMCPの技術仕様

よくあるご質問


既に自社で賃貸管理システムを使っています。入れ替えが必要ですか


不要です。貴社の基幹システムを置き換えるものではなく、貴社がオーナーさまへお渡しする側のシステムです。管理業務は現行のまま、オーナーさま向けの提供価値だけを足す位置づけになります。

集金代行やサブリースでも使えますか


契約形態は問いません。大家Oneはオーナーさまのアカウントであり、貴社との管理受託契約の内容に依存しません。集金代行でも一括借上げでも、自主管理オーナーさまへの受託営業ツールとしてもお使いいただけます。

費用は誰が負担するのですか


そこは貴社にお決めいただける部分です。当社は貴社とオーナーさまの間の契約に関与しません。管理料に含めて無償の付帯サービスとすることも、オーナーさま向けの有償オプションとして収益化することも選べます。当社がお約束するのは契約枠の数で、提供条件(名目・金額・請求方法)は貴社の裁量です。枠数や開始時期で条件が変わるため、金額を含むご案内は個別のご相談とさせていただいています。なお、MCPやREST APIの利用に追加のオプション契約は不要です。

導入までどのくらいかかりますか


お問い合わせ、条件のご相談、契約枠のご用意、貴社スタッフのアカウント作成までが初期の流れです。その後はオーナーさま1件ごとに貴社の画面から即時発行できます。

おわりに


賃貸住宅管理業法により管理業務報告書の定期的な交付と説明は義務になりましたが、義務を満たすだけでは差はつきません。差がつくのは、オーナーさまが「この会社に任せていると分かりやすい」と感じるかどうか。そのために要るのは報告の頻度ではなく、いつでもご自分で見られる状態だと考えています。

提供条件のご相談やデモ画面のご案内も承っています。

仲介業者向けのご案内

※ 個別の管理受託契約や賃貸経営のご判断については、内容により専門家へのご相談をおすすめします。本稿に記載の機能は執筆時点のものです。

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野口真一
専門家

野口真一(AIコンサルタント)

オフィストゥルーワン

IT業界で培った知見と地域活動の経験を生かし、AIを活用して町会やPTA、マンション組合の業務改善を支援。問い合わせ対応の自動化やオンラインでのスケジュール調整により、運営の負担軽減を目指します。

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