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賃貸管理を委託しても「丸投げ」にはできない理由
賃貸管理を管理会社に委託すれば、大家の仕事はほぼ終わり——そう思われがちですが、母のマンション経営をそばで見てきた私の実感は少し違います。委託した後にこそ、大家にしかできない仕事が残るのです。
報告書を前にした母からの電話
母はマンションを2棟経営しています。もとは会社員で、相続の関係でオーナーになった人です。管理会社に委託した後も、月次報告書を手にしては私に電話をかけてきました。「これ、何が書いてあるのか分からない」。空室が1部屋あることは読み取れる。けれど、それが募集条件のせいなのか、内見が入っていないのか、原状回復が終わっていないのかが分からない。数字は届いているのに、状況が届いていないのです。
「委託した業務」と「残った責任」は同じではない
賃貸管理の業務は、入居者募集、契約締結、家賃収納と滞納対応、クレーム・修繕対応、原状回復と退去精算、更新手続きと、募集から退去まで一続きに続きます。管理委託とは、このうちどこからどこまでを任せるかを決める契約です。
だからこそ「どの業務がいくらに含まれているのか」は、契約前に必ず確認したいところです。委託料の水準だけを比べても意味がありません。そして、委託していない部分の判断と、最終的な経営責任は当然ながら大家に残ります。修繕にいくらかけるか、家賃を据え置くか、更新をどうするか。これらは本来、任せきりにできない領域です。
委託していても、自分で見る数字を持つ
母のケースで結果的に効いたのは、報告書とは別に、自分の手元で入居状況と収支を確認できる状態を作ったことでした。どの部屋が誰と契約していて、家賃はいくらで、今月きちんと入金されたか。この最低限の4項目を自分でも把握していると、報告書の読み方が変わります。「空室が1部屋」ではなく「先月から2か月空いている部屋がある」と分かるからです。
管理会社を選ぶ際の材料も増えました。2021年に本格施行された賃貸住宅管理業法により、一定規模以上の管理業者には登録が義務づけられ、管理受託契約の前にはオーナーへの重要事項説明も義務化されています。登録業者かどうか、説明をきちんと行うか。これは契約前に確認できるチェックポイントです。
自主管理か委託かは二者択一ではなく、「どこまで任せ、どこを自分で握るか」の設計だと思います。実務を任せることと、状況を把握しないことは別のことです。
なお、契約内容や法令の適用については、宅地建物取引士・弁護士等の専門家にご確認ください。
賃貸管理業務の全体像や、自主管理と管理委託の費用相場の比較は、自社サイトの記事に整理しています。
賃貸管理の基礎と費用相場


