冠婚葬祭、葬儀だけの特徴とは?

寺田淳

寺田淳

テーマ:終活全般


【はじめに】

 一般的な冠婚葬祭の中で
唯一葬儀だけにある特徴とは?

 唯一の慶賀ではない行事?
それもありますが、結婚、受賞・優勝・叙勲、周年記念
等と比べて決定的に異なる最大の特徴があります。

 葬儀はこちら側の意思で執り行うことが出来ないことと
各種の手続きに厳密な時間の制約があることです。



 今回はこの点について紹介したいと思います。

【事前準備が出来るか出来ないか?】

 全てに共通するのは共に入念な事前準備が必須である事、
主催は自分たちでもそれぞれの様式を踏まえる事、
必ずしも自分たちの想い通りには行かない事、などでしょうか?

 結婚にしても「冠・祭」の記念行事にしても
日程を決めるのは当事者の自由意思に委ねられています。

 式にふさわしい日程を決める、式次第、式の規模、内容等
煩雑な問題を含むとはいえ、それを考えること自体が
実は楽しい苦労という事が少なくないはずです。

 結婚で言えば一人ではなく二人で考えることになり
その時間自体が幸せの時間となるのです。
 
 親族や友人ら招待者の都合もじっくり吟味する余裕があり、
大安吉日などの日程の決定にも時間をかけることが可能です。

 式場の確保については早めの決定と予約が必要ではありますが
役割を分担制にしておくけば効率よく決めることも可能です。

 
 これらに比べて葬儀の場合はどうでしょうか?

 まず、
「その時はこちらの都合に関係なく、突然に生じます。」
 さらに慶事と大きく違うのが
「厳密な時間の制約がある」点です。

 殆どの場合、「その時は唐突に」訪れます。
葬儀の日程は結婚式のようにこちらで事前に日程を決める事が出来ません。

 長期入院であっても、
 余命宣告を受けていた場合でも
「その時」を正確に、事前に把握出来ることはないのです。

 ましてや、急病や事故、天災の場合等では
全く白紙の状態から厳しい現実を突きつけられる訳です。

 そして、その後の「手続き」には
  全て「期限」が設けられています



 最初に遭遇する課題は、
入院中に最期を迎えた場合には
概ね24時間以内に病院から搬出することが求められます。

 どこに安置すればいいのか? 
 それをどこの誰に頼めばいいのか?
 その時に何を用意すればいいのか?

 殆どの場合、
当事者が存命中に事前に葬儀の手配を始めることはありません。
全くの無知な状態から、不意の手続きのスタートとなります。

 結果として多くの場合、
入院中だった病院と提携している葬儀社に全面的に依存するしかなく
安置後は即座に遺族は葬儀・告別式の実施とその内容についての
各種の打合せに参加することを求められます。

 ここで次の難関が現れてきます。

 心情的に最も穏やかでない状態にある家族の中の誰かに
~基本は喪主となる人物です~
実質1週間以内に行われる葬儀に関する諸行事を決め、
その実行に向けての準備が求められるのです。

 残念ながら葬儀に関しては
やりたくないことを、ごく短時間で遂行することを強いられるのです。 

 慶事の場合の「楽しい苦労」ではなく
「やりたくない事を強いられる苦労」を負うのです。

【時間の制約の差】

 冒頭でも紹介していますが
結婚式を始めとして慶事であれば日程は全て自分たちで決めることが出来ます。
全てが望む通りとはいかないでしょうが、
今日明日に決めないといけないといった制約はありません。

 対して葬儀の場合は
全てに時間の制約が絡んできます。
病院で亡くなれば死亡届を発行してもらいます。
時間帯にもよりますが、ほぼ24時間以内には遺体の搬出が求められます。
以前から葬儀社と契約を取り交わしていれば別ですが、
全く伝手が無ければ、病院と提携している葬儀社に委託するしかありません。

 こういった中で複数の業者から相みつを取る等ほぼ不可能でしょう。

 遺体を搬送し、
安置した後には即座に今後の手続きの打合せが始まります。
細かいことを省きますがざっと見ても以下のようなことを
次々と決めることになります。

 葬儀は菩提寺で行うか、最寄りの宗門の寺に依頼するか?
 葬儀が出来る空きの日程はいつか?
 葬儀の規模、内容をどの程度にするか?
 通夜振る舞いはどうするか?
 香典返しの用意は? 

 これらを考えるのと同時に
火葬場のスケジュールも決めていきます。
こちらは殆ど葬儀社が執り行うこととなってます。
 
 次に業者との打合せの後には
故人の友人知人を調べます。
その後の死亡通知や通夜告別式の案内も含め
誰にその旨の連絡をするかを決めていきます。

 さらに故人が社会的な地位を持っていた場合等は
元の勤務先への連絡や得意先への連絡も考慮します。

 世間体への配慮(遺族の見栄も含め)と言う名目で
式の様式や棺桶の素材にも地位にふさわしい(高額なもの)
を次々に薦められ、ここでも遺族側は即断を迫られます。

 気分的に最悪の時に価格チェックや葬儀の品の選別など
まともに行えるはずはなく、結局は先方の薦める提案を受け入れ
「言いなりになって最高額の様式」をで契約することも少なくないのです。

 こういった決定事項を非常に限られた時間内に決めていくのです、
それも多くの場合は喪主となる家族の中の一人が負うことになります。

 喪主が配偶者、特に妻だった場合、ひとりで全てを取り仕切ることは
かなりの負担になるのではないでしょうか?

 成人の子供がいればその中から代役や補助役を任せることが可能ですが、
その役割分担を考えるのも喪主の仕事にならざるを得ません。
このような役割分担を決める時間も必要になってきます。

 さらには葬儀は手続きの中のほんの手始めです。
この後には故人の財産調査に始まるさらに煩雑な相続業務の手続きが
これまた期限付きで待ち構えているのです。

【終わりに】

 シビアな視点からのコラムでしたが、如何でしょうか?

 以前は
「葬儀のことを今の時点で考えることは不孝者」
という認識が圧倒的でした。
ですが、いざという時に全てを負うのは
他でもない(喪主となる)遺族の貴方なのです。

 まずは手始めとして
「死後に発生する手続き」について
その内容とタイムリミットは知っておいて損はありません。

 最近では終活のアドバイス本も豊富ですし
この手の講習会やセミナーも多々開催されています。
ネット上にも紹介サイトが多数あります。 
さらには我々専門家に相談するという手段もあります。

 貴方が「その時が来た」時の責任者である場合には
ここで採り上げた程度の事は事前に理解しておくことで
自分たちの意向での式が叶うのです。

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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