ビジネスチャンスは時と場所を選びません

寺田淳

寺田淳

テーマ:起業・独立


【はじめに】

 今日はきわめて個人的な話です。

 行政書士という業務はまず相談(依頼)ありきの仕事です。
長年法律事務所に勤務してからの開業なら別ですが、
異分野から資格を取得して参入した場合、文字通り
スタート時は孤立無援の状態でしょう。

 業界にこれといった伝手もなく、
当然ながら全く実績もない新人は
どうやって営業すればいいのでしょうか?

 士業と言えど営業力が無ければ顧客獲得は難しい時代です。

 今回は全く私個人の経験談を紹介するので
あくまでも参考の一例をして認識して下さい。
同じことをやってもうまくいく保障は全くありませんので。

【夜の営業】

 事務所の営業時間には何の制限もありません。
極端に言えば24時間365日営業も可能です。

 とはいえ
何人も資格者がいるような大型事務所なら話は別ですが、
私の様な一人事務所にそれは無理な話です。

 そこで考えたのは朝と夜に特化した営業時間を設けました。
事前に前の職場のメンバーや学生時代の友人等の知り合いに
リサーチした結果、役所は平日の日中しか窓口が開いてない
事への不満がかなり多かったのです。

 同じ様に士業に相談する場合もその当時は
大半が9時から17時までと言った型に嵌まったものでした。

 新橋駅前という立地ですのでサラリーマンが集中してます。
当然彼らも何か相談事があっても仕事中に抜け出せる訳もなく
仕事終わりには事務所側も仕事終わりという事で平日相談に
苦労しているのではと考えてみました。

 その結果、朝は7時から、夜は何時でも来所OK
但し事前予約のみというアピールを友人知人への口コミを始め
ブログやコラムで集中発信し、差別化を図りました。

 また事前相談によっては土日休日での相談も可としました。
ですが効果が出たのはやはり平日の朝夜の時間帯の対応でした。

 特に夜の相談可というのが反応が大きかったのです。
簡単な相談ならば朝の出社前でも可能でしたが
それなりの問題を抱えている場合、時間はかなりかかります。
そうなると朝の場合は遅刻の恐れから中途半端で切り上げる
結果、二度の訪問になることとなり相談の多くは夜にシフトしました。

 早朝に、まだ店が開いてない時間なのに
駅前のビルに入っていった?
運悪くその場を会社の同僚に見られていたら?
人によっては変な想像を起こしがちです。

 その点、仕事終わりであれば
誰かに見られていたとしても
1,2階には飲食店のテナントが入っており
誰かとの会食だったという言い訳で十分対処出来るのです。

 遺憾ながら士業の事務所に足を運ぶということは
多くの場合、目撃者はマイナスの相続をしがちです。
変な風評を立てられない為にも夜の相談にメリットがあったのです。

 更に夜の相談の場合、
早朝の場合と違って終了時間の制限はないのです。
(無論、相談案件でしたらその分料金も加算されますが)

 胸につかえていた案件を相談出来て安堵するのか
その後の雑談、世間話がけっこう長引きました。

 相談は終了しているので
雑談時間は報酬に反映させることは出来ませんが、
逆に身の上話や愚痴を聞いているうちに
別件の相談案件が見つかるケースもあるのです。

 愚痴の聞き役を受け入れた結果、
思わぬダブル受任という結果となり、
大幅な収入増となったこともありました。


 当時は日中は閑古鳥で朝と深夜が繁忙期という
かなり変則的な営業でしたが実益は確保出来ました。

 一般的な時間帯を無視したことで
逆に言えば市場の潜在ニーズに対応したことで
今も事務所を継続出来ているのです。

【夜の街での出会い】

 多くの場合、仕事に邁進して一息入れる時に
選ばれる場所として酒場を選ぶケースは多いはずです。

 行きつけの居酒屋や割烹、ビアホールから
お洒落なワインバルや隠れ家的なビストロなど等、
いろいろな酒を飲む場があります。

 そのような中で、酒の場でも「営業」が出来る場所、
酒を介して思わぬ分野の方々と知り合える場所となりますと
私は圧倒的に一人で入るバーをお薦めします。

 どんな酒場でも仲間と連れ立って向かえば
会話の主体はその仲間、仲間内のものになります。

 他の席の方とその場で知り合うというケースは
まずないと言えるでしょう。
(偶然贔屓の球団が一緒、推し活の相手が同じだったことで
 抵抗なく話しかけたといったケースも無い訳ではありませんが…)

 かといって居酒屋やビアホールに一人で出向いて
初対面の人に積極的に話しかけられるかと言えば
これも難しい話です。相手が複数人であればなおさらです。

 お洒落なワインバルやビストロでは下手をすれば
ひとりでやってきて話しかける怪しい人物扱いで
退店に追い込まれることも?

 そういう状況をほぼ避けることが出来るのが
オーセンティックなバーと私は考えています。

 この手の店であれば、一人で入店しても当たり前で
先客の大半はせいぜい2人、多くは自分と同じひとり
という環境にあることが居心地の良さにもなります。

 実際のところ、 
この手の趣のあるバーでの偶然の出会いから
思わぬ仕事を受任したこともありましたし、
ここでなければ絶対会うことなどないような
人物との交流が出来たことで交友関係が拡大し
その後の仕事に繋がったケースも少なくなかったのです。

 酒飲みの言い訳に聞こえなくもないですが、
少なくとも私は10年以上のこの活動によって
受任業務以外に、それ以上の価値がある得難い人脈と、
その後の仕事に繋がる箴言を得ることが出来たのです。 

【優秀なバーテンダーの存在がカギ】

 とはいえ、バーであればどこでもいいという訳ではありません。
ひと口にバーと言ってもそこには大箱の店構えや
チェーン展開しているような規模のバーは
目指す対象からは外れることになります。

 やはりカウンターにテーブル席が2,3といった
こじんまりしたオーセンティックバーがお薦めとなります。

 要は団体が入れるような店のサイズでは
バーテンダーも一人客に構ってばかりはいられないですし、
その手のバーには「団体様」の2次会、3次会の利用が目立つのです。
一人客には孤独感にさいなまれる場としか言えなくなります。

 客あしらいが巧く、話題が豊富で、
特に酒のうんちくに秀でた真のバーテンダーがいる
こじんまりとしたバーが個人的にはイチオシの存在です。

 では、どうすれば優秀なバーテンダーのいる店を見つけるか?
安全策で言えば誰かのお墨付きの推奨でもあれば別ですが、
やはり何度かの失敗を覚悟で自分の足で見つけ出したいものです。
何とも言えない達成感が得られるのは間違いありません。

 さて、なぜ私はバーテンダーの資質に拘るのか?

 ほとんどの確率でそういう人には同じ様に優れたお客が
常連客として夜毎集まってくるからです。

 店というよりはそのバーテンダー個人の下に集まるのです。

【優秀なバーのメリット】

 まずこのようなバーの場合、
バーテンダーは気配り、目配り、心配りの
接客業の三大要素を兼ね備えています。

 フロアスタッフが別にいる場合でも
概ね躾が行き届いており店自体に安心感が漂っています。

 こういうメンバーで営まれているバーの場合、
私の様な初めて訪れたひとり客でも邪険な扱いは決してしませんし
いろいろな話題を投げかけてくれます。
お酒のトレンドから豆知識、歴史のうんちくなど等、
それこそ後日、顧客や取引先とのやり取りの中で披露すれば
私の株も上がるといったネタの宝庫でした。

 さらに時を経て訪問回数を重ねれば、
店からの信頼を勝ち得た状態になれば、
他の席の常連客を自然に紹介もしてくれます。

 共通の話題に関心を持っている、
 酒の嗜好が同じ系統、
 キャラクターがかみ合う、

 など等、この点は長年客を見極めているベテランの眼力が
全てですが、殆どの場合、実に相性のいい相手との出会いを
演出してくれます。

 ただ単にお酒の嗜好が同じだから紹介するのではなく
雑談の中で聞き逃さなかったお客の趣味や出身地、
贔屓のスポーツや選手などの情報を介することで
スムースにお互いを紹介するのです。

 私自身も何度も店のスタッフから同じ趣味を持つ方です、
きっと話が合う方ですよと言った形で初見の方を紹介され、
言われた通り、一夜にして友人になったケースが何度もありました。

 概ねこの手のお客はそれまでにかなり飲んできたようなのですが
決して乱れた飲み方はしません、バーのスタッフとのやり取りを
楽しむ為に足を運ぶのです。

【意外過ぎる出会い】

 上記のような出会いの全てとは言いませんが
これまでこういった形で紹介された中で
過去10人以上の企業の創業者や
上場企業の役員クラスの方と懇意になり、
その後数名の方から終活に関しての業務を受任したのです。

 私の様なひとり零細事務所からすれば
業務上で知り合う機会などはありません、
たぶん飛び込み営業で出向いても門前払い必至でしょう。
そのような立場の異なる者同士が対等に会話を交わせるのです。

 つくづく酒飲みでよかった、カクテル好きでよかった
 一人飲み歩きが出来てよかったと思う次第です。
 ~自画自賛です、スルーして下さい。

 意外な出会いと言えば、銀座という土地柄
クラブで働く女性客も閉店した後にこの店に来店することがあります。
中にはクラブはアルバイト勤務で短期間でお金を貯めて
自分の店を出したい(ネイルショップや雑貨店ですが)
という明確な目的と野心を持った若い女性の姿も見受けられました。

 ここでもバーのスタッフの仲介で私の職業を聞いた直後に
既に開店資金は目標に達して休日に店舗探しをしているが
自分が若いこともあって不動産屋がいい物件を紹介してくれない
不動産や訪問時に同席して相手にプレッシャーを与えて欲しい
出来れば立地や条件面でのアドバイスをして欲しいという
完全に仕事モードの話に発展しました。

 現金なもので彼女曰く入店した瞬間に態度が今までとは違った
今まで見せてくれなかった物件を即紹介してくれたと言いました・
結局、私が隣にいただけで彼女の希望は叶ったのです。

 更に業務の延長線上で関係する官公署に提出、申請等の
必要のある手続きと手順の指導から代行等本来業務に繋がったのです。

 無論、適切な報酬を受け取りましたが、その後彼女の口コミで
他のキャストからの各種の相談が3件続いたのです。

 こんな出会いも本音を語れるバーという居場所を持つ
キャストだったからで、私がバー通いをしていなければ
生涯出会うことのない相談客であり、新たなビジネスチャンスを
得ることに繋がったのも夜の街での出会いでした。

【終わりに】

 バーという居場所を持つことののメリット、
あくまでも120%私の個人的見解を
基にしたコラムでしたが如何でしょうか?

 相手の立場を知らぬままに会話を重ね、
その中からとんでもない人脈に繋がる。
お酒を飲む楽しみもさることながら
今夜はどんな方と会えるかな?
といった好奇心の方が勝ることもありました。

 まずは勇気をもってバーの扉を開けてみませんか?
酒の為に行くのではなく、酒を媒体とした新たな出会いと
そこから発生する意外な分野の人脈の構築、
そして場合によっては思わぬビジネスチャンスの獲得の場として
バーの世界を有効活用してみませんか?

 今では多くのバーでノンアルのカクテルを用意してくれます。
下戸でも足を運べる下地はもう出来上がっているのです。
後は、一歩踏み出す気持ちだけです。

 士業とはいえ営業力があってのものです。
絶えず新規の顧客の獲得、新規の市場開拓に
日夜注力しなくてはいけません。

 私の場合は相談業務という分野での
イレギュラーな市場開拓に成功した訳ですが
士業に限らずどんな業種においても通り一遍の市場以外に
必ず抜け穴になっている、見落とされている市場やニーズは
あるはずと私は思います。

 今日の事例は市場開拓においてはかなりな変化球ですが、
これも立派な営業活動であり、新規開拓の一手なのです、
と私は信じて今も定期的に夜の営業に勤しんでます。

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寺田淳
専門家

寺田淳(行政書士)

寺田淳行政書士事務所

 起業・独立や転職、再就職を考えるシニア世代に対して、現時点での再就職市場の動向や起業する際の最低限の心構えを始め、私自身が体験した早期退職から資格起業に至るまでの経験やノウハウを紹介します。

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