「自宅と子どもはどうなるのか」経理を担う奥さまへ【才藤 投稿】

内藤明亜

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テーマ:小規模零細企業の経営者の周辺

内藤明亜事務所の才藤です。

会社の経理を見ている奥さまは、資金繰りの変化に最初に気づきます。けれど、その数字をご主人とどう話せばいいのか分からない。自宅と子どものことが頭を離れない、というご相談をよくいただきます。




1.最初に浮かぶのは、会社のことではない


経理を任されている奥さまからお電話をいただくと、話はたいてい同じ順番で進みます。

会社の資金繰りの話から入り、数分後には自宅と学費の話になります。

それが自然だと思います。会社は事業ですが、自宅と子どもは日々の生活そのものだからです。

そして多くの場合、その不安を、ご主人には一度も伝えていません

2.数字を見ている方だけが気づく変化


経理を担っていると、決算書が出るずっと前に兆候が見えます。

  • 月末だけ残高が戻り、翌月の上旬にまた減っていく
  • 社長からの貸付金が、少しずつ増えている
  • 税金や社会保険料の納付書が、机の上で止まっている
  • 仕入先から、支払を翌月に回してほしいと言われる
  • 税理士との打ち合わせに、同席しなくなった


いくつか当てはまるなら、感覚ではなく事実として、危機は始まっています。

東京商工リサーチが2026年7月に発表した集計では、負債1,000万円未満の倒産が上半期で263件。3年連続で250件を超えました。

規模の小さな会社ほど、外からは何も見えないまま進みます。だからこそ、経理を見ている方の気づきが最も早いのです。

3.話し合えないのは、話題が「会社」だからです


「会社、大丈夫なの」と切り出すと、経営の話になります。

そうなると、ご主人は説明する側、奥さまは問い詰める側になります。多くの方が、この形になるのを避けたくて口をつぐみます。

避ける方法は一つです。会社の評価ではなく、期日を一つだけ確認する

「今月末の支払、足りてる?」。判断でも意見でもない、事実の質問です。

これなら、ご主人も答えやすい。答えが返ってこないこと自体も、一つの情報になります。

まだ相談する段階じゃない、と思っていませんか。

4.自宅は、いま奥さまだけで確認できます


自宅がどうなるかは、次の3点で決まります。

  • ご主人が会社の借入に連帯保証をしているか
  • 自宅に、住宅ローン以外の抵当権が付いているか
  • 自宅の名義と、住宅ローンの残高


このうち2つ目と3つ目は、法務局で登記事項証明書を取れば分かります。オンラインでも請求でき、1通あたり数百円です。

名義人でなくても、誰でも取得できます。ご主人に確認しなくても調べられます。

事業の借入の抵当が自宅に付いているかどうかで、その後の選択肢は大きく変わります。ここを知らないまま不安を抱え続けている方が、とても多いのです。

なお、連帯保証をしていても、すぐに自宅を出ることになるとは限りません。どの手続きを選ぶかで扱いが変わります。

5.お子さまと、その後の生活について


お子さまが保証人になっていなければ、会社の借入がお子さまに移ることは通常ありません(奥さまにとっても同じ理屈です)。契約書か金融機関の書類で確認できます。

そのうえで、書き出していただきたいのが次の2つです。

  • 進学や受験で、まとまったお金が必要になる時期と金額
  • 役員報酬が止まった場合に、家計が何か月もつか


多くのご家庭で、この2つが具体的になるだけで不安の輪郭が変わります。漠然と「どうなるのか」と考えている状態がいちばんつらいからです。

一方で、いま急いで動かさないでいただきたいこともあります。家計から会社へお金を入れること、お子さま名義の口座を動かすことの2つです。

どちらも後の手続きで問題になることがあります。動かす前に、わたしたちと弁護士の判断を挟んでください。

6.一人で抱え込まないでください


奥さまがすべてを決める必要はありません。決めるのはご主人です。

奥さまにできるのは、事実を一つずつ手元に揃えておくことと、外に相談先があると伝えることだけです。それで十分です。

ご相談の多くは、経営者ご本人からのお電話です。奥さまが調べておいた情報が、その電話のきっかけになることが少なくありません。

何かが決まってからでは遅い、ということはありません。何も決まっていない段階のご相談を、いちばん歓迎しています。

相談したからといって、倒産することにはなりません。

ご本人が動けないときは、ご家族からのご相談も受けています。

内藤明亜事務所/〒169-0072 東京都新宿区大久保1丁目1-13/03-5337-4057

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専門家

内藤明亜(経営コンサルタント)

内藤明亜事務所

30年間で1000人以上の経営者の経営危機の相談に対応した実績。自らの倒産経験を活かし、経営者の苦悩や困難に寄り添い、倒産後の人生まで見据えた対応が可能。倒産処理に精通した弁護士の知り合いも多い。

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