「マイホームの選び方」──家を買う前に、考えておきたいこと

西山広高

西山広高

テーマ:FP

不動産価格高騰のいま、家を買うべきか?


近年、東京をはじめ首都圏近郊のマンション価格が高騰しています。
マンションに限らず、戸建て住宅も土地代や建築資材、人件費、エネルギー価格の上昇により価格が上がり、一般的なサラリーマン家庭では「手の届かない」エリアも少なくありません。

将来も価格は上がり続けるだろうと考える向きもあります。
そのような見方をすれば、家賃を払い続けるよりも、住宅ローンを組んで買ってしまったほうが“得”だと判断することもあるでしょう。
金利が多少上がっても、それ以上に不動産価格が上がれば家計全体ではむしろ安定、という理屈もあります。

ただし、これはあくまでも「資産価値」として家をとらえた考え方です。
人生の中での「住まいの意味」は、それだけにとどまらないはずです。

数字では見えない「家の価値」


ファイナンシャルプランナー(FP)が作成するキャッシュフロー表では、家のような現金化しにくい資産は反映されにくい傾向があります。
特に持ち家は「住んでいる間は収入を生まない」ため、グラフ上にはその価値が表れにくいのです。

もちろん、将来の売却を見据えてマイホームを購入する人もいます。
ただし、不動産には流動性の問題があり、「売りたいときに希望の価格で売れるとは限らない」というリスクが常につきまといます。
だからこそ、数字に見えない価値――たとえば地域とのつながりや安心して暮らせる環境があるかどうか――といった点も大切にしておきたいのです。

筆者が見てきた「不動産価格の浮き沈み」


私自身、1990年代初頭、ちょうどバブル経済が崩壊しはじめる時期にゼネコンに就職しました。
当時は地価が高騰し、都心で住宅を購入できるのは一部の富裕層に限られていました。

先輩社員の中には、「家は欲しいけれど都心は無理」と、小田原、宇都宮、高崎などから新幹線通勤を選ぶ人も多くいました。
会社も新幹線通勤を認めていました。

しかしバブル崩壊後、不動産価格は一気に下落。
1990年代後半には「建設業冬の時代」に突入しました。
新築工事は激減し、かつて都内のオフィスから見えたタワークレーンの姿が一つも見えなくなるほどの冷え込みぶりでした。

私はこの現実を、営業職として現場の最前線で目の当たりにしてきました。
だからこそ、「不動産価格は永遠に上がり続ける」とは言えないことを身をもって理解しています。

社会はそうした経験を一度し、学んでいるので同じことは起こらないという人もいます。
しかし、「絶対はない」と感じています。

住宅市場を取り巻く変化と家族の事情


2020年代の今、住宅市場にもさまざまな変化が起きています。

  • 新築供給の減少により、中古住宅の需要が高まっている
  • 団塊世代が後期高齢者となり、戸建てからマンションへの住み替えが進行中
  • 外国人投資家の参入によって都心部の不動産価格が押し上げられている
  • 共働き世帯の増加により、住宅購入予算の引き上げ傾向がある


こうした背景も相まって、都市部では“住むための家”が“投資対象”としての側面も強めています。

「地元」と「つながり」が育む不動産の価値


地方から都市部に出てきたばかりの人にとっては、住む地域への愛着はあまりないかもしれません。
しかし、長く暮らすうちに地域のコミュニティに参加し、近所とのつながりができ、家族で思い出を重ねていく中で、その土地は「帰る場所」へと変わっていきます。

そして、こうした目に見えない価値は、時間をかけて築かれるもの。
地域との関係性が深まれば、たとえ地価が下がったとしても「この場所に住んでいてよかった」と思える瞬間があるはずです。

正解は一つではない。だからこそ相談を


住宅の購入には、その人の価値観や人生観が色濃く反映されます。
将来の資産として重視したい人もいれば、通勤や通学の利便性、地域とのつながりを大切にしたい人もいます。

私がFPとして家の購入を検討される方のご相談を受けるときには、まずその方の「考え方」を丁寧に聞くようにしています。
その結果、「今はまだ買うタイミングではないかもしれませんね」とアドバイスすることもあります。

住宅購入は人生で最も大きな買い物の一つ。
焦らず、しっかり考えて進めることが大切です。

西山ライフデザインの家選びサポート


西山ライフデザインでは、
「家を買うべきか」
「いつ買うべきか」
「どんな家が合っているか」
といった問いに、ファイナンシャル・プランナーと不動産の専門家が一体となって向き合います。

目先の価格や損得だけでなく、その人の人生全体にとって最適な住まいを一緒に考えることを大切にしています。
将来のライフイベントを家族で共有し、その方向性を踏まえて納得のいく家選びをサポートします。

「家を買うか迷っている」
「家族で将来について考えたい」

そんなときは、お気軽にご相談ください。
西山ライフデザインが、あなたとご家族の選択をそっと後押しします。

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西山広高
専門家

西山広高(ファイナンシャルプランナー)

西山ライフデザイン株式会社

西山ライフデザインは「不動産・相続に強いFP事務所+不動産屋」です。不動産取引ではお客様の利益を最優先し、「両手取引」を行いません。「上級相続診断士」として「もめない相続」実現のお手伝いをします。

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