相続対策の基本(贈与の活用)
マイホームを購入されようとする方が不動産屋さんに行くと、不動産屋さんは希望される条件のほかにお客様の家族構成やお勤め先、収入などを確認します。
これらの情報収集をする最大の目的は、多くの人が不動産を購入するために組む住宅ローンがきちんと審査に通るかどうかをあらかじめ確認しておくためです。(実際には金融機関の審査で融資の可否を判断するわけですが、不動産屋さんはその方の情報を知れば経験的に問題ないかどうかの判断はできます。もちろん微妙な場合もあるわけですが。)
しかし、不動産を購入しようとされている方にとってはローンの可否以外にも様々な懸念があります。実際、購入はしたものの、後の状況の変化でローンの返済に苦しむ人もいますし、その他にもそれぞれの状況で考えておかなければいけないこともあります。
不動産屋さんは不動産の売買契約が成立して初めて「仲介手数料」という報酬を得ます。
売買契約まで至らなければまったく収入がない「成功報酬」です。
ですので、不動産屋さんはお客さんが購入をためらうようなアドバイスはしません。
多くの不動産屋さん、あるいは営業マンにとっては「一件でも多くの契約を取る事」を求められています。できればあまり時間をかけずに決めてほしいと思うのがホンネです。
もちろん、物件に関することで説明が義務になっている情報は伝えなければいけないのですが、不動産業者として義務ではない情報は、伝えると購入をためらってしまうこともあり、伝えるとしてもさらっとしか話してくれなかったりします。
そして普通の不動産屋さんでは不動産購入のタイミングや購入予算についてのアドバイスはほとんどしてくれません。
以前、弊社にご相談にお越しになった方で「結婚するのでマンションを購入しようかと思うのですが」と相談に見えたお客様がいらっしゃいました。
既にネットでいくつかの物件をご覧になられ、いくつか希望の物件の目星もつけられていました。
よくお話を伺うと「子供も欲しい、できれば二人くらい」と将来の家族像のイメージもお持ちでした。しかし、目星をつけられていた物件はお二人で暮らすにはいいですが、お子様がいると手狭で買い替えが必要になることは間違いないと思われる物件。
もちろんその時はその時で買換える、という選択肢もあると思います。
しかし、その時スムーズに買い替えができるかどうかFPとしての印象では不安がありました。
現在、マンションの価格は高騰しています。
数年後、買い替えをするタイミングでのリスクとして、そのマンションが現在の価格よりも大きく値下がりしてしまう可能性に触れました。もし、下がってしまっていた場合、買換えようにも今購入したマンションを売るに売れない状況になるかも知れません。
それならば「数年の間お二人で働いて頭金を作り、家族の形が見えてきたころにご購入されても良いのでは?」とお話ししました。
そのお客様はその時点で購入することを見送りました。
いまそのお客様は一人目のお子様が生まれ、子育て中です。
普通の不動産屋さんならこんなことは言わず、次々に物件を紹介していたことでしょう。
(お客様によっては「余計なお世話」とお感じになる方もいらっしゃるかもしれませんが…)
今のところマンションの価格は高値で安定していると言える状況ですが、先のことはわかりません。
「やっぱりあの時買っておけばよかった」と感じたかも知れません。
しかし、先の見えない世の中。一生で最大の買い物になるかもしれない、家族のまさに「よりどころ」となるマイホーム。その購入では「失敗」はあってはなりません。
不動産屋さんは不動産を売買するのが仕事です。
お客様のご家庭の事情や将来のことはあまり気にしてくれません。
購入予算や購入のタイミングについては事前にご自身で十分に考えておくことが必要だと思います。
そんなときにお役に立てるのがFPです。