マイホームを買うなら今は買い時か?
6月3日に金融庁(金融審議会 市場ワーキング・グループ)がまとめた報告書「高齢社会における資産形成・管理」で、「定年後に夫婦で95歳まで生きるには約2千万円の金融資産が必要」との見解が示されたことが思いのほか大事(おおごと)になっています。
老後の資金について少し気にして調べたことのある人であれば、「2000万円不足」は別に驚くようなことではありません。
ファイナンシャル・プランナー(FP)なら「そのくらいは必要な人が多いだろう」と認識しています。
大事なことは「将来を見据えたマネープランを立てておくこと」「自分の家計はどうなのかをきちんと認識すること」です。
あくまでも「2000万円不足」は国民の平均値、あるいは「多いパターン」についてザックリ示されたもの。
それぞれの家庭の状況によってかなりばらつきがあるのは当然です。
逆に「2000万円なれば安心」ととらえられるのも怖いと思います。
特に現役世代で高収入の家計では支出も膨張する傾向にあります。
同じ会社で同じような収入を得ている人達が集まり、
「あそこの家は毎年海外旅行に行っている」
「あそこの家は3年に一回会社を買換えている」
「あそこの家族はかなり頻繁に高級レストランで外食している」
などという人がいると、
「自分もこのくらい使っても大丈夫だろう」
「自分の会社の先輩たちもこんなお金の使い方をしていた」
などと考え、支出が増えてしまうと考えられます。
結果として、収入の割に貯蓄が増えないという人は少なくありません。
私自身も20年以上、大手企業のサラリーマンとして過ごしてきました。
サラリーマン時代に自分の周りで、老後資金について不安を感じている人はそんなに多くなかったと思います。
FPは現在の貯蓄の状態や、今後予想される支出計画を元にキャッシュフロー表などを作成。
家計診断を行ったり、家計改善の提案などを行う専門家です。
自分自身もFPとして、こうしたサービスを提供しているので、是非相談していただきたいところではあります。
しかし、簡単なキャッシュフロー表を作成し、自分の家計の健全性を診断するのはそう難しいことではありません。
現在の貯蓄の額、今後予想される収入と支出がわかれば、自分でも作成することは可能です。
FPはいろいろなケースを見たり聞いたりしているます。
相談者一人ひとりが抱える固有の課題について分析し、提案できるのが強みだろうと言えます。
では、今回なぜそんなにこの「2000万円不足」の話が問題になったのでしょうか。
一番の理由は「選挙が近い」ということでしょう。
自民党は過去に「年金問題」で選挙に大敗した経験があります。
野党にとっては「最高のツッコミどころ」と言えるでしょう。
実際、今回の報告書の中にも「公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれている」と書かれています。
そもそも「100年安心年金プラン」などと言っていたことが誤解を与えているとも言えそうです。
当初から、年金は老後資金の柱として位置付けていることは変わりません。
しかし「年金だけで老後資金は安泰」とは誰も言っていないし、どこにも書いていません。
最初から、ベースとなる年金と合わせ、不足分は自分で補わなければならない構造になっていました。
野党はここぞとばかりに攻勢を強めています。
事の本質を見誤ると事態はさらに深刻になるでしょう。
少なくともそれに該当する人は少なくありません。
最近、手元に「ねんきん定期便」が届いた人も多いでしょう。
あくまでも年金定期便はこれまでの加入記録の確認と今後予測収入によって想定される支給額の目安として活用すべきものですが、大いに参考にして欲しいとおもいます。
実際に、キャッシュフロー表を作成すると、このままでは70代後半から80代前半で資産が底をつくという結果が出る人は少なくありません。
それぞれの家庭の環境は様々。
なんとなく、自分は大丈夫だろうと考えている人はもう一度自分の状況を確認してみることをお勧めします。
家計改善は早く手を打つほど選択肢、解決策がたくさんあります。