小学校受験の音楽課題はどんなものが出る?
習い事と受験は最後まで併用すべき?
幼稚園や保育園で受験対策をしてくれるところは増えてきたものの、実際ほとんどありません。受験に備えた準備は園外で進める必要があり、学力を向上させるため、幼児教室に通わせるご家庭もたくさんあります。小学校受験で評価されるのは、子どもの学力だけではありません。合否はペーパーテストの点数だけで決まるわけではなく、行動面や物事に取り組む意欲なども評価の対象となります。体力、社会性、芸術性、コミュニケーション、しつけやマナーなど、合格の判断基準は多岐にわたります。学力だけ伸ばしても、他の要素が整っていなければ合格は遠のいてしまいます。
すでに、子どもさんがピアノを習っている場合、
「直接、受験に関係がないから継続するべきか迷っている」
「ピアノのお稽古を続けると発表会があり、その準備などで受験に不利になるのでは?」
といった悩みが出てくるかもしれません。
学力を向上させる受験対策の幼児教室に加え、子どもの個性や特徴を伸ばせるような習い事をひとつ持っておくと良い場合もあります。生活が受験一色になり、精神的に追い詰められることのないよう、好きなピアノを弾いてリフレッシュしたという例があります。ピアノの練習が息抜きやストレス発散になり、ピアノがあったからこそ息切れすることなく、試験日当日を良いコンディションで迎えられた親子がいます。「もし受験で思うような結果が出なくても、そのままピアノを続ければいい」と言い聞かせ、必要以上に力が入るのを抑えたという親御さんもいます。秋のピアノ発表会に参加して、受験にも合格した例があります。学習する時間を考えると不利なように思いますが、残された時間を上手に活用し、集中力を高め、合格につなげた結果でしょう。お子さんが楽しんでピアノレッスンに通い、受験の準備にも意欲的なら制約する必要はないでしょう。
ただ、受験期間中の習い事については家庭によって考え方が異なります。受験に備え、ピアノを思い切って半年くらい休む子どももいます。受験本番が過ぎるまで習い事を全面的に止めて、次のシーズンまで休止するという考えの親御さんもいます。気をつけていただきたいのは、「子どもが楽しんでいるから」「受験に有利になるから」と親が思い込むことです。負担を感じても顔に出せない子どももいます。いくつもの習い事を掛け持ちさせるリスクもあります。背負うものが多くなり過ぎていないかを見極める親の配慮が必要でしょう。
個人的には受験のために習い事を整理するという考えは、小学校受験においては不要だと思います。これは上に挙げたように、合格の判断基準は多岐にわたるためです。幼児教室での学習だけが合格につながるものでは無く、これまでに取り組んできた習い事や体験の経験も本人のアピールになりますから、出来る範囲で継続する方が却って良い効果につながることの方が多いと感じます。一方で、入試直前期は時間的・体力的な余裕が無くなってしまうケースもあります。メリットであるはずの習い事がデメリットとなってしまわないように、必ず本人と話し合って「どうするのか」を考えましょう。これは送迎や付き添いで、自分の時間がなくなった親御さんも同様です。受験本番前のギブアップは悲しいことです。親御さんの性格や経済力、時間の有無に加えて、子どもの精神力や基礎体力にも目を配り、無理のない選択をしていくことが大切だと思います。