共働き家庭は効率的に受験対策を進める傾向に
一般的に小学校受験は、5項目の試験内容を組み合わせて行われます。特徴的なのは、日常生活における親のしつけが如実に表れる「行動観察」という社会性を見るテストがあることです。ただ、小学校受験は学校の方針と、子どものマッチングの意味合いが大きくなります。受験したい学校の教育方針や試験の意図を理解することが大切です。
小学校受験の試験内容と見られるポイントについて
小学校受験を考えた時に、最も気になるのが試験で出題される問題。どのような内容が出題されて、どういったポイントを見られるのか、それがわからないと試験対策もできません。一般的に小学校受験で行われている5項目の試験内容に絞り、試験で見られるポイントを説明します。
小学校受験では主に「行動観察」「体操」「ペーパーテスト」「制作絵画」「面接」の5項目を組み合わせて行われます。高校受験や大学受験と違うのは、必ずしもペーパー試験を重視するわけでは無いこと。ペーパー試験がない学校だってたくさんあります。
【行動観察】
小学校受験ならではの試験問題がこの行動観察です。行動観察では、初対面の子ども同士がグループになり、積み木遊びやパズルをしている姿をチェックします。ポイントとなるのは「複数人で相談しながら一つの物事に取り組む姿をチェックする」ということです。この試験で見られているのは協調性やリーダーシップ、コミュニケーション力などの社会性です。学校生活において、友だちと協力しながら学ぶことができるかを見られています。例えば、ご父母が試験前に「○○の時は、こうしなさい」「△△はしてはいけない」と教えていても、いざ試験が始まると、子どもはお父さんやお母さんに言われていたことを忘れ、いつもの自分が出てきます。つまり、行動観察の試験は一時しのぎの対策では意味をなさないということ。普段から家庭でどういった生活をしているのか、親のしつけが最も如実に表れる試験といって言いでしょう。
【体操】
体操のテストは、ゴム跳びやボール遊び、かけっこ、平均台などを実施する学校が多いです。身体の健康状態や基礎的な運動能力を見ていますが、それだけではありません。見られているポイントは自分で考えて動くことができているかです。小学校の集団生活において、自分で考えて動けるかを確認している試験になります。体操教室や野球、サッカーなどの運動系の習い事をしておくのは効果的と言えます。基礎的な運動能力が身につくとともに、集団生活の中で、自分で考えて動く力も養うことができます。また、もうひとつの狙いが「体力・健康状態」。大勢が入学後に30~60分程度の通学時間を要することになるため、それを継続できることも必要です。
【ペーパーテスト】
いわゆる学力テストですが、分類すると「記憶」「知識」「言語」「数量」「構成」「推理」の7分野に分けることができます。各学校でいろいろなパターンがありますが、見られているのは子どもの思考力です。解答のしかたは印をつけていく様式がほとんどですが、「正しいものを○で囲みましょう」「間違っているものに緑のクレヨンで×をつけましょう」など、言葉の理解力も試されます。ペーパーテストは理解を深め、定着させるために反復練習をするのがよいでしょう。幼児教室に通うのが最も一般的な方法ですが、自宅で市販のドリルを利用して対策をおこなうこともできます。
【制作絵画】
ひもや折り紙を扱った制作のほか、絵を描くものなどさまざまな考査がおこなわれます。この試験では主に巧緻性を見ています。また、衣類の着脱、ご飯の配膳、傘をたたむなど、巧緻性だけではなく生活の自立度を計る課題を出題する学校もあります。巧緻性や生活常識は一朝一夕で身につくものではないため、普段の生活の中で工作やお手伝いを取り入れるといいでしょう。
【面接】
子どもだけの場合と、両親も一緒の場合があります。子どもには簡単な質問でコミュニケーション能力があるかどうかを見ていますが、両親も一緒の場合には見られているポイントが異なります。両親の教育方針が学校と合っているのか、子どもにどのように育ってほしいのかなど、学校と教育方針との相性を確認しています。事前に、ご夫婦で話し合って家庭の教育方針をまとめておきましょう。お子さんに対する思いや、今後どうやって成長していってほしいのかを話すことは、受験対策だけでなく、その後の子どもの教育についてもお互いの認識を合わせるよい機会になるでしょう。
◆次回◆学校ごとの試験の意図を理解する