筑波大学附属小学校受験対策【⑫父母作文】

昌原貴弘

昌原貴弘

テーマ:小学校入試情報

第2次選考の最中に保護者への課題

筑波大学附属小学校の父母作文
受験生が控室から試験教室へ向かった後、保護者は講堂に移動して試験終了までの1時間程度待機することになります。以前はこのタイミングで第1次出願の際に書いていた「志願理由」を再び記入する作業がありましたが、ここ数年は「父母作文」に変更され、課題テーマに即した文章を書くことになります。用紙サイズはA4またはB5サイズ。ある受験生の父母は縦書きだった、別のグループの保護者の方は横書きだったと言います。B5サイズの縦書きが聞き取りで最も多い答えですが、その他の書式でも14行の文章を書くということは共通していますので、学校に作文用の紙が一定以上無い場合にサイズ違いの用紙で代用しているのかもしれません。いずれにせよ200字程度の文章を記入することになりますので、相応の備えがあった方が時間内に記入できるポイントと言えます。その他の注意点としては、誤字の訂正は=で示す、大勢の父母がボールペンを使用、20~25分程度の制限時間で記入していく、スマートフォンなどの電子機器は使用しないことなどがあります。下書きの持参については、スケジュール帳やポケット辞書、筑波の学校案内に貼りつけて持参されるのは利口ですが、その場の雰囲気から出しづらい状況であるのは言うまでもありません。作文終了後、学校紹介のビデオを見て過ごすことになります。

過去の父母作文テーマ一覧

当日まで課題テーマはわかりませんが、過去入試の傾向からして下のテーマのいずれかが出題される可能性が高いことが伺えます。表現を変えて繰り返し出題されているので、箇条書きでも回答を用意しておくと心構えとして万全でしょう。課題テーマは当日、講堂の大型スクリーンに映し出されます。

・現在、仕事をしている方でも2年間は学校役員になります。父母の役割についてどう思われますか。
・朝、子どもを起こしに行くと学校に行きたくないと言っています。どう対処をしますか。
・子どもが学校で喧嘩をして怪我をして帰ってきました。どのような対処をし、何と言い聞かせますか。
・自分の子どもが先生に怒られていたとクラスの保護者から聞きました。子どもに真意を確かめても何も言いません。このようなときどうしますか。
・学校の指導方針とご家庭の教育方針が異なることもあると思いますが、その点はどのようにお考えですか。具体的に書いてください。
・仕事と学校行事、役員業務が重なった場合どうしますか。
・学校と家庭の教育方針にズレがある、または今後違いを感じた場合どうしますか。
・本校の3泊4日の林間学校は体力・精神的にも厳しいものです。保護者としてどう考え、どのようにサポートしますか。
・お子さんが怪我や体調不良になったと連絡があったら、どのように対処しますか。
・SNSでの保護者間交流についてどう考えますか。
・給食ではアレルギー対応はせず、偏食をしないように促しています。家庭ではどのように食育の指導しますか。

学校紹介のビデオを見終わった辺りで、早ければ1時間も経たないうちに受験生が父母のもとに帰ってきて解散となります。

父母作文が合否に占める割合

筑波大学附属小学校は保護者の面接が実施されない小学校です。ですから、第1次出願の際に記入した志願理由とともに、この父母作文は保護者の考えアピールする唯一の手段となっています。ただ、父母作文も、第1次出願で出した志願理由も、合否にも何の影響もありません。理由としては、合格者父母へ向けた入学候補者説明にて先生から直接「影響はありません。」との説明があるためです。そもそも、父母作文のテーマが全受験者父母への共通課題ではない時点で、合否の選考にしてしまうのは不公平になってしまいます。学芸大学附属世田谷小学校でも考査中に同じように保護者へ作文記入を求めますが、こちらは学校側が「アンケート」と呼称しており、筑波同様に入学候補者説明会にて合否に影響は無いものだと説明があります。筑波大学附属小学校の父母作文も、上記のテーマ内容からしてアンケートだと考えた方が自然です。実際には保護者の記入した文章の中で模範解答と言える文例は入学候補者説明会の中で発表されており、筑波大学附属小学校の求める家庭の姿勢についてあるテーマを一例にして言及があります。ただ、ここでは合格者父母の書いた模範解答だという説明は無く、やはり合否には関係が無いと繰り返し案内しています。学校に合わせた解答が狙って書ければ万歳ものでしょうが、多くの方がそれと同じような事を考えますから似通った解答が揃ってしまうのが通例です。学校側の意図していることとは異なりますし、家庭の考えを聞きたいという狙いがあることを考えれば、これまでの躾や生活体験を信じ、ありのままの家庭の考えを書き進めていく方が筆も進みやすいのではないかと思います。父母作文の添削作業を依頼するのも良いですが、その作業を有料でおこなっている幼児教室へ文章校正をお願いするのは、お金と時間を無駄にしているだけです。合否に影響の無いものだという点をよく理解して、いま一度家族でこれまでの生活や家庭の考え方を話し合い、下書きを進めていくことが大切です。

◆次回◆筑波大学附属小学校の合格発表

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昌原貴弘
専門家

昌原貴弘(小学校受験教室の運営代表)

ICT教育の小学校受験 しながわ・目黒こどもスクール

最先端の指導教材ICT教育を活用し、先進的な教育指導法を提案する小学校受験教室。代表自身が出版社で培った経験とデータをもとに父母へ受験情報を発信。時代と共に変わる小学校受験の指導教材も開発している。

昌原貴弘プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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