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昌原貴弘

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昌原貴弘(まさはらたかひろ) / 小学校受験教室の運営代表

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コラム

筑波大学附属小学校受験対策【⑪集団活動考査】

2019年3月19日

テーマ:小学校入試情報

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

他のチームと競争をする課題が出題される集団活動考査

筑波大学附属小学校の集団活動考査
体操考査と同時進行で実施される集団活動考査は、体操と同様に15名グループで実施されます。まず、15名グループを3つに分け、5人ずつのチームをつくります。担当する先生は3名、1チームつき1人の先生がじっくりと受験生の評価をすることになります。課題は、おもちゃや紙コップなどの廃材を扱った「競争」がここ数年のパターンです。受験生への説明はシンプルで、チームのメンバーで協力して他のチームよりも(素敵なお城、高いタワーなど)を作りましょうといった内容です。競争なので全員が急いで作業を進めることになりますが、ありがちなのがチームの誰かが独り相撲になって、材料を占領してしまうことです。5人で取り組んでいることを忘れないように、周りのメンバーの作業と進行を確認しながら協力する心つもりで取り組めるのが理想と言えます。年度によっては、競争の後に担当の先生とじゃんけんゲームをおこなうこともあります。試験グループによって実施の有無やじゃんけんの回数が違うようですので、こちらも同時進行でおこなっている体操考査のグループとの時間調整のためにおこなわれていると考えられます。

初対面のお友だちと協力して取り組む難しさ

2018年度出題の「紙コップを高く積む作業」に当てはめると、紙コップ自体を高く積んでいくメンバーは5人中2~3人程度となるでしょう。では、他の受験生はと言うと、例えば積んでいるメンバーに紙コップを渡す係、高く積むことでグラついた紙コップタワーを支える係など、率先して他のメンバーを助ける役割を探し、協力を意識した取り組みが欲しいところです。競争に勝つことよりも、自分の役割や一緒に取り組むメンバーの事を意識した取り組みがポイントと言えます。言い聞かせれば達成できそうな役割かもしれませんが、試験では当然ながら初対面のお友だち同士で取り組むこととなりますから、そう上手く事は進みません。

ドラえもんに当てはめる集団活動考査

極端な例になりますが、集団活動のシュミレーションをドラえもんで当てはめてみましょう。
・のび太くん(人見知りでアウトプットが上手ではない)
・しずかちゃん(優しいが積極的に主張するタイプではない)
・スネオ(そつなくこなすが周りのメンバーに左右される)
・ジャイアン(自己主張が強いが間違いを恐れず真っ先に取り組めるタイプ)
・ドラえもん (周りをよく見て行動し手助けもできるタイプ)

このメンバーが「紙コップを高く積む作業」をやってみると、どうなるのでしょう。まず、我先にとジャイアンが紙コップを持ってどんどん積み上げていきます。そこへ、こっそりスネオが加わり、2人だけの空間が生まれます。のび太くんとしずかちゃんは5人で協力しなくてはと思いつつ、何もできない時間が過ぎていきます。ドラえもんは、自分の役割を探して紙コップ積みに参加をするか、2対3の状況を変えようと提案するでしょう。ただ、そうこうしているうちに、何もできずにあっと言う間に終了となりました。では、このグループの誰が合格するのか。ルールを意識して行動に移せたドラえもんは最有力と考えられますが、短い考査時間の中で彼の良さが発揮できたかと言えば判断は難しいと言えます。また、積極性を考えればジャイアンとスネオも捨てがたいと言えます。見方によっては、①紙コップを独占していた、②周りの子に対して模範となっていた、どちらとも取れます。厳しいですが何もしなかったのび太くんと、劇中では最も良い子なはずのしずかちゃんは選外でしょう。しかし、紙コップをそっと並べる手伝いをしたり、周りに伝わらなくても意見を提案しようと試みたりすることが出来たような気もします。

結論としては、どの子も展開や状況によっては良い取り組みができるということ。持って生まれた性格は変えられないのですから、その子なりにルールを考え、目的を意識して行動できるようにすることが大切です。よく、学校の教育方針やカラーに合った性格のお子さんが選抜されるのではないか?と聞かれますが、これは合っているようで間違っています。仮に上に挙げたドラえもんのような振る舞いができた子ばかりが合格してしまうのでは、クラス全員がドラえもんになってしまいますね。無理に良い行いの例に当てはめようとせず、かと言って何もせずに送り出してあげるのでもなく、その子に合った取り組みの仕方と経験を伸ばしてあげる方が個性が発揮されるはずです。方法としては、様々な状況をロールプレイングすること。幼稚園や保育園では既に自分のポジショニングが決まっていますから、できるだけ入試と似た初対面のお友だちとのルールのある遊びを練習することで、打開策や取り組みの自信、周りの様子に合わせて行動をしようと意欲が湧いてきます。また、周りのお友だちの取り組みをよく観察することで自分でもやってみたいと思える振る舞いが発見でき、社会性が育まれてきます。毎回ドラえもんの役になりきっていては、まず何も気付きません。

実際の入試で出会うメンバーは、もしかしたら全員がジャイアンのような子たちかもしれませんし、のび太くんばかりのグループかもしれません。前者なら「お友だちのお手伝いをする係になるとみんなが喜ぶかな」。後者なら「誰も何も言わないなら教えてあげる係になろうかな」。と状況に即した取り組みを自ら発見できるように、できるだけ経験の場を与え、個性を伸ばしてあげることが大切です。

◆次回◆筑波大学附属小学校の第二次選考の保護者の試験

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