日本舞踊の流派 〜何流がいいですか?〜 尾上菊右佐
おさらい会の感想集
コロナ禍を縫うように、奇跡的にリハーサルとおさらい会を終えることができました。
今年から、町田稽古所に加えて大和市中央林間の稽古所も増えて、弟子達が1年に1回しか会えない方がいるために、感想や感動、励ましなどが行き交い、私ひとりでは伝えきれず、感想集を作成しました。
家族の感想
いつも興味深く家族の感想も楽しみにしています。毎年舞台に上がる子ども達をまるで自分の子どものように、大きくなったとか1年間頑張ったとか励ましてくれます。自分の子どもだけではなく、皆さんの成長を喜んでいる様子が嬉しい限りです。
初めて観る日本舞踊
出演者の友達の保護者も感想を書いてくれています。初めて観る日本舞踊で、着物の美しさ、扇子の美しい動き、曲に合わせた帯結び、など飽きずに観ました。と嬉しい感想でした。出演者の中学生は、自分が舞台に上がって踊ることが、着物文化や日本舞踊を伝えることになっていることを実感したようです。
日本文化の担い手
稽古をして発表するという当たり前のことが、日本文化を伝え、日本舞踊を知ってもらうことになるという、自分が日本文化を伝える側になったことを喜んでいます。おさらい会では、自分達で着付けも仕上げますので、中学生もできることを探して手伝ってくれています。これからは尚一層、踊るだけではなく着付けにも力が入ることでしょう。
何歳でも
小さな子どもには、可愛らしかったと皆さんが感想を寄せています。年配の方には、深みのある踊りと書かれています。この点は、日本舞踊ならではの感想と感じています。百歳まで踊れると言われている日本舞踊は、どの年齢の方にも踊ることができ、またその年代の美しさをも表現できるものです。
NO1にはなれない
可愛らしさという点で、どんなに頑張っても小さなお子さんには勝てないね!と皆で話題になっています。伸び伸びと踊っているか?間(マと読みます)が合っているか?形は美しいか、合理的か?扇子裁きが綺麗か?目が活きているか?などなどの技術的なことに加えて、その方に合っているかどうか?ということもあります。いつも思いますが、総合的なNO1はありません。
自分の成長
日本舞踊の世界では、どんなに重鎮と言われている師匠も日々の稽古に励みます。師範をとれば人に教えるという責任があり、尾上流ではかなり厳しく鍛えられます。その家元でさえも上へ上へと高みを目指して稽古に励んでいます。「これでいい」と思ったが最後、そこが自分の最高点になってしまうからです。いつまでも頂点のない山登りをしているようなものです。
昨日の自分、昨年の自分
昨日から成長しているか?昨年よりも手があがっているか?(上手くなっているかという意味です)
踊りを点数で表すことが難しいため、どれだけ成長しているか?こそが評価になります。
保護者のひとこと
子どもが習いたいからと、着物が着られるようになればいいかなと気軽に通う習い事のひとつでしたが、大切なことを学んでいる実感があります。と寄せてくださいました。
また1年
おさらい会が終わると、また1年の始まりです。新たな年、新たな曲、また家族に、友達に喜んでもらえるように、お稽古します!
私にとって日本舞踊とは
稽古所では年代の違う方々、八歳から七十代の方までがそれぞれの目標に向かって稽古しています。この競争社会の中で、単に比べることの難しい小さなお子さんの可愛らしさや年配の方の深みのある踊りを認め合いながら、それぞれが自分と向き合い伸びゆくように励みます。