日本舞踊のいろは 〜発表会とおさらい会の違い〜
《名取》
日本舞踊では、名取、師範と免状をいただくことができます。流儀や先生によっても相違するので一概には語れませんが、恐らくどの流儀でも年数をかけて稽古をして、名取の免状をいただくに当たっては金額も高いことと思います。
《尾上流では》
名取や師範になる際には、家元の稽古所にて踊りの試験があります。家元である菊之丞先生が踊りをしっかりと見てくださいます。合格の場合には、後日「名取式」が執り行われます。私は何十年も昔のことですが、尾上流の名取の一員になるという自覚が芽生えた時です。
《級取得》
昔はなかったのですが、いつからか級が取得できるようになりました。今まで習い始めた方が名取になるか、ならないか、という選択肢でしたが、初級、中級、上級が取得できることでそれぞれに合わせた選択ができるようになり、とても喜ばれています。
《初級》
尾上流の一員になったという証のようなものです。特に決められた踊りはありません。菊右佐稽古所では、全員取得するようにおすすめします。
《中級》
「松の緑」を踊れるようになることと、条件があります。菊右佐稽古所では、希望者が取得しています。
《上級》
「蓬莱」を踊れるようになりビデオを提出して、家元である菊之丞先生より講評をいただきます。
《それぞれの目指すもの》
稽古所に通う弟子達は、名取になりたい方、師範を目指している方、所作を身につけたい方、着物が着られるようになりたい方、など様々な入口から日本舞踊を始めた方がいます。稽古を重ねていくうちに初級を取得して、上を目指したいか、または免状などの目的ではなく、踊りを続けていきたいのか、その方に合った選択ができることは、とても喜ばれています。
《免状》
和紙で作られた免状は、どの方もとても嬉しそうに受け取り、そしてモチベーションが上がるようです。
《この春に》
小学生が初級、中学生が中級を取得しました。ご家族も大変喜んでくださいました。学校のテストとは違い、芸術は何点上がったということではなく上達が目に見えにくいために、節目にこの免状があることで弟子は勿論ですが、師匠も大変励まされます。