日本舞踊稽古で伝えたいこと 〜着物について〜 尾上菊右佐
《文化庁支援》
昨年コロナウィルス拡大による文化芸術活動自粛を余儀なくされて、文化庁より支援を受けられるということで申請しました。十年以上続けている学校や町田市の子どものための日本舞踊教室は、すべて中止となり発信の場を失っていましたので、オンラインという形でも日本文化や日本舞踊を広めていきたいと思った次第です。採択いただき、このたび文化庁より支援が受けられることになりました。
《日本舞踊のいろは》
今日依頼していた日本舞踊の教則冊子「日本舞踊のいろは」が出来上がりました。
制作にあたり、これから日本舞踊をどのように伝えたいのか?何をしたいのか?
ゆっくりとこれから進む道を考えるきっかけをいただきました。
《これから日本舞踊を始めるあなたへ》
日本舞踊を始めると何ができるようになるか?
着物や浴衣が自分で着られるようになります。
日本文化が身につきます。
心身ともに健康になります。
《半幅帯》
小学一年生が自分で半幅帯を結んでいる様子が、写真でわかりやすく解説しています。
特に帯結びを教えたというよりも、毎週の稽古の中でいつの間にか身についたものです。
稽古所では、小学1年生で浴衣と半幅帯が結べるようになります。
小学高学年になると、名古屋帯も結べるようになります。
《小道具》
扇子やその他踊りの中で使う小道具の紹介もしています。
手ぬぐいや鈴や傘などは普段の生活では使わない物なので、扱い方からお教えします。
《所作》
浴衣や着物を着た立ち振る舞いも紹介しています。浴衣を畳む際には両膝を床につけます。
片膝を立てるお子さんが多いですが、着物を着た際には両膝をつけると美しい姿になります。
お友達の家に訪問する際に、後ろ姿で玄関で靴を脱ぐのではなく、そのまま上がり膝をついて靴の向きを整えることも教えます。いつも何人かの保護者に「うちの子がすごいことができるようになりました!」と報告をいただきます。
《呼吸》
踊りは深い息を吐いて、そして吸うことの繰り返しです。日常の生活では、大人も子どもも慌ただしい中で、はあはあと浅い息をしがちです。せめて稽古所では、しっかりと息を吐き切り、新鮮な空気をお腹一杯にに吸い込んで、時には勢いよく荒波のように、時には細く長い息でスススーとすり足で歩きます。
忙しく働いている方が会社帰りに、また忙しい小学生や中学生が、踊った後にすっきりとした顔で、頬をピンク色に染めて帰る姿によく出会います。日本舞踊は呼吸に合わせた踊りで、いつの間にか心身ともに健康になっていることが多いです。
《人と比べられない》
競争社会の中で、日本舞踊は点数だけは表現しにくいものです。踊りの上手い下手は確かにありますが、基本は人と比べるものではなく、昨日の自分、昨年の自分と向き合うものです。可愛さは小さなお子さんに勝つことは難しいですが、年配者の深みを子どもが身につけることも難しいです。似合う似合わないということもあります。体の線の細い方に合う踊り、たっぷりとした貫禄のある方に合った踊り、と踊りの背景や地方、人の年代など様々ですので、一概に比べることができません。
《百歳まで》
日本舞踊は百歳まで踊ることのできる踊りと言われています。小さなお子さん(二歳から)何歳までもできます。稽古所では障害をもつお子さんも出来ることに合わせてお稽古しています。年配の方にも無理のないように立ち座りなどを相談しながら振りを考えます。それぞれの体に合わせて、踊り続けられるようにすることを大切に思っています。
《コロナ禍》
コロナ禍の中で、今まで教えていた弟子達が外へ出られないからと稽古の機会がなくなることのないようにしたいと思います。また、遠方の方や忙しくて通うことが出来ない方も、オンライン稽古が出来るようになりました。
ネットのつながるパソコンがあれば、どこでもお稽古できます。必要なお扇子などはお送りします。
《オンライン稽古》
通常の稽古とは異なり、その方に合わせて何ができるようになりたいかを聞きながら回数から決めます。
所作を身につけたい方、着物が着られるようになりたい方、短い曲が踊れるようになりたい方、それぞれのご希望に添えるようにします。